ユーロ(EUR)- ドイツが牽引する単一通貨!世界第2位の流通量

中野貴利人
監修中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表取締役

ユーロ(EUR)- ドイツが牽引する単一通貨!世界第2位の流通量

  1. ユーロ(EUR)の基本データ
  2. 欧州の経済的な特徴
  3. ユーロは4カ国の経済で動く
  4. 過去にあった特異的な値動き
  5. 2018年時点のユーロの注意点

ユーロ(EUR)の基本データ

総合 3.2
評価
表記EUR(EURo)
為替130.37円(2018年9月14日)
金利0%(2018年9月時点)
国名EU欧州連合加盟国(全28カ国)
面積4,381,376km²(2011年・7位)
人口4億9,979万人(2011年・22位)
GDP16兆735億ドル(2012年)
1人あたり33,965ドル(2017年)

豪ドルの5大特性

  1. EU28カ国中19カ国がユーロを使用
  2. 加盟国の経済危機で不安定になる
  3. インフレ率が低くて金利は0%
  4. ドイツとフランスでGDPの5割
  5. ユーロ買いはマイナススワップ

欧州の経済的な特徴

欧州の経済的な特徴

チェック1

ECBが一元管理する経済圏

ユーロはEU加盟28カ国の中の19カ国(2018年9月時点)で導入している欧州統一通貨です。複数の国で共通して使われていることで、通常の通貨とは値動きの発生要因が異なるときがあります。

通常の通貨はその国の政策と中央銀行の金融政策によってコントロールされています。しかし、ユーロの場合は、ECBと呼ばれる欧州中央銀行の金融政策によって管理されます。

ここにユーロの課題があります。19からなるユーロ圏の国は、それぞれ経済状況が異なります。ドイツのように好景気の国がある一方で、ギリシャのように多くの債務を抱えて、高い失業率で停滞している国もあるわけです。

このバラバラな経済状況下のすべての国に対して、統一の政策金利や金融緩和によって、コントロールすることはほぼ不可能です。

2018年9月時点ではユーロ圏全体の経済は下向きであり、多くの国のためにユーロの政策金利は0%に抑えられています。ただ、ドイツのように輸出産業が好調な一部の国にとっては、この金融緩和政策は大きな追い風です。

チェック2

ユーロの変動要因は19カ国分

他国から見ると、好景気が続いているドイツにとって、ユーロは安すぎると見られています。しかし、ドイツに合わせて政策金利を切り上げて、ユーロ高に誘導してしまうと、経済が低迷している国が苦しみます。

このようにECBは常にジレンマを抱える中で、ユーロ圏の経済をコントロールしなければなりませんが、ユーロ19カ国の経済状況がすべて好調であった時期はなく、ほぼどこかの国で問題が発生しては不均衡が続いています。

一部の国からマイナス要因となる経済指標が発表されると、すぐにその影響がユーロに波及します。つまり、ユーロは19カ国分の変動要因にさらされ、相乗効果がありながら下落リスクも増すということです。

チェック3

EU経済が抱える連鎖崩壊

2009年にギリシャ国債がデフォルト(債務不履行)する可能性が高まりました。ユーロ圏におけるギリシャのGDPは当時わずか2%、2017年時点でも1.58%しかありませんが、ユーロ圏全体に大きな影響を与えました。

この原因はドイツやフランスが多くのギリシャ国債を保有していたこと、さらにギリシャに対する不信感で、スペイン、ポルトガル、イタリアの国債も危険視されたことです。その結果、ユーロ圏崩壊の危機を招きました。

この教訓を得て、EUは加盟国に対して「財政赤字はGDP(国内総生産)の2%以内に抑える」ように求めます。さらに債務に関しても「GDPに対して60%以内に抑える」というルールを課しました。

しかし、2018年9月時点でもギリシャ問題はまだ解決していません。加えて、イタリアの債務はGDP比で132%にまで高まっています。そこでECBはイタリアやその他各国の債務縮小のために国債を買い続けています。

ただ、このような金融緩和を無尽蔵にはできず、いずれ解除することになります。国債の買い入れを終了すれば、その国の金利は上昇して、イタリアの返済負担が増します。その結果、第2のギリシャ危機にもつながりかねません。

チェック4

ユーロ圏はインフレ率が低い

ユーロ圏のインフレ率(消費者物価上昇率)は、経済が成長する中でも低く推移しています。ECBは2015年からユーロ圏の債券を購入して、インフレ率をか2%の目標値に押し上げようとしています。ただ、すでに4000億ユーロを投入しているにもかかわらず、その効果は出ていません。

インフレ率が低いままとなると、ECBは政策金利を上げることができないです。金利を上げることができなければユーロが上がらず、対外的にその価値が低くなってしまいます。

また、ユーロ圏全体でみると、失業率は低下していますが賃金が上昇していません。景気が良くなっていても賃金が上がらないとなれば、労働者の賃上げ要求も増えるでしょう。

そのために企業は常勤職の比率を下げて、非常勤職の比率を高めています。これが労働生産性の低下につながっているとも指摘されています。

ユーロは4カ国の経済で動く

ユーロは4カ国の経済で動く

基本は4カ国の経済で動く

ユーロは1999年に発足し、米ドルに次ぐ世界第2位の取引量となっています。ただ、ユーロの価値はドイツ、フランス、イタリア、スペインの4カ国の経済で決まります。

なぜなら4カ国のGDPがユーロ圏全体の80%を占めているからです。2017年時点でユーロ全体のGDPは12.6兆ドルですが、ドイツは3.7兆ドル、フランスは2.6兆ドル、イタリアは1.9兆ドル、スペインは1.3兆ドルもあります。

その一方でユーロを導入する19カ国のうち、いずれかの国で目立った問題が起これば、すぐに下落することも特徴です。また、EUの政策金利が0%となっていることからも、ショート(売り)されやすい通貨です。

兄
この4カ国がユーロの優等生だね。
弟
いや、イタリアとスペインは財政難だ。優等生はドイツのみだな。

インフレ率の上昇で利上げとユーロ高

先述したように、ユーロ圏ではインフレ率が低く推移しています。これが賃金上昇を抑え込み、労働生産性の低下と経済成長率を鈍化させています。ユーロの金利は0%が維持されて、ユーロは低空飛行を続けます。

ただ、ECBは2019年にも利上げに踏み切ると予想されています。もちろん、インフレ率の上昇を確認してからという条件ですが、金融緩和の解除でユーロの上昇につなげることが狙いです。

ただ、依然としてイタリア、スペイン、ギリシャの失業率の高さが課題として残っています。ユーロ圏全体の失業率は改善傾向でも、どこかの国が足を引っ張ると思い切った政策ができないところに歯がゆさが見えます。

過去にあった特異的な値動き

1

リーマンショックで大幅なユーロ安

米国発の世界経済危機はユーロにも大きな影響を与えました。2008年9月のリーマン・ブラザースの破綻により、大量の国債を保有している欧州の金融機関は打撃を受けてこのときは大幅のユーロ安になりました。

2

ギリシャ債務問題で大暴落する

2009年10月にギリシャ政権が交代した際に、前政権による財政統計データ改ざんが発覚しました。2019年12月8日のギリシャ国債格付け引き下げで市場は混乱して、ユーロは大暴落しました。

3

アベノミクスによるユーロ上昇

2013年のアベノミクスで円安が進行したため、ユーロは対円で大きく上昇しました。イタリアやスペインなどの失業率は高く、不動産価格も下落中でしたが、経済指標の改善やアジア諸国の経済回復がユーロ高につながっています。

4

イギリスのEU離脱報道によるユーロ下落

2016年6月、イギリス国民投票によりイギリスのEU離脱が報道されると、ユーロの総合的な経済力が落ちるため、英ポンドの下落に引きずられる形でユーロも大きく下がりました。

2018年時点のユーロの注意点

2018年時点のユーロの注意点

2018年9月時点ではEUの政策金利が0%であることから、ユーロ買いではスワップポイントがマイナスになります。ユーロの上昇を見込んでロング(買い)ポジションを取る場合は、1万通貨あたり1日数十円の損失に注意です。

また、通貨の変動要因となる経済指標はいろいろとありますが、ユーロの場合には少なくともドイツ、フランス、イタリア、スペインの4カ国の経済指標をチェックする必要があります。

特にドイツと米国の債務利回りの差がユーロ/米ドルに影響を与えることが多いため、その利回りにも注意が必要です。

このようにユーロの値動きはさまざまな要因に影響を受けるため、短期や中期ではポジション取りが難しいかもしれません。ただし、取引量は多いですし変動幅も大きいため、スキャルピングに慣れた人にとっては好都合です。

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公開日公開日 2010.01.19
更新日更新日 2018.10.19

著作・制作など

中野貴利人
監修・執筆・編集
株式会社ネットピコ代表取締役。著書にど素人でも稼げるネット副業の本など。過去の取材はメディア掲載履歴で紹介。