豪ドル(AUD)- 資源価格と資源の輸出先の景気に左右される高金利通貨

中野貴利人
監修中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表取締役

豪ドル(AUD)- 資源価格と資源の輸出先の景気に左右される高金利通貨

  1. 豪ドル(AUD)の基本データ
  2. オーストラリアの経済的な特徴
  3. 豪ドルは資源価格と中国経済で動く
  4. 過去にあった特異的な値動き
  5. 2018年時点の豪ドルの注意点

豪ドル(AUD)の基本データ

総合 3.2
評価
表記AUD(AUstralia Dollar)
為替80.38円(2018年9月14日)
金利1.5%(2018年9月時点)
国名オーストラリアオーストラリア
面積7,692,024km²(2011年・6位)
人口2,424万人(2011年・51位)
GDP1兆3,795億ドル(2017年・13位)
1人あたり55,707ドル(2017年・11位)

豪ドルの5大特性

  1. 資源と金融で安定した先進国
  2. 原油や金価格との相関も強め
  3. 中国経済の不調に揺さぶられる
  4. 日本人に人気で買いが集まる
  5. インフレ率が低くて利上げ困難

オーストラリアの経済的な特徴

チェック1

経済危機にも動じない資源大国

世界経済は常にあらゆる危機にさらされ、多方面から影響を受けながら変動します。アジア通貨危機やITバブル崩壊、リーマンショックなど、世界に衝撃を与えた出来事も多々ありました。

しかし、オーストラリアは経済成長を続けています。1980年以降の経済成長率は、唯一マイナスとなった1991年を除いて、2018年までプラスです。

これはオーストラリアには豊富な天然資源、中でも世界有数の鉱業国であることが背景にあります。近年はアジア諸国の経済成長にともなう需要の増加を受けて、オーストラリアの経済も拡大しています。

チェック2

今は第3次産業が経済を支える

資源輸出国であるオーストラリアは、2017年時点の名目GDPが世界13位です。ただ、その内訳は鉄鉱石などを輸出する第1次産業は12%のみで、金融、不動産、ビジネスといった第3次産業がGDPの71%を占めています。

以前は製造業もGDPに大きく寄与していましたが、天然資源の高騰、貿易収支の黒字化、豪ドルの上昇というパターンで労働コストが上昇し、例えば、トヨタやGM、フォードなどの自動車生産工場は、2017年に撤退しました。

それでも経済成長に影響がなかった理由は、第3次産業への転換を進めていたからです。つまり、現在のオーストラリアは天然資源の輸出を続けながら、製造業は弱め、その一方で第3次産業が伸びています。

また、オーストラリアは貿易収支と経常収支ともに赤字です。貿易収支は新興国のような資源輸出で栄えながら、先進国であるために工業製品の輸入が多いことが理由で、特別な問題はありません。

経常収支も高利回りが期待できる株式や債券市場、また資源開発のために外資が流入していることが原因であり、むしろオーストラリアの産業が魅力である結果です。そのため、赤字であっても経済成長が続いています。

チェック3

早めの人口増加政策が功を奏す

さらにもう1つオーストラリアの経済成長を支えている要因が、建国当時から継続している人口増加政策です。オーストラリアは先進国に共通する少子高齢化に対する対策を早期から講じていました。

よくある出産費用を授与する出産奨励政策は、費用対効果が低いことで断念しています。次に建国当時から進めている移民受け入れ政策は、最初はベトナム移民を受け入れるという人道支援が目的でした。

しかし、テクノロジーの発展で移民に対する人材育成が追い付かなくなり、オーストラリアに移住しても仕事を得られない人が続出しました。

そこで移民受け入れはスキル重視制度を軸にして、正規資格や証明書の認定を厳格化、受け入れる人を選定しました。その結果、内需産業の生産性を高める人口が増加して、彼らが経済成長の原動力となったわけです。

豪ドルは資源価格と中国経済で動く

原油や金価格の影響を受けやすい

豪ドルの値動きは原油、ガソリン、鉄鉱石などの商品(コモディティ)価格に連動しやすいです。商品価格は需給によって変動しながらも、基本的に資源が有限であることから長期的に上昇傾向にあります。

豪ドル/米ドルの変動推移を見ても、NY原油価格に近い動きをしており、2018年9月時点では上昇傾向になっています。また、2017年時点ではオーストラリアは世界2位の金産出国であることから、金価格との相関も強めです。

中国経済の好不調で豪ドルが動く

豪ドルの変動要因はオーストラリア国内の失業率、中国景気と米国景気もあります。特に中国はオーストラリアにとっての最大の輸出先であるため、中国の経済指標の浮き沈みで、豪ドルも動くようになりました。

2015年のチャイナショック時も豪ドルは下落しましたし、2018年時点では中国によるインフラ投資が減少していることで、下落基調が強まっています。

兄
中国経済に左右されるのか。
弟
ただ中国依存はリスクが高く、2018年から政策転換を進めている。

オーストラリアは政策金利が高め

オーストラリアは米国と同様に個人消費が経済を支えています。ただ、石油や石油製品は輸入に頼っていることで、自国通貨が安くなりやすく、常にインフレ圧力にさらされています。

そのため、オーストラリアの政策金利が高めです。ピークであった2008年の7.25%と比較すると、2018年10月時点の1.5%は物足りないかもしれませんが、豪ドルは値動きが安定的なために日本人に人気です。

兄
金利1.5%でも十分だけど。
弟
2018年10月時点で米国が2%もあり、豪ドルの魅力が減ったんだ。

豪ドルが動きやすい経済指標

オーストラリア統計局は毎月中旬に新規雇用者数と失業率を発表しています。近年、雇用と投資に関しては伸び悩みが見られるため、この期間の豪ドルの値動きには注意です。

インフレに振れる産業構造であることから、四半期ごとに発表される消費者物価指数にも豪ドルは反応します。オーストラリア準備銀行は年2~3%をインフレターゲットとしています。

インフレ率は2008年に4.35%を付けた他は、2002年からは1~3%の範囲内で推移していて、今のところは問題ありません。ただし、インフレ率は2018年時点ではどちらかというと下向きであり、世界全体が利上げに向かう中でオーストラリアは利上げのタイミングがなかなかつかめずにいます。

また、中国製造業PMI(購買担当者景気指数)と中国GDP成長率もオーストラリアに深く影響するため、豪ドルを売買するならチェックは必須です。

過去にあった特異的な値動き


豪ドル/円の年足始値

1

サブプライムローン問題で55円

豪ドルはオーストラリアの政策金利が高いことを背景に、2001~2005年にかけて上昇、対米ドルでは57%も上げました。さらに中国を筆頭にBRICs経済が好調とあって、資源輸出が拡大したことも豪ドルの上昇を後押しします。

ただ、2007年のサブプライムローン問題の影響を受けて、世界各国の中央銀行が利上げをしたために、オーストラリアの優位性が薄れました。2008年8月に対円で101円を付けていた豪ドルは、9月のリーマンショック時に急落して54.970円まで下げてしまいます。

2

中国のおかげで再び100円に戻る

リーマンショック後の2009年は中国の年でした。中国は4兆元(約80兆円)規模の景気対策を打ち出し、経済が非常に好調となったことから、オーストラリアの輸出も順調に推移、豪ドルは毎年のように上昇します。

さらに世界規模の経済回復と利下げに伴い、再び豪ドルは上昇、2013年4月には再び「1豪ドル=100円台」を付けました。

ただ、2015年に中国経済が後退し始め、さらに原油価格の下落を受けると、豪ドルは再び下落基調となります。特に米国の金利が上昇していることから、対米ドルでは2013年比で30%程度の下落を続けています。

2018年時点の豪ドルの注意点

豪ドルは2018年9月現在、米中貿易戦争による中国経済の動向を受けて神経質な動きをみせています。

ブルームバーグが2018年8月に実施したアナリスト16人への調査結果によると、米国が2,000億ドル相当の中国からの輸入品に関税をかけ、それに対して中国が600億ドル相当の米国からの輸入品に関税をかけた場合、中国の2018年の成長率は0.2ポイント下げるとしています。

さらに2019年には0.3ポイント下げるとされており、このままの関税が維持されると確実に豪ドルの下落要因になってきます。

私たち日本人にとっては、豪ドルはスワップポイントが獲得できる買いポジションを取りやすい通貨ですが、今後の中国経済の動向で下落リスクにさらされることになります。

2018年に入ってからは対ドルと対円とでも豪ドルは下落しています。オーストラリア中央銀行はインフレ率がさらに低下する予測をしているため、利上げも難しい状況であり、豪ドルの上昇余力は乏しいです。

また、オーストラリア政府は資源価格の下落による輸出産業の業績を懸念して、豪ドル高を抑制する姿勢もみせています。

そのため、2018年9月時点では豪ドルは下落要素が強いため、スワップ金利狙いの買いポジションは注意が必要であり、一般的には豪ドル/米ドルでショートにしておくことが基本戦略になるかもしれません。

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公開日公開日 2010.01.19
更新日更新日 2018.10.19

著作・制作など

中野貴利人
監修・執筆・編集
株式会社ネットピコ代表取締役。著書にど素人でも稼げるネット副業の本など。過去の取材はメディア掲載履歴で紹介。