中国元(CNH・CNY)- 長期的に期待できるも為替介入で急変するリスクあり

中野貴利人
監修中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表取締役

中国元(CNH)- 長期的に期待できるも為替介入で急変するリスクあり

  1. 中国元(CNH)の基本データ
  2. 中国の経済的な特徴
  3. 中国元は為替介入で動く
  4. 過去にあった特異的な値動き
  5. 2018年時点の中国元の注意点
  6. 中国元を扱っている10社を比較

中国元(CNH)の基本データ

総合 2.8
評価
表記CNH(ChiNese Hongkong)
為替16.3069円(2018年9月14日)
金利4.35%(2018年9月時点)
国名中国中国
面積9,634,057km²(2011年・3位)
人口13億8,271万人(2011年・1位)
GDP12兆146億ドル(2017年・2位)
1人あたり8,643ドル(2017年・74位)

中国元の5大特性

  1. 世界第2位の経済大国で人口は1位
  2. 2030年にGDPが世界第1位になる
  3. 中国元を完全変動相場制ではない
  4. 中国元は国外と国内の2種がある
  5. 為替介入で一気にレートが動く

中国の経済的な特徴

チェック1

市場を開放して外資がなだれ込む

中国は社会主義のもとで海外とはほとんど取引せず、外貨流入がないために経済発展が望めない国でした。ただ、日本の工場を視察した鄧小平が、1978年に経済発展を目指し「改革開放政策」を実施したことで状況は一変します。

改革開放政策の内容は、海外企業を自国に招き入れることにより、その技術を取り入れようというものでした。独自に技術を高めるよりも真似をしたほうが早いというわけで、かつての日本と同じ考え方です。

そこで日本を始めとした海外企業を誘致するため、中国国内の5カ所に経済特区を設置しました。経済特区では、海外企業が進出しやすいように税制面で優遇し、中国国内の人件費が安い人員を提供します。

海外企業から見ると、自国の工場で生産するよりはるかに安く製造ができるため、多くの企業が中国に進出しました。その工場では中国人らが働き、目論見通りに技術やノウハウを習得していったわけです。

さらに海外の投資マネーも流入して、一気に中国経済は成長しました。さらに東南アジアの新興国と違うところは、中国は外資に頼らずに自国のみで生産した製品を世界に輸出する野望が強かったことです。

チェック2

固定相場で輸出額が飛躍する

中国は外資系の工場で得た生産技術をもとに、自国で製品生産を始めます。さらに中国人民銀行が安く維持していた中国元を使うことで、輸出による利益が増加して、目覚ましい経済成長を遂げました。

貿易会社はすべて中国政府の国営であり、外貨も政府が管理します。そのため、実際の貿易では中国元と外貨が交換されませんし、中国元は中国政府が定めた固定相場の公定レートで取引されます。

しかし、中国からの輸出量が拡大することに伴い、企業の採算性向上や内外の価格差を反映するために、中国元も為替レートの導入が必要となりました。

そこで1979年に中国政府は外貨の一部を企業に売却して、それを企業が貿易で使用できるようにしました。その結果、公定レートとは別に企業が売買するときの外貨調整レートができて、中国では二重レートが一般化します。

チェック3

経済成長のために変動相場制に移行する

中国に対する投資が増えることで、中国は関税と貿易に関する一般協定加盟に乗り出します。一般協定加盟とは、多国間で自由貿易をするために締結される国際協定です。

しかし、一般協定加盟の条件として、中国通貨の二重レートを解消するように求められました。そこで中国は政府が定める公定レートを解消し、中国元が需給によって管理される市場レートへの一本化を図りました。

ただ、これは完全な変動相場ではなく、中国人民銀行がコントロールする管理フロート制の採用に留まります。中国元の基準値を算出して、その基準値を中心に変動幅を制限するシステムです。

このように中国が中国元を完全変動相場制に移行しない理由は、中国の共産主義にあります。変動相場制で中国元の価値をコントロールできないことは、共産主義の機能を失うことを意味します。

また、中国元が完全変動相場制に移行した場合、仮に大幅な中国元安になったときは中国から資本が流出して、経済に大きなダメージを受けます。そのために中国政府はいまだに、通貨を変動相場制に移行しないわけです。

チェック4

中国政府の経済対策が世界を動かす

輸出拡大によって経済成長を遂げた中国はリーマンショック後の経済的混乱を避けるため、4兆元(当時のレートで57兆円)の景気刺激策を打ち立てました。大規模な公共投資やインフラ開発を進めて、内需拡大を図ったわけです。

さらにその資源を確保するため、世界中から鉄鉱石や原油を買いあさりました。その結果、世界の資源国では資源バブルが発生することになります。

次第に景気刺激策は一段落し、内需は伸び悩むことになります。中国経済の成長率は低下し、不良債権も増え始めました。そして、2014年には資源バブルが崩壊し、中国国内では人員や設備のリストラが繰り返されます。

そこで2015年に金融緩和政策を推し進めようと、株式市場活性化に向けて証券口座の規制緩和します。ただ、株式証券を担保に融資を受けて株式を売買する場外配資が活発化したため、上海株バブルが発生します。

中国金融当局はこれを問題視、バブル崩壊を警戒した同年、場外配資を規制したことで上海株は大暴落しました。

さらにその時期、米国が利上げを示唆します。新興国に集まっていた世界の投資マネーが引き上げられて米国市場に流入するとの憶測が広がって、上海株はさらなる下落となりました。これがいわゆるチャイナショックであり、世界の株安を引き起こすきっかけです。

2018年には米国との貿易摩擦問題が発生し、中国国内消費だけではなく、世界中の経済に影響を与え始めています。いずれにしても中国政府の経済対策は、良くも悪くも世界を動かしているわけです。

中国元は為替介入で動く

中国元は為替介入で動く

中国には2種類の中国元が存在する

中国元にはCNYとCNHの2種類があります。CNYは中国人民銀行によって管理されている中国国内のみで取引される中国元です。つまり、国内向けのオンショア市場であり、中国当局がほぼコントロールしています。

もう1つのCNHは香港、シンガポール、台湾、ロンドン経由で国際的に取引できる中国元です。中国政府が中国元の国際化のために開設したオフショア市場であり、為替レートも需要と供給によって変動します。

CNHにも中国政府が市場介入する

自由で公平な売買ができるCNHは、海外投資家が取引をするために値動きは活発です。ただ、それでもCNYとCNHはある程度トレンドが一緒であり、為替レートも似ています。

この理由はCNYとCNHの価格が乖離し始めると、中国政府が市場介入をしているためです。そのため、為替レートは大きく動くことがあり、為替変動リスクは高めです。

また、2つの為替レートが乖離したときをチャンスと捉えることもできますが、CNYとCNHの両方ともに介入が入るため、CNHのみが価格調整されるわけではないことには注意です。

通貨バスケット制で公平性を主張

通貨バスケット制とは、複数の通貨をバスケットに入れるようにまとめ、それらの通貨との交換レートの平均値を算出して、自国の為替レートに反映させる仕組みです。

中国政府は通貨バスケット制で中国元の為替レートを変動させています。ただ、どの通貨を採用して、どのような比率で組み入れるかは中国政府の一存であるため、中国に有利な組み合わせを選んでいます。

それでも一応は世界の通貨に対して変動することをアピールできるため、他国の貿易上の不満を回避できることになります。ちなみに通貨バスケット制は固定相場の一種であり、変動相場制ではありません。

また、中国政府は24カ国の通貨でバスケットを構成しており、2017年1月時点の比率は「米ドル0.2%、ユーロ0.16%、日本円0.12%、香港ドル0.04%、英国ポンド0.03%」などで、経済的に安定している国が中心です。

中国元安の誘導はリスクもある

中国は経済成長をさらに加速すべく、貿易面で有利なように中国元を安めにコントロールしています。しかし、近年では諸外国から中国元安への不満が生じて、安易に中国元安を誘導できなくなりました。

さらに自国通貨安は国の格付けを下げてしまうため、これが中国政府の懸念材料になっています。実際にムーディーズは債務増加と財政悪化を理由に、2017年6月に中国の格付けをA1に引き下げました。

その結果、中国に集まる投資マネーは国外に流出することになるため、中国当局は金利を上げて、あえて中国元を上昇させるように誘導します。中国の1年物貸出金利は2018年9月時点でも4.35%と高水準を維持しています。

過去にあった特異的な値動き


中国元/円の年足始値

1

小さな変動を繰り返すのみ

中国元は固定相場や通貨バスケットによる管理フロート制で、そのレートの換算方法を切り替えて、独特の値動きを見せています。

2000年以降では中国元はドルペッグ制で「1ドル=8.27元」で固定、2005年は通貨バスケット制を採用して「1ドル=8.11元」に切り上げます。いずれにしても基準値を元に増減するために変動幅は小さかったです。

2

リーマンショックで値が動く

2007年は変動幅を±0.3~0.5%に拡大したため、中国元高が「1ドル=7元」まで割り込みました。さらに2008年9月のリーマンショック後には「1ドル=6.83元」まで進みましたが、そこで為替レートを固定相場制にします。

2010年に再び通貨バスケット制に移行した中国元は、好調な輸出産業を背景に上昇を続けました。2012年4月には変動幅は±1.0%まで拡大しています。その後「1ドル=6.0元」前後まで上昇しました。

2018年時点の中国元の注意点

2015年に中国政府は当時の上海株下落による経済失速を回避すべく、中国元の切り下げを実施しました。その結果、中国元の下落を警戒して多くの投資マネーが中国から引き上げられた経緯があります。

その経験を生かして中国政府は米国との間で貿易摩擦が勃発した2018年は、中国元下落に伴う投資マネーの流出をうまく抑えています。ただ、中国元そのものは2015年6月のチャイナショック時に近い水準にまで下げました。

2018年9月時点では「1ドル=6.87中国元」で元高の傾向も見せていますし、中国株は下げ止まりの兆しもみせていまが、今度の米国との貿易問題も含めて注意が必要です。

中国元を扱っている10社を比較

中国元が国際的な存在を高めているように、FXでも中国元を取引する人は増加傾向にあります。それでもオフショア市場の中国元であるCNHを取り扱っているFX会社は10社程度です。

社名 スプレッド スワップ金利
SBI FXトレード 2.58銭
原則固定
3円
YJFX! 3銭 2円
セントラル短資FX 1.9銭 3円
外為どっとコム 1.8銭
原則固定
例外あり
2円
楽天証券(楽天FX) 1.8銭 2円
サクソバンク証券 平均65銭 3円
IG証券 標準1.8銭 -2円
SBI証券 2.9
原則固定
マネックス証券 1.8銭 2円
上田ハーロー 3銭
原則固定
例外あり
1円

情報取得日 2018年9月時点

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公開日公開日 2013.06.06
更新日更新日 2018.09.20

著作・制作など

中野貴利人
監修・執筆・編集
株式会社ネットピコ代表取締役。著書にど素人でも稼げるネット副業の本など。過去の取材はメディア掲載履歴で紹介。