スリッページとは?注文と約定の途中で為替レートがすべること

スリッページとは注文価格と約定価格のずれ
スリッページは「slippage(ずれ)」という意味であり、FXでは「価格差」のことです。画面に表示されていた「注文時の価格」と実際に売買できた「約定時の価格」がずれて、意図しない為替レートで購入してしまう事象です。
例えば、取引画面が「1ドル=100.000円」のときにワンクリックで注文したところ、クリックした瞬間は「1ドル=100.000円」でも、実際に約定して買ったレートは「1ドル=100.005円」だったりします。
これが注文したレートと約定したレートに差が発生するスリッページです。わずか0.5銭ですが、1万通貨を売買した場合は「0.5銭×1万通貨=50円」にもなり、何度も不利なスリッページが起こると損失は膨らみます。
トレーダーらも「レートが0.5銭もすべった」などと指摘するように、割り増し価格で買わされることはデメリットにしかなりません。
そのため、トレーダーは「価格がすべらないFX会社」や「価格を保証しているFX会社」を選ぶことでスリッページに対策しており、またFX会社側も価格がすべらないことをアピールポイントにしています。
ちなみに指値注文では私たちが指定した価格でしか売買が成立しないため、スリッページは起きません。スリッページが起こる注文は成行注文のみです。


スリッページが発生する原因
成行注文をして、スリッページが発生するフローは次の通りです。インターバンク、FX会社、私たちトレーダーによるタイムラグによって、スリッページが発生します。
- インターバンク(銀行間市場)の為替レートがFX会社に届きます。
- FX会社が私たちのパソコンに最新レートを配信します。
- 私たちはそのレートを見て成行注文を出します。
- FX会社もインターバンクに成行注文を出します。
- すでに為替レートが変わっており、価格がずれた状態で約定します。
為替レートがインターバンク、FX会社経由、ユーザーに届き、今度はユーザー、FX会社経由、インターバンクに戻るまでにタイムラグが発生して、為替レートに差が出るわけです。
私たちがFXに利用するスマホやパソコンでは、強靭な光回線とシステムを構築することは難しく、どうしてもタイムラグが発生します。


FX会社による3つのスリッページ対策
FX会社はユーザーに快適な取引環境を提供できるように、スリッページに対して「①価格を比較する、②誤差を許容する、③価格を保障する」という3つの対策を採っています。
①価格を比較するでは、FX会社が発注時のレートと注文時のレートを比較して、誤差がないときのみ約定させる方式です。しかし、これでは誤差があるときに成行注文が通らなくなり、有効な手段ではありません。
②誤差を容認するでは、ユーザーが自分で「スリッページの範囲が0.02銭までなら約定を許可する」などとスリッページを設定できます。つまり、ある程度の誤差を許容して、成行注文を通すやり方です。
③価格を保証するでは、FX会社が注文時の価格を保障して、約定してくれます。FX会社側がリスクを取って、ユーザーに確かな為替レートを提供してくれる仕組みです。
また、すべての対策において、私たちに有利な価格、例えば「1ドル=100.000円」で注文して、99.995円に安くなるスリッページが発生したときは、あえてずれた価格で約定してくれるFX会社も多いです。
大手7社のスリッページを比較
スリッページで価格がすべっても「想定より安く買えて良かった」と有利な価格差が発生して、得をする場合もあります。それでも常に自分が意図した価格で買えることが望ましいでしょう。
例えば、JFXでは月間のスリッページの発生状況を公開しています。2017年8月時点ではスリッページなしが94.6%、有利なスリッページが3%、不利なスリッページが2.4%でした。
このようにスリッページの少なさをアピールしているFX会社は、高性能サーバーやデータベースの多重化による強固なシステムを構築しており、インパクトが大きい経済指標が発表される時間帯でも、高品質な約定率を誇れます。
スリッページの発生率を公開しているFX会社は次のとおりです。
名称 | 発生率 | 調査方法 |
---|---|---|
![]() 詳細を見る | 0% |
|
![]() 詳細を見る | 5.4% |
|
![]() 詳細を見る | 9.6% |
|
![]() 詳細を見る | 22.8% |
|
![]() 詳細を見る | 41% |
|
![]() 詳細を見る | - |
|
情報取得日 2020年1月時点
スリッページがまったく発生しないノースリッページのFX会社には、マネーパートナーズがあり、ハイスペックな約定力が期待できます。
ちなみにスリッページは為替レートの変動に比べれば小さな現象であり、初心者がそこまで気にする必要はないです。売買頻度が多いスキャルピングやデイトレードを行うときに再検討しても構いません。

