米国経済が強い5つの理由!問題もあるが長期ではドル高円安になる

中野貴利人
監修中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表取締役

米国経済が強い5つの理由!問題もあるが長期ではドル高円安になる

  1. 米国は日本と違って魅力的な投資先
  2. ①人口増加が経済を成長させる
  3. ②イノベーションで市場を独占する
  4. ③賃金を上げて利益率を高めている
  5. ④貯蓄ではなく配当が当たり前
  6. ⑤個人消費が堅調でお金が回る
  7. 米国の懸念材料とそれを上回る魅力

米国は日本と違って魅力的な投資先

米国は日本と違って魅力的な投資先

2016年6月に14,952円だった日経平均株価は、2018年1月に23,808円なり、バブル崩壊後の戻り高値を更新し続けました。アベノミクスによる経済成長も続き、2018年8月時点の国内景気は回復基調です。

しかし、賃金はさほど伸びず、個人消費も横ばいが続きます。そのため、景気の良さを実感しない人も多く、2018年1月時点の景気ウオッチャー調査では現状判断指数が49.9となり、好不況の分かれ目である50を切りました。

一方で米国経済は相変わらずの強さを見せており、投資先として魅力的な市場を継続中です。これほどまでに米国経済が強い理由には「人口増加・技術革新・高利益率・配当主義・個人消費」の5つがあります。

兄
米国の経済発展は続くのかな?
弟
2018年10月時点では少なくともあと1年は伸びると予測できる。

①人口増加が経済を成長させる

5つの理由の中でも人口増加は特に米国経済を強くします。技術革新や高利益率なども重要ですが、少なくとも人口が増え続けることは個人消費の増加に寄与しやすく、企業収益、税収、経済成長にプラスに働きます。

逆に人口が減少すると、個人消費も減ってしまい企業収益が悪化して、雇用や企業の自然淘汰が始まります。これには多少の異論がありながらも、日本も人口増加で景気が拡大して、人口減少で景気が悪化していきました。

本来、先進国では一般的に少子高齢化に向かう傾向が顕著です。ところが米国は先進国でありながら人口が増え続けており、経済成長に必要とされる生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は2040年まで増加が予測されます。

この理由の1つが出生率の高さです。世界に目を向けると、先進国で出生率が高い国は2017年時点でフランスの1.96、続いてスウェーデンの1.85、次が米国の1.82となります。

通常、先進国のように1人あたりの所得が高くなるほど、国民は余暇を楽しみ、子供1人にお金をかけるようになるため、出生率が減少しやすいです。日本も例外ではなく出生率は1.4しかありません。

しかし、米国は積極的に移民を受け入れてきた歴史のおかげで、若い人口が増えて出生率も高いです。移民は米国経済にとって必要不可欠であり、ブッシュ、オバマ、トランプ政権でもその政策に変更はありません。

米国ではプライムと呼ばれる25~34歳の年齢層は減少していましたが、2005年に増加に転じてからは、2010年に6,200万人となり、2030年には7,000万人に達すると予測されています。

もちろん、米国は単純に人口が増加すればいいわけではなく、生産性の高い世代が教育を受けることで経済成長を支えていきます。

ちなみに日本では有効求人倍率が上昇していますが、これは日本全体の出生率の低下、生産年齢人口の減少が進んでいることと同時に、人材が必要な仕事を展開する企業が多く、それに対しての応募者が少ないことが原因です。

②イノベーションで市場を独占する

経済成長には技術革新、つまりイノベーションが必要です。日本と同じようにドイツも人口減少が明らかですが、イノベーションを生み出すことで経済成長を遂げ、ドイツ政府は基礎的な財政収支を改善させました。

過去の歴史を振り返ってみても、鉄道、紡績技術、鉄鋼業、自動車産業、家電製品、IT技術といったイノベーションが生まれた国が世界をリードしました。新たな技術の出現により、その国の経済は成長し続けるわけです。

イノベーションが経済面で貢献する理由は、競争力が高まるためです。革新的な商品やサービスのおかげで、他の国や会社と薄利な競争をせずとも市場を一定期間は独占する権利が得られ、優位に収益を確保できます。

逆に革新性に乏しい製品を開発する限りは、他の国や会社との競争に晒されます。各企業は淘汰され、生き残った市場で商売を続けることになるでしょう。それを避けるため、米国ではイノベーションを重視しているわけです。

例えば、国立研究所の機能を基礎研究に特化し、その成果は民間に無償で供与するとの仕組みを導入しています。学校教育においても、科学や数学などに重点を置くSTEM教育に力を入れています。

日本でも遅れて、小学校でプログラミング学習を必須化しますが、常に米国の後塵を拝している状態です。米国はイノベーションを背景に、常に世界をリードする位置を維持しており、それが経済を支えています。

③賃金を上げて利益率を高めている

米国企業は日本企業よりも利益率が高いことが知られています。その理由については見解が分かれますが、あえて3つに絞るなら先ほどのイノベーションに加えて、正当な報酬額と営業力の強化があげられます。

日本企業はデフレの影響もありますが、過去最高益に達しても、従業員のボーナスやベアになかなか反映されません。諸外国の初任給が30万~40万円以上に達していても、いまだに20万円前後に留まっています。

日本のショップやレストランもサービスの質が高く、コスパに優れていることは世界的に知られていますが、労働者の賃金は時給1,000円程度であり、サービスの対価を十分に受け取っていないことも有名です。

その間に米国の給与はどんどん上昇しています。ランチ代が1,000円では足りないことからわかるように、接客業の平均給与は低めながらも従業員に正当な報酬額を渡して、その上で企業は利益を出しています。

また、日本企業では人件費や教育費を削減するために、営業を含めてあらゆる業務を派遣などの外注に頼る傾向が強いです。これに対して、米国企業では自社製品をしっかりと売り込む営業力の強化に予算を振り分けます。

初期コストはかかっても売買チャンスを逃しにくく、利益率は上がりやすいです。例えば、日本のIT企業の利益率は1桁が多いですが、2016年時点ではマイクロソフトは31%、IBMは15%、オラクルは35%と高水準でした。

つまり、米国企業は将来を見据えて人材にお金をかけているということです。その結果、お金をかけられている人たちの生活も豊かになり、お金を使ってくれることで総合的には米国経済を強くします。

④貯蓄ではなく配当が当たり前

④貯蓄ではなく配当が当たり前

米国企業の高い利益率を背景に株価は堅調に推移しており、高配当も実現しています。そもそも日本では株価上昇によるキャピタルゲインが重視されますが、米国では株価の堅調な推移を望みながらも、配当を重視しています。

これは「配当利回り=企業の強さ」と判断されているからです。どの企業も配当金の支払いには神経を使っており、米国企業は短期的な業績が軟調であってもすぐに配当金は下げません。

その結果、米国では投資に積極的になれます。金融庁による2017年の金融レポートによると、家計金融資産における預貯金の割合は、米国は13.7%のみであり、投資に慎重な日本は51.7%を大きく上回りました。

株や投資信託などによる運用リターンの増加率も、1995年からの20年間で米国は2.45倍、日本は1.20倍となっています。シンプルに多くの資金が流入しやすい構造であり、その資金を使って企業はさらに成長を加速させます。

日経平均株価はアベノミクスにより上昇を続けましたが、バブル期の水準にまで戻してはいません。それに対してNYダウ平均は過去数度の危機を迎えながらも、その後は見事に回復して、右肩上がりを続けているわけです。

⑤個人消費が堅調でお金が回る

米国の貯蓄率は2017年10~12月で2.4%でした。これは2008年の金融危機と同水準で低いです。その一方で手取りを意味する可処分所得は高水準をキープしており、特に2017年から急速に上昇しています。

可処分所得が上がっていても貯蓄が下がっている原因は、お金を使っているからです。つまり「可処分所得が増加-個人消費が増加=貯蓄率は低下」となります。

米国のGDPの高さは個人消費に支えられており、お金を使うことで経済が回って、市場が拡大を続けています。

日本のように高齢者が自宅や銀行にお金を貯め込むことはしません。収入が増えたら使いますし、貯蓄は投資に回します。収入が少ないときにはローンを組んでも消費するわけです。

2018年8月時点では可処分所得に占める債務支払い比率が大きく減少しており、今後は住宅ローンやクレジットカードによる借り入れ余力も十分に残っています。

このように個人消費が一定水準で堅調に推移すると、企業は成長しやすく投資マネーも集まり、資金提供者には配当が戻されて、さらに可処分所得の増加につながるという好循環が生まれます。

米国の懸念材料とそれを上回る魅力

経済指標の1つである新築住宅販売件数について、米国は好調を維持しています。しかしながら、これは政府が大量の米ドルを市場にばらまいた結果であり、低所得者でも低金利の住宅ローンが組めるからです。

結果的に新築住宅販売件数が伸びているわけではなく、政府は「新築住宅販売件数が伸びる」とわかっていて、金融政策を行っています。それが2017年10月に終了したこともあり、住宅価格が下落して金利が上昇しました。

米国では2014年に白人警察官が黒人青年に銃弾6発を打ち込んだことにより、暴動が起きました。警察官が市民を射殺する行為は、米国では年1,000件近く起きており、多くは白人の警察官が黒人を射殺する事件です。

背景に人種差別があることは明確ですが、その人種差別が起きてしまう要因に経済格差があります。黒人の失業率は白人の2倍以上、黒人の貧困率は10年間で2倍以上、黒人の平均所得は白人の1/20以下しかありません。

米国には年間3万人以上のペースで違法移民が増えています。累計1,000万~1,500万人以上ともされている違法移民は、そのほとんどが貧困層です。当然、米国に移住しても彼らに仕事はありません。

国が発展する条件は単に「人口が増える=安泰」ではなく、できる限り「生産性の高い人口を増やす=税収アップ」が鉄則ですが、米国では「貧困層が急激に増加=格差と混乱をもたらす」という構図が潜んでいます。

また、世界第1位の経済大国ですが、貿易赤字と財政赤字が続いていており、2013年のように債務上限の引き上げに失敗すると、政府機関が一部閉鎖に現象さえ起きてしまいます。

米国は国際的な影響力がある反面、対ロシア、ウクライナ問題、パレスチナ対イスラエル、イラク問題、中東問題、対北朝鮮など、世界中で地政学的リスクを抱えます。いつでも戦争やテロの標的になりえる国です。

ただし、諸処に問題が山積みでも、世界基準では米国の貧困層は豊かな部類に入りますし、経済格差があっても大量消費をしてくれます。対外的には人口3億人以上を抱える巨大マーケットであり、その購買意欲は世界一です。

具体的には米国のGDP、失業率、個人消費支出、NYダウなどの経済指標が予想よりも上回れば、名目上は「米国の景気は回復基調にある」とされて、その期待感から米ドルが買われて、相対的に円安に向かいます。

米国経済が強い理由をまとめると「生産年齢人口が堅調に増加する、企業はイノベーションでの市場優位性の保つ、企業は利益率の高さを重視する、貯蓄ではなく投資が盛ん、個人消費の意欲が衰えない」ことです。

労働人口や投資人口の増加と共に流入する潤沢な資金を背景に、米国は景気が安定しており、金利も徐々に上げることができました。今後も投資対象国として、非常に魅力ある市場であることがわかります。

兄
米国は人口増加が経済発展に寄与しているね。
弟
逆に日本は人口減少で経済が縮小しやすい不利な状態だ。

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公開日公開日 2014.09.01
更新日更新日 2018.10.19

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中野貴利人
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株式会社ネットピコ代表取締役。著書にど素人でも稼げるネット副業の本など。過去の取材はメディア掲載履歴で紹介。