量的緩和とは?円安・低金利・株高に期待できるがデメリットあり

中野貴利人
監修中野貴利人
2019/04/02 更新

量的緩和とは?円安・低金利・株高に期待できるがデメリットあり

  1. 量的緩和とはお金の流通量を増やすこと
  2. 量的緩和にはデメリットが3つある
  3. 円安になる量的緩和以外の原因

量的緩和とはお金の流通量を増やすこと

2014年10月31日に「1ドル=109円」が一気に112円になったことがありました。これは「民間銀行が保有している長期国債を、日銀が年間80兆円のペースで買い入れる」と決定したためです。

長期国債はリターンが少なく、流動的に売買できないことから、あまり魅力的な金融商品ではありません。それらを日銀が民間銀行から大量に買い取ることで、市場には自由に使えるお金がなだれ込みます。

日本円の需要は急には変化せず、供給量だけが増えたため、日本円の価値が下がっていって、円安になりやすいです。このように通貨の量で通貨の価値が緩和する仕組みを「量的緩和」と呼んでいます。

量的緩和=通貨の流通量を増やす+通貨の価値を緩和させる

量的緩和では「円安、低金利、株高、物価高」が期待できます。日銀は何もない状態からお金を大量に増刷して、そのお金で民間銀行などの金融機関が持つ長期国債を数兆円単位で購入します。

長期国債とは「満期時に額面と交換できる」金融商品です。仮に額面103円の長期国債を100円で買うと金利は3%となります。買いたい人が増え、101円で買うと金利は1.98%、102円で買うと金利は0.98%に下がります。

つまり、長期国債の価格が上がると金利が下がる仕組みです。同様に日銀が長期国債を大量に買うと価格が上昇して、金利は下がっていきました。量的緩和では低金利になりやすいわけです。

この金利は民間銀行が企業や個人に融資を行う際の金利のベースになります。企業は低金利で運転資金が調達でき、個人は低金利で住宅ローンなどを組むことができるため、積極的にお金を使うきっかけになります。

ただ、何十兆円のお金を企業と個人がすべて借りてくれるわけではありません。だぶついたお金は株などの投資に流れます。それを予測して、量的緩和が発表された2014年10月31日には日経平均が4.83%も値を上げました。

また、日本円の流通量が増えると「相対的に物の価値が上がる、既存の日本円の価値が下がる前に物を買う、お金が手に入りやすく購買意欲を促す」ことから、物価高も誘発しやすくなります。

兄
円安に株高なんて、いいことだらけじゃん!
弟
いや、量的緩和にはデメリットもあるんだ。

量的緩和はデメリットが3つある

量的緩和にはデメリットが3つある

1

円安で経済発展しない

1つめは「円安で経済発展しない」ことです。量的緩和をすると、短期的には円安、低金利、株高が起こります。それが適度に継続すると、2%程度のインフレを引き起こし、企業の利益増加と個人の給与増加につながって、経済が発展し続けます。

しかし、実際には円安下でも国内企業の業績は市場予想に反して、そこまで改善しませんでした。むしろ、円安で燃料費から食料品、家畜の飼料まで、輸入品の価格が上がってしまい経営が苦しくなった企業も少なくないです。

また、元々0%に近い金利だったために、これ以上の低金利になっても借り入れや消費を刺激するほどの効果は期待できません。株高も金余りによる投機マネーの流入につながり、実体を伴わないプチバブルとなります。

2

インフレに効果がない

2つめは「インフレに効果がない」ことです。日本円が市場に溢れかえっても、その日本円を使うほどの需要はありません。結果、単に長期国債が日本円に変わっただけであり、インフレや物価高は起きないです。

2

出口戦略に痛みを伴う

3つめは「出口戦略に痛みを伴う」ことです。日銀が長期国債の買い取りを縮小、もしくは停止すると、逆に円高、高金利、株安が起こります。日銀そのものも長期国債の利払いから財政が悪化する可能性が高いです。

兄
つまり、出口では量的緩和の逆をしなければいけない。
弟
正確には逆に近い行為だな。実施するタイミングが非常に難しい。

円安になる量的緩和以外の原因

2000年までは日銀が民間銀行に貸し出す際の金利を上げ下げすることで、お金の流通量を調整し、インフレ率を制御してきました。しかし、2000年に短期金利がほぼ0%で張り付いてしまい、デフレから脱却できなくなります。

そのため、2001~2006年は金利は捨てて、量的緩和を実施しました。2013~2014年には量的緩和に質的緩和が加わり、ETFなども買い入れを行います。さらに2016~2017年はマイナス金利の導入にもいたりました。

FXトレーダーにとっては「量的緩和=円安」ですが、円安になる原因は量的緩和だけではありません。本来はその国の経済が弱くなったり、GDPや失業率などが悪化すると、通貨の人気が落ちて価格が下がります。

例えば、経常赤字が続いたり、テロや戦争などの有事が起きると、その国の通貨は下落します。輸出が不振で輸入が増えても同様です。決済時に自国通貨を外貨に両替するため、それは外貨を買い続ける行為だからです。

逆に経済が好調であったり、他国よりも相対的に評価が高いと、量的緩和をしても通貨高になります。日本も経済基盤がしっかりしており、政治や社会が安定しているために、円高には触れやすいです。

特に輸出が好調であると外貨を多く獲得できます。手に入れた外貨は日本国内で使うため、外貨と日本円を交換します。つまり、外貨を売って日本円を買います。こうして日本円が高くなっていくわけです。

そのため、量的緩和は為替レートには短期的な影響に留まります。私たちは量的緩和のみに着目することなく、全体的な経済指標の推移と相対的な他国との経済バランスを把握しなければいけません。

また、2019年4月時点の予測では、2019~2020年は円高、金利上昇、株安となりそうですが、2021年以降は人口減少リスクと財政緊縮リスクの問題が解決できないため、円安傾向が強いです。

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