スイスフラン(CHF)- 日本円と同じ安全通貨!金利はマイナス1%以下が続く

中野貴利人
監修中野貴利人
2019/05/28 更新

スイスフラン(CHF)- 日本円と同じ安全通貨!金利はマイナス1%以下が続く

  1. スイスフラン(CHF)の基本データ
  2. スイスの経済的な特徴
  3. スイスフランは有事と金相場で動く
  4. 過去にあった特異的な値動き
  5. 2019年1月時点のスイスフランの注意点

スイスフラン(CHF)の基本データ

スイスフランの5大特性
  1. 政治経済が安定的で輸出が好調
  2. 1人あたりのGDPが世界第2位
  3. インフレ率が低くてマイナス金利
  4. 安全通貨で有事で買いが集まる
  5. 第2のスイスショックに注意
総合 2.6
評価
表記CHF(Confoederatio Helvetica Franc)
為替115.82円(2018年9月14日)
金利-1.25%(2019年1月時点)
国名スイススイス
面積41,290km²(2011年・132位)
人口787万人(2011年・93位)
GDP6,785億ドル(2017年・20位)
1人あたり80,590ドル(2017年・2位)

スイスの経済的な特徴

チェック1

経済危機にも動じない資源大国

スイス経済は高価な時計や医薬品の輸出などによって支えられています。2017年のGDPは世界第20位、1人あたりのGDPは世界第2位です。失業率は2018年4月時点で2.98%と低く、政治経済も安定的です。

そのため、スイスの通貨であるスイスフランは有事の際の逃避先通貨としての特徴を持っています。スイスは永世中立国として知られており、軍事的な脅威にさらされるリスクも少ないです。

チェック2

低いインフレ率でマイナス金利が続く

インフレ率が非常に低いことにより、政策金利も低く抑えられています。2019年1月時点の政策金利は、日本が0.1%であることに対して、スイスは-1.25%です。

2018年3月にスイス国立銀行(中央銀行)は「2018年のインフレ率が0.6%にとどまる」と予測し、マイナス金利政策の維持を発表しました。2019年も0.9%になると予測しています。

ただし「2020年のインフレ率は平均1.9%まで上昇する」と予測し、2019年6月には利上げをする可能性があることを示唆しています。

スイスフランは有事と金相場で動く

スイスフランは有事と金相場で動く

有事はスイスフランが買われる

かつては「有事の際はドル買い」でしたが、2001年9月の米国同時多発テロ以降はドル買い信仰は崩れました。その代わりにスイスフランや日本円が買われるようになります。

スイスフランは米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドに続いて、流通量が大きく、信用力も十分であるために国際決済通貨をしても利用されています。自国通貨を国際的な取引で使えない国が、スイスフランに両替するわけです。

スイスフランは世界経済が危機的な状況となったときも買われます。2011年のギリシャ危機でもスイスフランに買いが集まりました。その後、危機が収束すると、スイスフランは売られて金利の高い通貨が買われるようになります。

金相場との相関関係が高い

スイスは世界第6位(2018年6月時点)の金保有国です。歴史的に金保有量は大きく、スイスは紛争や戦争による危機に巻き込まれず、ナチスドイツの金略奪も免れたことが背景にあります。

また、スイス憲法に「通貨の40%を金準備によって裏付ける」とする条項があったことも、現在の金保有率の高さにつながっています。そのため、スイスフランは金相場との相関関係が高いという特性もあります。

キャリートレードに利用される

スイスがマイナス金利政策を続けていることから、スイスフラン売りのキャリートレードに利用されています。キャリートレードとは低金利国の通貨を調達して、高金利国の通貨に交換し、金融商品を購入することです。

スイス国立銀行もキャリートレードによって外国資産を増やしています。このようなキャリートレードが成立するのは、スイスのインフレ率が低く、当面の金利上昇リスクが少ないためです。

FXトレードでも2国間の金利差で発生するスワップポイントを得るために、日本円売り・ドル買いをする人がいますが、2019年1月時点ではスイスフラン売り・ドル買いのほうが高いスワップポイントを得られます。

過去にあった特異的な値動き


スイスフラン/円の年足始値

1

為替介入で1.2スイスフランを維持

2007~2008年に「1ユーロ=1.6スイスフラン」あたりで推移していました。ただ、2008年9月にリーマンショックが世界経済にダメージを与え、2009年にギリシャ債務問題が顕在化することで欧州債務危機が起こります。

この欧州債務危機は尾を引き、世界全体のGDP成長率も低迷しました。そのような中で世界の投資マネーは、安全資産であるスイスフランに流入します。1ユーロあたり1.5、1.4、1.3とスイスフラン高が続きました。

それを受けてスイス国立銀行は「1ユーロ=1.2スイスフラン」を超えることがないように、無制限の為替介入を発表して実行します。これはスイス国立銀行による自国の輸出業を守るための措置です。

つまり、スイスフランが上昇して高値圏になると、スイス国立銀行はスイスフランを大量に売って、通貨安を促します。

投資家やFXトレーダーにとっては稼ぐチャンスです。スイスフランが上昇したところでスイスフランの売りポジションを作れば、スイス国立銀行が売り介入をしてくれるため、投資家は簡単に利益を得られる状態でした。

兄
ボロ儲けじゃん!
弟
ただ、そのあとに事件が起こる。
2

為替介入を止めて0.85スイスフラン

2015年1月15日18時30分にスイス中央銀行が「スイスフラン売りの為替介入をやめる」と突然発表しました。直後にユーロ/スイスフランは高騰して、20分後には1.20フランが0.82~0.85フランにまで上昇します。

これは1ユーロを1.20フランで買っていたところ、0.85フランで済むということです。141%もの急激なスイスフラン高であり、米ドル/円に換算すると「1ドル=100円」が71円の円高になることと同じです。

米ドル/スイスフランや英ポンド/スイスフランなど、スイスフラン絡みの全通貨が急騰しました。スイスフラン/円も115円から162円となり、一時的に131円で落ち着きながらも、日足チャートでは138.835円に達しています。

138.835円に達したスイスフラン/円

その結果、FXでスイスフランを売っていた人から「数百万円のマイナス」や「損失が1,000万円超え」という報告が相次ぎました。

スイスフランの上昇幅は40%程度であるため、100万円分の売りポジションなら40万円を損するのみですが、レバレッジ10倍ならそれは400万円に達しますし、レバレッジ25倍なら1,000万円も損するわけです。

兄
逆指値注文を入れておけば、大損は防げたよね?
弟
この場合は無理だ。逆指値注文も相手がいないと成立しない。

さらにこのスイスフランショックで、顧客らは預けた証拠金以上の損失を出したため、強制ロスカットが膨大になり、海外系のFXCM社は2億2,500万ドルの損失、続いてアルパリジャパンの親会社であるアルパリUKは倒産しました。

兄
なぜFX会社が倒産するんだ?
弟
顧客が出した損失を回収できず、その負債が直撃したんだ。

ちなみにスイス中央銀行がスイスフラン売りの為替介入をストップすることを、一部の投資家らは予測していました。スイス中央銀行がスイスフランを売るということはユーロを買うことになり、大量のユーロを抱え込みます。

しかし、ユーロ圏の景気は悪化するばかりですし、EUの中央銀行であるECBも金融緩和でユーロ安を助長させることを決定して、手持ちのユーロは評価損を免れません。これ以上の市場介入は財力的に限界に達したわけです。

2019年1月時点のスイスフランの注意点

スイス国立銀行はスイスフラン安に誘導するためにスイスフランを売って、外国株や外国債券を購入しています。2017年10月の時点では外貨準備が7,415億フランに達しており、スイスのGDPをすでに上回りました。

このあとのスイス国立銀行の狙いとしては、市場介入なしでスイスフランが下落したところで外貨建て資産を売却することです。これは実質的なスイスフラン買いを意味し、スイスフランの上昇につながります。

また、スイス国立銀行は2020年にインフレ率が2%近くになると予想していて、マイナス金利政策から金利の引き上げに動く可能性が高いです。そうなるといずれにしてもスイスフランに買いが集まります。

そのため、スワップポイントを狙ったスイスフラン売りのポジションをしていると、大きな損失を生み出す可能性があることには注意です。短期では売りでも、中期ではスイスフランは買いと判断できます。

初心者も安心できるFX会社

DMM FX
みんなのFX
外為オンライン