マイナス金利とは?銀行間の金利がマイナスになって円安に動く現象

マイナス金利とは金利がマイナスになること
2016年に日銀はマイナス金利を発表しました。マイナス金利とは「日本の銀行が日銀にお金を預けたときの金利がマイナスになる」ことです。結果、お金を預けると逆に利子を支払うことになります。
それでは銀行は損をするため、積極的に海外や国内への融資や投資をする動きを見せます。これで金回りがスムーズになりますし、金利が低いために企業もお金を借りて、設備投資や新規ビジネスを開拓しやすいです。
これはいわゆる「金融緩和」という施策の1つであり、世の中に出回るお金の量を増やします。その結果、支出増加、売上上昇、給与上昇、物価上昇というインフレになることを望んでいます。
世間的にも定期預金の利率が下がったり、住宅ローンが借りやすくなることは確かですが、現在は米国の利上げ、地政学的リスク、保護主義などの影響で、マイナス金利が短期的な景気刺激策に留まるかもしれません。


マイナス金利時① 円安後に円高に戻る
日本は金利を下げるマイナス金利を実施する一方で、米国では利上げが行われました。その結果、通常は米ドルの保持したほうが金利差で得をするため、ドル高円安になります。さらに円安が株高を誘発する可能性も指摘できます。
実際に日銀がマイナス金利を発表した直後の為替レートは、前月比では米ドル/円が1.56円安となりました。今後もマイナス金利を強めると、このように円安に振れやすいですが、マイナス金利による円安の継続性には懐疑的です。
その理由は日本円がマイナス金利になっても、世界への影響力が薄れているからです。それに日本円は従来より金利が低い通貨であるため、いまさらマイナス金利になっても日本円が売られるほどのインパクトはありません。
一方、米国に利上げについては世界中が注目していますが、すでに為替レートには利上げが織り込み済みであり、予測通りに利上げしてもドル高にはなりません。結果、マイナス金利でも円高がありえる状態です。


マイナス金利時② 高金利通貨が下がる
日本では定期預金に100万円預けても年間1000円も貰えませんが、南アフリカランドなら毎日100円は貰えます。そのため、日本人には日本円で新興国の高金利通貨を買うキャリートレードが人気です。
しかし、2015~2017年を見ても、南アフリカランドなどの高金利通貨は、下落トレンドを維持してきました。これは世界中の投資マネーがリスクが高い金融商品を避けてきたためです。
高金利通貨とは「金利が高い=リスクも高い」という構造で、トルコリラやメキシコペソなども同様です。日本と比べると豪ドル、NZドル、カナダドルも高金利通貨であり、世界経済に不透明感が漂うほど下がります。
それとは別に米国の利上げが加速したことも影響しています。この結果、新興国からは投機マネーが引き上げられて、米ドルが買われました。このときは日本円も売られてドル高円安になりますが、高金利通貨ほどではありません。
相対的に高金利通貨より日本円が売られないことで、高金利通貨は日本円に対しても通貨安となります。直接的に日本円が買われているわけではありませんが、日本がマイナス金利でも円高に向かう理由はこのためです。