【漫画】がん検診とは?PET・CT・MRIなどの画像診断で小さながんを見つける

2020/09/18 更新
「健康診断で検査できない」




「がんの検査項目①」




「がんの検査項目②」




「年齢で変わるがん検診」




がん検査で画像診断が有効な理由
がんの5年相対生存率は限局(部位にとどまっているがん)では90.4%※1ですが、領域(近くのリンパ節や臓器に浸潤したがん)では55.1%、遠隔(遠くのリンパ節や臓器に転移したがん)では13.6%に下がります。
1年間の死亡数が多い胃がんについても、5年相対生存率はステージⅠでは98.1%※2、ステージⅡでは66.4%、ステージⅢでは47.3%、ステージⅣでは7.3%でした。これにより、治療を始めた時期が早いほど生存率が高まることがわかります。
ただ、がんによってはステージⅣまで進行してからではないと、症状として現れないものがあります。例えば、肝臓がんはほぼ症状がなく、かなり悪化してから皮膚や目が黄色くなり、食欲不振が起こったりします。
つまり、自己管理の徹底や体調の変化のみではがんは感知しきれません。また、会社や自治体の一般的な健康診断で実施する血液検査、尿検査、エコー検査、X線検査でも、さまざまな早期がんを見つけることは不十分です。
なぜなら、がん細胞は増殖や転移する際に関連物質を多く出し、血液に混じって、唾液や尿にも混じりますが、早期がんでは関連物質の量が少なく、現在の血液検査と尿検査はそれらを検出できるほどの精度がないためです。
エコー検査も肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓などに有効ですが、技師のスキルに左右されますし、ごく小さながんは発見しにくいです。上部消化管X線検査も胃粘膜表面にできた平坦ながんは画面に映りません。
国立がん研究センターでは血液1滴で多くの早期がんを発見できる検査を開発しており、2020年に実用化を目指していますが、現状、がんによる死亡リスクを回避するには、PET、CT、MRIなどの画像診断による定期的ながん検診が頼りです。
※1 国立がん研究センター「がんの統計'16」
※2 全国がん(成人病)センター協議会「全がん協 部位別臨床病期別 5年相対生存率」
臓器別のがん検査
がんを探す検査は複数ありますが、検査数が多いほど料金は高く、身体的負担も大きいです。ただ、1つの検査ですべてのがんを調べることはできません。がんの部位によって最適な検査が異なるため、組み合わせが必要です。
病名 | 説明 |
---|---|
肺がん | 体内を連続断面で画像化する胸部CTと1度に全身を調べるPET-CTは肺がんのチェックに高い信頼性があります。MRIやエコー検査も有効です。胸部X線検査や喀痰細胞診でもがん細胞の有無を調べられますが、早期がんには向いていません。 |
肝臓がん | CTやMRIで肝臓の脂肪沈着から、肝硬変や腫瘍の有無まで肝障害がわかります。エコー検査でも比較的病変が見つかりやすいです。また、脂肪肝や肝炎などの肝機能障害は総蛋白、AST、γ-GDPなどの血液検査に反応します。 |
膵臓がん | 膵臓は自覚症状に乏しく、血液検査なども見つけにくいですが、肝臓と同じくCTやMRIが有効です。健康診断のエコー検査で異常が見つかったときに、精密検査としてCTやMRIをすることもあります。 |
胃がん | 早期の胃がんは平坦型が多く、粘膜の色しか変化しません。バリウムと発泡剤を飲む胃部X線検査では発見できないため、胃カメラによる胃粘膜の観察が推奨されます。良性の腫瘍やポリープなども発見できます。また、胃疾患の原因であるピロリ菌の有無を調べる検査も有効です。 |
腎臓がん | 腹部エコー検査でがんの有無を調べることができます。エコー検査は被爆や痛みがない検査であるため、毎年受けることができます。PET、CT、MRIも有効です。 |
大腸がん | 最も信頼度が高い検査は下部内視鏡検査です。ただ、人間ドックでもオプションであることが多いため、基本的には便を2回にわたってこすり取り、出血の有無を便潜血検査を継続し、陽性の場合は下部内視鏡検査を行います。 |
前立腺がん | 腫瘍マーカーによるがんの早期発見は期待できませんが、前立腺がんについては腫瘍マーカーのPSAが最も有効な検査です。また、MRIでは前立腺がんの位置からリンパ節への転移までがわかります。 |
乳がん | 触診は医師のスキルに左右され、しこりを見逃すリスクがあります。マンモグラフィは石灰化した小さながんが発見できますが、乳腺が発達した若い世代、もしくは個人差により造影が難しいです。そのため、乳がんは触診、エコー検査、マンモグラフィの組み合わせが有効です。 |
子宮頚がん | 子宮頚部を膣鏡で観察する視診、子宮頸部をヘラのような器具で擦り取る細胞診が一般的です。がん細胞の有無や種類を調べ、精密検査になるとコルポスコープで直接患部をチェックしていきます。 |
PET-CTやMRIを含む定期的な人間ドックがベストですが、価格や被爆リスクを懸念する人もいます。その場合、まずは加齢とともにがんリスクは上昇することを優先しましょう。生涯でがんに罹患する割合は男性63%、女性47%ですが、この多くは高齢者に偏っています。
そのため、人間ドックの受診頻度は30代で3~5年に1度、40代で1~2年に1度、50代以降で1年に1度が目安です。それ以外の期間は「一般的な健康診断+個人的な懸念項目」をチェックしましょう。
がん検診の体験談や口コミ


人間ドック 2年に1回
日本厚生労働省ではがんを予防するために「タバコは吸わない、食塩摂取量を1日10g未満に減らす、野菜の平均摂取量を1日350g以上に増やす、果物類を摂取する、食事中の脂肪の比率を25%以下にする、純アルコールで1日に約60g以上を飲酒しない」と定めています。
同様に世界がん研究基金や日本国立がんセンターでも提唱されており、正しい食生活、適度な運動は共通事項にあります。
私たちは1日3食から摂る栄養の積み重ねでできており、運動で細胞が入れ替わります。つまり、体の代謝をスムーズにすることとがん予防につながるとされています。
しかし、がんのリスクは下げることもできますが、完全に防げるわけではありません。定期検診による早期発見が重要であり、私はMRIと胃カメラは1年に1回、PET-CTは2年に1回受けています。


人間ドック 1年に1回
日本では死因のトップががんによるものです。事前に予防するには健康的な食生活、適度な運動が欠かせません。
遺伝的な要素も強いですが、死亡につながる悪性腫瘍の40%は予防が可能とされています。例えば、肺がんの80~90%はタバコが原因ですので、禁煙や受動喫煙の防止で確率はグッと下がります。
世界で1年間に病気で死亡した患者のうち、悪性腫瘍による死亡は13%を占めました。肺がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんの順に多かったです。
がんは遺伝子の突然変異によって発生します。通常、体は新陳代謝を繰り返し、古い細胞は死滅して、新しい細胞が生まれますが、がんになると古い細胞は死滅せずに細胞分裂を繰り返します。
がん細胞は体内の栄養を吸収して、相当のペースで増殖していきますので、少しも残すことなく全てを取り除くしかありません。外科手術、化学療法、放射線療法などを併用して、体からがん細胞を排除します。
それも早期発見であれば、長期の治療も必要なく、生存率も高まります。そのためにも私は毎年人間ドックを受診しています。