可処分所得の計算式とは?年収から税金と社会保険料を引く

中野貴利人
監修者中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表
2022/02/26 更新本ページはプロモーションを含みます

可処分所得の計算式とは?年収から税金と社会保険料を引く

  1. 可処分所得は「給与×80%」程度
  2. 5ステップで可処分所得は計算できる

可処分所得は「給与×80%」程度

手取りを意味する可処分所得は「給与×80%」程度です。仮にあなたの年収が日本人の平均値に近い400万円の場合、そこから20%程度の税金が引かれて、可処分所得は320万円くらいになります。

ただし、厳密な可処分所得の計算式は「年収-納税額-社会保険料」です。そのため、納税額は「年収から基礎控除や配偶者控除などを引いて、年収に対して累進(数値が増えると負担率が増す)で決められた税率」で算出しないといけません。

そこで年間給与と控除所得控除(所得から差し引ける金額)を入力して、可処分所得を自動計算できるようにしました。所得税と住民税の合計である納税額、健康保険税、厚生年金保険料、雇用保険料の合計である社会保険料もわかります。

  1. 年間給与(賞与や手当を含む)を入力します。
  2. 所得控除を入力します。不明の場合は基礎控除の38万円のみとします。
  3. 計算ボタンを押します。
年間給与
所得控除

可処分所得
納税額
社会保険料

情報取得日 2020年1月時点

フク
フク
年収1000万円も手取りは80%くらい?
先生
先生
68%くらいだぬ。年収が高いほど手取りの割合は減るだぬ。

5ステップで可処分所得は計算できる

チェック1

給与から給与所得控除を引く

給与から給与所得控除を引く

正しい可処分所得の計算は「①給与から給与所得控除を引く、②所得から所得控除を引く、③課税所得に所得税率をかける、④所得税から税額控除を引く、⑤年収から納付額と社会保険料を引く」の5ステップです。

そのため、最初は給与から給与所得控除を引きます。給与所得控除とは「会社員の経費」のような位置づけです。会社員は自営業者のように売上から経費を引くことができない分、一律で給与所得控除が使えます。

給与-給与所得控除=所得

例えば、年間給与が400万円の人の場合、次の式に当てはめることで、給与所得控除が「(400万円×20%)+54万円=134万円」とわかり、所得が「400万円-134万円=266万円」と求められます。

給与などの収入給与所得控除
180万円以下給与年収×40%
65万円未満のときは65万円
180万円超~360万円以下給与年収×30%+18万円
360万円超~660万円以下給与年収×20%+54万円
660万円超~1000万円以下給与年収×10%+120万円
1000万円超220万円(上限)

国税庁(2019年4月)「No.1410 給与所得控除」

ただし、所得には「給与所得、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得」の全10種類あります。

このうち、賃貸経営による不動産所得、個人事業主などの事業所得、美術品の売却益などの譲渡所得、払戻金や賞金の一時所得、年金や一時的な副業による雑所得がある人は、それらも給与所得に足して、総所得を計算します。

チェック2

所得から所得控除を引く

所得から所得控除を引く

先ほど算出した所得266万円から、さらに「所得控除=所得から差し引ける金額」を引きます。所得控除はすべての納税者に対して認められる基礎控除の38万円を含めて、全14種類あります。

名称金額
基礎控除一律38万円
扶養控除
  • 一般38万円
  • 特定63万円
  • 老人48万円
  • 同居老親等58万円
配偶者控除最高38万円
配偶者特別控除最高38万円
寡婦・寡夫控除原則27万円
勤労学生控除27万円
障害者控除27万円
医療費控除医療費-保険金-10万円
社会保険料控除支出分全額
生命保険料控除最高12万円
地震保険料控除最高5万円
小規模企業共済等掛金控除支出分全額
雑損控除
  • ①か②の多い額
  • ①損失額-課税標準×10%
  • ②災害関連支出-5万円
寄付金控除
  • ①か②の低い額-2000円
  • ①特定寄附金の合計額
  • ②総所得金額等の40%相当額

情報取得日 2020年1月時点

これらの中で該当する所得控除がある人は、それらを所得から引くことで課税所得が決まります。

所得-所得控除=課税所得

仮に独身者や共働きである場合で、誤差を気にしないのであれば、基礎控除の38万円のみでも構いません。その場合「266万円-38万円=228万円」が課税所得となります。この課税所得に対して、税金や保険料がかかります。

チェック3

課税所得に所得税率をかける

課税所得に所得税率をかける

課税所得に対して、所得税を求める次の計算式を当てはめます。先ほどの例では「228万円×10%-9万7500円=13万0500円」となります。

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%9万7500円
330万円超~695万円以下20%42万7500円
695万円超~900万円以下23%63万6000円
900万円超~1800万円以下33%153万6000円
1800万円超~4000万円以下40%279万6000円
4000万円超45%479万6000円

国税庁(2019年4月)「No.2260 所得税の税率」

さらに2037年12月31日までは復興特別所得税が追加されます。復興特別所得税の計算式は「所得税×2.1%」であり、年収400万円の人は2700円程度です。

課税所得×所得税率+復興特別所得税=所得税

また、所得税とは別に住民税も計算します。都道府県の住民税は「課税所得×原則4%+均等割1000円」、市区町村の住民税は「課税所得×原則6%+均等割3000円」です。課税所得が228万円の人の場合は「(228万円×4%)+(228万円×6%)+4000円=23万2000円」となります。

フク
フク
復興特別所得税は給与ではなく、所得税をもとに計算するのか。
先生
先生
そうだぬ。実質は給与の0.07%程度に相当するだぬ。
チェック4

所得税から税額控除を引く

所得税から税額控除を引く

すでに所得税と住民税は求めることができましたが、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や配当控除、ふるさと納税などは税額控除に該当し、税金から直接差し引くことができます。所得税からこの税額控除を引くことで、実際の納付額が決まります。

所得税-税額控除=納付額

チェック5

年収から納付額と社会保険料を引く

年収から納付額と社会保険料を引く

4ステップまでで「年収-税金」は計算できましたが、さらに「年収-税金-社会保険料」を引くことで、可処分所得が求められます。社会保険料は健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の3つです。

健康保険料は医療、後期支援、介護に分けて、それぞれに一定のパーセンテージをかけて計算します。年収400万円で、課税所得が228万円の人の場合は15万9300円となります。

厚生年金保険料は毎年料率が上がってきましたが、2020年1月時点の18.3%で計算すると「400万円×18.3%×50%=36万6000円」です。雇用保険料も毎年変動しますが、0.5%とすると「400万円×0.5%=2万円」となります。

結果、年収400万円の可処分所得は税金「13万0500円+2700円+23万2000円」と社会保険料「15万9300円+36万6000円+2万円」を引いた308万9500円でした。大雑把な計算である「400万円×80%=320万円」に近い数値となっています。

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著作・制作

中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表
本業はベンチャー企業のマーケター。副業は26歳で法人化し現在16期目。5冊目の著書「自由にはたらく 副業アイデア事典」を上梓。メディア掲載実績は日経、読売、朝日新聞など150回以上。2児の父。

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