訪問看護師の平均年収は457万円!仕事内容や訪問件数で収入が増える

「時給換算では1898円」




「手当てで給与が上がる」




データ① 平均年収は457万円
訪問看護師の平均年収は457万円、男性平均が469万円、女性平均が456万円でした。平均月収は31万5200円、平均賞与は78万5600円になります。
月31万5200円×12カ月+78万5600円=456万8000円
平均年齢は37.1歳、月労働時間は158時間、平均勤続年数は7.6年、時給換算は1898円、生涯賃金は1億7735万円です。給与の推移は年功序列ではありますが、世代別平均年収は小さいほうです。
訪問看護師は看護が必要な人の自宅に伺って、看護をする仕事です。看護師と違って、当人の生活の一部になって寄り添うスタイルが多いため、夜勤や残業が少ない働き方となり、平均年収は看護師よりも若干下がります。
しかし、高齢者の増加と在宅ケアの要望から訪問看護ステーションは慢性的な人手不足です。その結果、訪問看護師は短時間勤務でも正社員として雇用したり、賞与を付けるなど、人材確保に取り組んでいます。
データ② 医療系の平均年収
医療系の職種における平均年収の一覧です。
職種 | 平均年収 | 平均月収 |
---|---|---|
訪問看護師 | 457万円 | 31.5万円 |
看護師 | 481万円 | 33.2万円 |
准看護師 | 403万円 | 28.2万円 |
看護師補助者 | 295万円 | 20.8万円 |
診療放射線技師 | 524万円 | - |
臨床検査技師 | 475万円 | - |
理学・作業療法士 | 407万円 | - |
医師 | 1240万円 | - |
歯科医師 | 857万円 | - |
獣医師 | 569万円 | - |
薬剤師 | 515万円 | - |
歯科衛生士 | 352万円 | - |
歯科技工士 | 434万円 | - |
データ③ 訪問看護師2人の実例
同じ仕事内容の訪問看護師も年収はまったく異なります。例えば「39歳、女性、経験18年目、東京都」では月給29万円でしたが、1人は残業、夜勤、オンコール有りのため、年収では613万円でした。
項目 | 例① | 例② |
---|---|---|
年収 | 348万円 | 613万円 |
月収 | 29万円 | 41万円 |
賞与 | 0万円 | 130万円 |
年齢 | 39歳 | 39歳 |
性別 | 女性 | 女性 |
経験 | 18年目 | 18年目 |
勤務地 | 東京都 | 東京都 |
勤務先 | 訪問看護ステーション | 訪問看護ステーション |
勤務形態 | 常勤 | 常勤 |
職種 | 訪問看護 | 訪問看護 |
残業 | - | ○ |
夜勤 | - | ○ |
オンコール | - | ○ |
情報取得日 2020年1月時点
訪問看護師の仕事内容
1日に4~5件の自宅を訪問する
訪問看護は病院とは違って、利用者の家庭へ出向いて看護のケアをします。移動は都市部では自転車やバイクのみもありますが、基本的には車で行うことも多いため、普通免許が必要となる場合がほとんどです。
利用者さんの生活の中へ入ってケアをすることから、信頼関係も築いていくことが重要です。今までの生活をなるべく壊さずに看護をしながら、家族が普段ケアするときには医療的な視点からアドバイスもします。
病院勤務との大きな違いは、病院では何十人という患者と関わりますが、訪問看護では時間内はその利用者だけに向き合うという点です。1人の利用者としっかりと関わり、家族全体の満足度を上げることも大切です。
病院にはさまざまな物品が揃っていますが、家庭ではその家にあるもので工夫や代用をします。利用者とその家族のためだけの専任看護師で、病院よりも大変なことも多いですが、人間的でやりがいのある仕事です。
また、訪問看護を受ける人はほぼ高齢者ですが、医師の指示があれば介護する相手は高齢者に限りません。病気やケガなどで在宅で寝たきりの人、医学的に管理が必要な人、病気や療養生活に不安のある人も対象です。
自宅療養している赤ちゃんや病気やケガで動けない会社員も多数います。具体的には小児脳性麻痺、がん末期、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、SCD(脊髄小脳変性症)、統合失調症などの利用者が増えています。
訪問看護師が行う10種類の仕事
訪問看護は主治医指示による処置やケアがベースですが、基本的に1~2人でします。住み慣れた家庭でその人らしく療養生活ができるよう、看護師が自宅へ訪問し、看護ケアと自立援助をすることが目的です。
内容 | 説明 |
---|---|
バイタルチェック | 病気や障害の状態、血液、体温、脈拍を確認する。 |
医療処置 | 医師の指示で血糖値測定、点滴、インスリン注射などをする。 |
医療機器の管理 | 在宅酸素、人工呼吸器、持続点滴、膀胱カテーテルを管理する。 |
療養上の世話 | 身体の清拭、洗髪、入浴介助、食事と排泄を介助する。 |
在宅リハビリ | 拘縮予防や機能回復、嚥下(えんげ)機能を訓練する。 |
床ずれ処置 | 床ずれ防止の管理、工夫や指導をする。 |
認知症ケア | 認知症介護の相談や事故防止のためのアドバイスをする。 |
ターミナルケア | 末期がんや終末期でも自宅で過ごせるように手伝う。 |
介護予防 | 低栄養や運動機能低下を防ぐアドバイスをする。 |
家族支援 | 家族に対して介護方法の指導、アドバイス、相談をする。 |
その家族のケアやサポートも行うために自宅へ直接訪問して、利用者の主治医、理学療法士、作業療法士、言語療法士、ケアマネージャーとの連携を取り、それぞれに合った看護を提供していきます。
毎日4~5件は利用者の自宅へ伺います。1件30~90分ほどの時間で「身体を拭く、排泄のケア、服薬管理」などをしながら、利用者の病態に応じたケアをします。そのため、スケジュールの組み方や時間管理が大切です。
訪問看護師と訪問介護士の違い
世間的には訪問看護師と訪問介護士は混合されがちですが、その仕事内容は大きく異なります。従来、看護師は病院内での医師の補助や病院内での療養生活のお世話が仕事です。
それが2000年に介護保険制度がスタートしてから、看護師は訪問して病院と同等の看護が行えるようになり、基本的には訪問看護師は医療ベースの処置に介護につながるサポートができます。
一方、訪問介護士はホームヘルパーの中でたんの吸引などのごく一部の医療行為も担えるようになりました。それでも介護士であるため、訪問看護師のように点滴などの医療行為は行えません。
いずれにしても訪問看護師と訪問介護士は両者とも需要が急増しており、訪問看護ステーションも各地で増加の一途を辿っています。2014年4月時点では7000カ所以上、看護職員は4万人以上です。
職業 | 内容 |
---|---|
訪問看護師 |
|
訪問介護士 |
|
また、看護師は国家資格を受験する看護師免許が必要ですが、介護士は養成講座を受講した人が取れます。ただし、国家資格である介護福祉士を取得している介護士は、実務的には訪問看護師と同等のケアができます。
注意点は3年以上経験が必要なこと
訪問看護師になる条件としては「病棟経験が3年くらいは必要である」とされています。その理由は病棟経験では医師、看護婦長、先輩看護師、同僚などがいて、いつでも相談できますが、訪問看護師の場合は基本的に1人で利用者の自宅へ訪問し、1人で適切なケアをするからです。
そのため、それなりの看護の知識や経験が必要となってきます。主治医からの指示書があり、それに従い看護をしていきますが、緊急時は現場の判断力が高い専門性が求められるなど、わからないことに直面するケースも増加します。
そのようなときはすべて1人で判断するのではなく、主治医などに電話して聞くこともできますが、訪問看護師には相応の責任感とやりがいが伴うことも特徴です。
ちなみに病院内の看護では、その病院の医師の指示を受けて患者を看護しますが、訪問看護師が基点とする訪問看護ステーションでは、病院や施設に関係なく、幅広く利用者の主治医からの指示書をもとにして行動します。