雇用保険一覧!基本手当など全25種類の支給額や支給条件

中野貴利人
監修中野貴利人 ネットピコ代表
2019/05/28 更新

雇用保険一覧!基本手当など全25種類の支給額や支給条件

  1. 全25種類の雇用保険一覧
  2. 求職者給付(8種)
  3. 就業促進給付(9種)
  4. 教育訓練給付(3種)
  5. 雇用継続給付(4種)
  6. 職業訓練受講給付(1種)

全25種類の雇用保険一覧

雇用保険とは雇用を総合的にサポートする制度であり、目的別に「求職者給付、就業促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付、職業訓練受講給付」の5カテゴリに分かれます。

失業した人が就職活動するときに給付される「失業保険」もその1つであり、求職者給付の基本手当に位置しています。

他にも技能を身につけたい人には「教育訓練給付金」、賃金が75%未満になった高齢者には「高年齢雇用継続給付」、育休で給与が貰えない女性には「育児休業給付」など、全25種ある雇用保険は以下の通りです。

分類名称
求職者給付 基本手当(失業保険)
技能習得手当 受講手当
通所手当
寄宿手当
傷病手当
高年齢求職者給付金
特例一時金
日雇労働者給付金
就業促進給付 就業促進手当 再就職手当
就業促進定着手当
就業手当
常用就職支度手当
移転費 移転料
着後手当
求職活動支援費 広域就職活動費
短期訓練受講費
求職活動関係役務利用費
教育訓練給付 教育訓練給付金 一般教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金
教育訓練支援給付金
雇用継続給付 高年齢雇用継続給付 高年齢雇用継続基本給付金
高齢者再就職給付金
育児休業給付
介護休業給付
職業訓練受講給付 職業訓練受講給付金

情報取得日 2019年4月時点

求職者給付(8種)

基本手当(失業保険)

雇用保険上は「基本手当=失業保険」を意味します。求職者のために期間限定で一定の手当てを支給して、生活の保障と再就職の支援する制度です。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
月額手当=日額手当×28日間
手当総額=日額手当×給付日数

例えば「6カ月間の給与が180万円、年齢37歳、勤続15年、退職理由が倒産による解雇」の場合、日額手当は5,915円、月額手当は165,640円、手当総額は1,419,779円が受け取れます。

技能習得手当

技能習得手当は公共職業訓練を受講する際に、失業保険に加えて支給される手当ての総称です。受講すると貰える受講手当と交通費として貰える通所手当があります。

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受講手当

技能習得手当の1つである受講手当は、公共職業訓練を受けると支給されます。金額は1日500円であり、職業訓練の内容で最大2万円まで増えます。

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通所手当

技能習得手当の1つである通所手当は、公共職業訓練に行くときの交通費として支給されます。電車やバス、もしくは自家用車によるガソリン代も対象であり、上限は42,500円です。

寄宿手当

失業期間中に公共職業訓練を受講することが原因で、生計を維持している同居の配偶者や親族と別居せざるを得ないときに、宿泊費として支給されます。上限は月額10,700円です。

通所手当や職業訓練受講給付金の月額10万円とは別に加算されます。

支給条件
  • 訓練施設までの移動時間が往復4時間以上である。
  • 訓練施設までの交通機関の便が著しく悪い。
  • 訓練施設の特殊性によって泊まらざるを得ない。

ただし、公共職業訓練を受ける人の世帯全体の金融資産が300万円以下、土地や建物を所有していないなどの支給条件もあります。

傷病手当

失業保険の受給資格者が疾病や負傷により、労働力を一時的に喪失しても、その期間が15日未満であれば、通常と同じく失業保険を受給します。

しかし、求職活動をできない期間が15日以上のときは、失業保険が傷病手当に変わります。支給額は失業保険と同じであり、期間は最長1年6カ月です。

支給条件
  • 失業保険の受給資格者である。
  • 失業保険の手続きをしたあとに疾病や負傷をした。
  • 疾病や負傷で15日以上働けない。
  • 健康保険の傷病手当金や労災の休業補償給付を受けていない。

傷病手当を受ける場合は、ハローワークに「傷病手当支給申請書」と「傷病証明書」を提出します。また、求職活動をできない期間が30日以上になると、傷病手当を続けるか、失業保険を最大4年まで延長するかを選べます。

高年齢求職者給付金

65歳を超えた人が離職してしまい、労働の意志と能力を有するにもかかわらず、職業に就くことのできない状態のときに受け取れる給付金です。失業保険とは違って、申請後に一括で支給されます。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
①被保険者期間1年以上=日額手当×50日分
②被保険者期間1年未満=日額手当×30日分

特例一時金

期間限定や季節限定の仕事など、雇用期間が1年未満である仕事に就く人は、失業保険の「離職日以前の2年間に被保険者期間が12カ月以上ある」という要件を満たせません。

その場合は雇用保険制度では短期雇用特例被保険者となり、失業時には失業保険の代わりに特例一時金が一括で支給されます。

基本の支給額は「日額手当×30日分」ですが、2019年4月時点では当面の暫定措置として「日額手当×40日分」に変更されています。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
支給額=日額手当×40日分

支給条件は離職前1年間で、11日以上勤務した月が6カ月以上ある人です。ただし「4カ月以内の期間で雇用される人」と「1週間の所定労働時間が30時間未満の人」は対象外になります。

日雇労働者給付金

日雇労働者や30日以内限定で雇用される労働者が失業したときの給付金です。事前にハローワークに雇用保険日雇労働被保険者資格取得届と住民票のコピーを提出して、日雇労働者被保険者手帳を受け取る必要があります。

この手続きによって、日雇い労働者を雇用する派遣会社が、日雇労働者被保険者手帳に雇用保険印紙を1枚貼り付けて、消印を押します。この印紙を過去2カ月間で26枚以上集めることで、日雇労働者給付金の受給資格が貰えます。

日雇労働者給付金は賃金が高い人ほど支給額も上がる制度です。そのため、雇用保険印紙は1~3級があり、日額賃金が高いときは1級(支給額も高い)印紙、日額賃金が低いときは3級(支給額も低い)印紙が貼られます。

例えば、日額賃金が9,000円だったときは2級の印紙になり、2級の場合は1日あたり6,200円の日雇労働者給付金が受け取れます。

支給額

1級(日額賃金11,300円以上)=7,500円
2級(日額賃金8,200~11,299円)=6,200円
3級(日額賃金8,199円以下)=4,100円

給付日数は過去2カ月間で受け取った印紙の枚数で変わります。印紙の枚数が「26~31枚は最大13日、32~35枚は最大14日、36~39枚は最大15日、40~43枚は最大16日、44枚~は最大17日」です。

就業促進給付(9種)

就業促進手当

失業保険の受給期間中に就職ができて、受給期間が規定の日数分が残っている人を対象とする給付金です。給付金は再就職手当、就業促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当の4種類があります。

1

再就職手当

失業保険の受給期間中に就職したことで、失業保険の給付日数が残ったときに受け取れる手当てです。再就職手当の金額は、給付日数が残り2/3以上と残り1/3以上で異なります。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
①給付残日数2/3以上=日額手当×70%×支給残日数
②給付残日数1/3以上=日額手当×60%×支給残日数

厚生労働省(2018年8月)「再就職手当のご案内」

2

就業促進定着手当

再就職手当を受けた人が、その再就職先の企業に6カ月以上雇用されて、その間の賃金が前の企業の賃金より低かったときに受け取れる手当てです。

支給額

賃金差=離職前の賃金日額-再就職後の6カ月間の賃金日額
支給額=賃金差×暦日数

暦日数とはその月の日数であり、2月は28日間、3月は31日間などです。これは月給制のみであり、日給制や時給制は労働した日数になります。また、支給額には上限があります。

厚生労働省(2018年8月)「就業促進定着手当が受けられます」

3

就業手当

再就職手当の支給条件に当てはまらない人で、失業保険の給付日数が1/3以上残ったときに受け取れる手当てです。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
支給額=日額手当×30%

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常用就職支度手当

身体障害者、知的障害者、精神障害者、65歳以上の高年齢被保険者のような就職困難者が安定した職業に就いたときに受け取れる手当てです。支給額は基本手当の給付残日数で異なります。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
①給付残日数90日以上=日額手当×40%×90日
②給付残日数45~89日=日額手当×40%×給付残日数
③給付残日数44日以下=日額手当×40%×45日

移転費

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移転料

ハローワークが紹介した企業に就職したり、公共職業訓練を受けるために、引っ越しせざるを得ないときに受け取れる費用です。

移転費には鉄道賃、車賃、航空賃、船賃、移転料、着後手当の6種類があります。支給額の目安は単身世帯で「移動距離50km未満は9万円程度、50~100km未満は10万円程度、100km以上は13万円程度」です。

支給条件
  • 通勤時間や移動時間が往復4時間以上である。
  • 雇用先や訓練施設までの交通機関の便が著しく悪い。
  • 雇用先や訓練施設の特殊性によって移転せざるを得ない。
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着後手当

着後とは「着任の後」という意味があり、雇用保険上は再就職先が引っ越しせざるを得ない場所に決まったときに受け取れる手当てです。親族も一緒に引っ越すときは支給額は増えます。

支給額

①親族随伴あり=76,000円
②親族随伴なし=38,000円

求職活動支援費

1

広域就職活動費

受給資格者が広範囲な地域にわたって、就職活動をするときに受け取れる活動費です。鉄道賃、車賃、航空賃、船賃、宿泊費の5種類があり、交通費は全額、宿泊費は8,000円前後が支給されます。

支給条件
  • 交通費はハローワークから事業所までの距離が200km以上。
  • 宿泊費はハローワークから事業所までの距離が400km以上。

厚生労働省(2018年1月)「広域就職活動費と移転費のご案内」

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短期訓練受講費

雇用保険の受給資格者が再就職のために、1カ月未満の教育訓練を修了したときに受け取れる費用です。すでに支払った教育訓練費の20%が戻ってきます。上限は10万円です。

厚生労働省(2017年1月)「短期訓練受講費のご案内」

3

求職活動関係役務利用費

企業説明会、筆記試験、面接などの求職活動、もしくは公的職業訓練の受講のために、認可保育所、認可幼稚園、認定子ども園などの保育サービスに子供を預けたときに受け取れる費用です。

支給額

保育サービス利用料×80%

厚生労働省(2017年1月)「求職活動関係役務利用費のご案内」

教育訓練給付(3種)

教育訓練給付金

労働者のキャリアと能力開発を支援して、雇用の安定や就職の促進を目的とした給付金です。給付金は一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、教育訓練支援給付金の3種類があります。

1

一般教育訓練給付金

雇用保険の被保険者期間が3年以上ある在職者や離職者が、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了したときに受け取れる給付金です。上限は10万円、下限は4,000円になります。

支給額

教育訓練経費×20%

一般教育訓練の例としては、基本情報技術者、簿記、介護職員などがあります。

2

専門実践教育訓練給付金

雇用保険の被保険者期間が3年以上ある在職者や離職者が、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を受講、もしくは修了したときに受け取れる給付金です。上限は年間40万円、下限は4,000円になります。

支給額

教育訓練経費×50%

一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の違いは、訓練期間の長さです。一般教育訓練は1年未満である訓練ですが、専門実践教育訓練は1~3年の訓練になります。

例えば、建築士、看護師、保育士などの「業務独占資格」、工業、医療、商業実務などの「専修学校」、高度な専門職を要請する「大学院」、ITSSレベル3以上の「ITスキル」、A.I.などの「第四次産業革命スキル」が該当します。

また、修了日から1年以内に雇用されたときは、追加支給として「教育訓練経費×20%」が受け取れます。

3

教育訓練支援給付金

専門実践教育訓練給付金を受け取る45歳未満の離職者で、基本手当の支給条件を満たさず、基本手当が受け取れない人が対象です。支給額は日額手当に対して50%ですが、2022年3月31日までは80%に増えています。

支給額

日額手当=6カ月間の給与÷180日×50~80%
支給額=日額手当×80%

雇用継続給付(4種)

高年齢雇用継続給付

60歳以上65歳未満の人で、60歳時点と比べて賃金が75%未満に下がった人を対象とする給付金です。給付金は高年齢雇用継続基本給付金と高齢者再就職給付金の2種類があります。

1

高年齢雇用継続基本給付金

雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、60歳時点と比べて賃金が75%未満に下がったときに受け取れる給付金です。支給額は賃金の低下率によって差があります。

支給額

① 賃金が61%未満=月額賃金×15%
② 賃金が61~75%未満=月額賃金の15%未満

例えば、60歳時点の月額賃金が35万円だった人が、61歳のときに月額賃金が21万円に下がった場合、低下率は「35万円×21万円=60%」のため、高年齢雇用継続基本給付金は「21万円×15%=月31,500円」が受け取れます。

2

高齢者再就職給付金

雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人が、再就職したときに受け取れる給付金です。ただし、1年以上の雇用が前提である場合のみです。

支給額

①賃金が61%未満=月額賃金×15%
②賃金が61~75%未満=月額賃金の15%未満

支給条件は基本手当の給付残日数が100日以上であり、給付期間は基本手当の給付残日数が100~199日は1年間、200日以上は2年間です。支給額は高年齢雇用継続基本給付金と同じく、賃金の低下率によって差があります。

育児休業給付

育児休業で賃金が80%以上が支払われないときに受け取れる給付金です。給付期間は出産日、8週間の産休を経て、育休が開始したときから、子供が1歳になる前日までです。

ただし、給付期間はパパが育休6カ月、ママが育休6カ月を取得する「パパママ育休プラス制度」では1歳2カ月未満、待機児童で「支給対象期間延長」したときは1歳6カ月または満2歳未満に延びます。

支給額は育休1~180日とそれ以降で割合が異なります。

支給額

賃金日額=6カ月間の給与÷180日
①育休1~180日(産後56~236日)=賃金日額×支給日数×67%
②育休180日以降(産後56~236日)=賃金日額×支給日数×50%

育児休業給付金は第1子だけではなく、第2子や第3子でも同額であり、育児対象は実子や養子を問いません。

子供が1歳の誕生日を迎えたり、次の子供が生まれて産前休業に入る場合は、その時点で育児休業が終了となり、育児休業給付もストップします。

介護休業給付

介護休業で賃金が80%以上が支払われないときに受け取れる給付金です。給付日数の上限は93日間、回数は3回までです。

支給額

賃金日額=6カ月間の給与÷180日
支給額=賃金日額×支給日数×67%

介護として認められる家族は「配偶者、父母、子供、配偶者の父母」、同居していれば「祖父母、兄弟姉妹、孫」も対象になります。

支給申請は「休業開始時賃金月額証明書」に加え、支給申請書の内容を証明できる「賃金台帳や出勤簿など」を添付し、ハローワークに提出します。

職業訓練受講給付(1種)

職業訓練受講給付金

雇用保険を受給できない人が職業訓練を受講するときに受け取れる給付金です。さらに交通費である通所手当や宿泊費である寄宿手当も受け取れます。

支給額

月額10万円

ただし「本人の月収が8万円以下、世帯全体の月収が25万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、土地や建物を所有していない」などの支給条件もあります。

厚生労働省(2019年4月)「求職者支援制度があります」

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著作・制作など

中野貴利人
監修・執筆・編集
株式会社ネットピコ代表/フクポン運営/副業プランナー。新卒で副業開始、26歳で法人化、11期目。副業関連の著書4冊。2児の父。過去の取材や講演はメディア掲載履歴で紹介。