【漫画】第20話「会社員の平均年収は400万円前半で停滞!2019年公表は441万円」
「平均年収は441万円」
「20~60代の年収は?」
「下がり続ける年収」
「今後も手取りは減る」
- 会社員の平均年収は441万円
- 平均年収別の人口分布では300万円台が最多
- 年齢別の平均年収は50~54歳が最高
- 男女別の平均年収では格差あり
- 業種別の平均年収ではインフラ業が最高
- 日本人の平均年収にある7つの特徴
会社員の平均年収は441万円
民間企業で働く人たちの平均給与は国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計調査」でわかります。このデータは翌年9月に発表されるため、現時点では2019年公表の平成30年分(2018年分)が最新版です。
日本人の2018年における平均年収は441万円でした。平均年収は毎年1~3%ずつ上昇していくことが理想ですが、1997年の467万円と比較すると26万円のダウン、月収換算では2万1700円も低い状態です。
年 | 全国 | 東京都 | 沖縄県 |
---|---|---|---|
1997 | 467万円 | - | - |
1998 | 465万円 | - | - |
1999 | 461万円 | - | - |
2000 | 461万円 | - | - |
2001 | 454万円 | - | - |
2002 | 448万円 | - | - |
2003 | 444万円 | - | - |
2004 | 439万円 | - | - |
2005 | 437万円 | - | - |
2006 | 435万円 | - | - |
2007 | 437万円 | - | - |
2008 | 430万円 | 600万円 | 325万円 |
2009 | 406万円 | 595万円 | 327万円 |
2010 | 412万円 | 574万円 | 323万円 |
2011 | 409万円 | 596万円 | 323万円 |
2012 | 408万円 | 582万円 | 339万円 |
2013 | 414万円 | 580万円 | 333万円 |
2014 | 415万円 | 613万円 | 339万円 |
2015 | 420万円 | 624万円 | 356万円 |
2016 | 422万円 | 606万円 | 350万円 |
2017 | 432万円 | 615万円 | 366万円 |
2018 | 441万円 | 622万円 | 369万円 |
1997~2016年の20年間で見ると、民間企業の平均年収は上がっていませんが、2012~2017年は連続で増え続けており、2017年にようやく2008年のリーマンショック前の水準に戻りました。
ただ、日本人の平均収入は昭和63年と同水準に落ち込み、バブル崩壊以後は「失われた20年」とも揶揄されました。現在では税金と社会保険料の負担率は上がり、手取り額の減少は平均年収の減少より厳しいです。
企業は賃金のベースアップに躊躇し、長時間労働の是正で残業は原則禁止、賞与も不安定な人が多い中、一気に年収が落ちてしまい、住宅ローンの返済が滞る家庭や日々の生活さえも苦しい高齢者も散見されます。
日本企業の生産性は常に世界的に下位グループにあり、さらに労働力人口が年々減少する社会構造にシフトしたことで、日本全体の総合的な成長力になかなか希望を見いだすことができません。
源泉徴収した所得税額は2000年に約9兆2000億円で、毎年それを下回る数値でしたが、2017年以降は10兆円以上に回復しました。しかし、これも女性の社会進出の影響が大きく、1人あたりの給与は微増に留まっています。
地域格差も顕著です。全国平均は441万円でしたが、東京都は622万円もある一方、沖縄県は369万円と毎年低い数値となっています。生涯賃金に換算すると約8000万円の地域格差です。
そのような現状に憂い、危機意識を抱いた人たちが、副業に興味を持ち始めています。特に近年では「本業で上がらない年収を補填したい」という女性の副業者が目立つようになってきました。
平均年収別の人口分布では300万円台が最多
2019年9月に公表された日本人の平均年収は441万円であり、調査機関は国税庁、調査対象が31万6885人の給与所得者を標本としていることからデータの信頼度は高いです。ただし、平均は実態を反映していないケースが多々あります。
例えば「年収200万円=3人、年収400万円=3人、年収600万円=3人」がいたとき、9人の平均年収は400万円ですが、そこに年収1億円の社長が1人加わっただけで、10人の平均年収は1360万円に跳ね上がってしまいます。
(200万×3+400万×3+600万×3+1億×1)÷10=1360万円
この平均年収では誤解を招きがちです。実際の調査でも年収100万円以下から年収2500万円超えの人までいるため、偏りは発生しています。そこで次に平均年収別の人数の分布を調べてみましょう。
年収 | 人口 | 割合 |
---|---|---|
0~100万円 | 401万人 | 8.1% |
101万~200万円 | 670万人 | 13.7% |
201万~300万円 | 762万人 | 15.2% |
301万~400万円 | 867万人 | 17.2% |
401万~500万円 | 748万人 | 14.9% |
501万~600万円 | 515万人 | 10.2% |
601万~700万円 | 329万人 | 6.5% |
701万~800万円 | 221万人 | 4.4% |
801万~900万円 | 145万人 | 2.9% |
901万~1000万円 | 93万人 | 1.9% |
1001万~1500万円 | 180万人 | 3.6% |
1501万~2000万円 | 39万人 | 0.8% |
2001万~2500万円 | 13万人 | 0.3% |
2501万円~ | 16万人 | 0.3% |
最も人数が多い層は年収301万~400万円の867万人、続いて年収201万~300万円が762万人、次にようやく平均年収を含む年収401万~500万円の748万人がランクインします。ちなみに年収101万~200万円も670万人います。
これだけ見ても「平均年収441万円より少ない給与所得者の割合が多く、一部の人たちが平均年収を押し上げている」と推測できます。
今度は平均年収別の人数の分布の中央値を調べてみます。中央値とはすべての数値を順番に並べたときに真ん中に来る年収です。こちらであれば、ゼロに近い人や桁外れな人を除外した、真ん中の人がわかります。
年収が低いほうから「8.1+13.7+15.2+17.2%」と割合を足していくと、年収301万~400万円で50%に達します。つまり、年収400万円以下の層に中央値が存在しており、年収350万円程度が中央値と推測できます。
年齢別の平均年収は50~54歳が最高
年齢別と性別で平均年収を分けました。年齢別は20代が318万円、30代が429万円、40代が489万円、50代が525万円、60代が371万円です。性別では男性が545万円、女性が293万円と、男女で1.86倍の格差が発生しています。
年齢 | 男性 | 女性 | 全体 |
---|---|---|---|
全年齢 | 545万円 | 293万円 | 441万円 |
19歳以下 | 162万円 | 137万円 | 137万円 |
20~24歳 | 284万円 | 249万円 | 267万円 |
25~29歳 | 404万円 | 326万円 | 370万円 |
30~34歳 | 470万円 | 315万円 | 410万円 |
35~39歳 | 528万円 | 314万円 | 448万円 |
40~44歳 | 581万円 | 319万円 | 476万円 |
45~49歳 | 635万円 | 313万円 | 502万円 |
50~54歳 | 682万円 | 322万円 | 529万円 |
55~59歳 | 686万円 | 298万円 | 520万円 |
60~64歳 | 537万円 | 242万円 | 416万円 |
65~69歳 | 410万円 | 211万円 | 326万円 |
70歳以上 | 382万円 | 206万円 | 306万円 |
男性の平均年収は19歳から54歳まで年功序列で上昇していき、55~59歳でピークの686万円に達します。一方で日本企業は実力主義にシフトしはじめ、30代で年収1000万円や40代で給与が急降下することも一般的です。
女性の平均年収は年功序列ではありません。若い世代が医療や介護に従事することで、25~39歳の年収が底上げされました。ただ、20~64歳の年収は最低249万円、最高326万円であり、100万円以内に範囲に収まっている状態です。
女性の賃金が伸びない要因の1つは出産や育児で仕事を休むと、正社員としての職場復帰が難しく、キャリアが分断されることです。これを防止するためには長時間労働の抑制して、男性の積極的な育児参加が求められます。
男女別の平均年収では格差あり
今度は男女別で平均年収の割合を調べてみます。男性は年収401万~500万円の人が17.8%と最も多く、女性は101万~200万円の人が23.8%を占めています。男性のほうが平均年収の中央値が高いことがわかりました。
年収 | 男性人口 | 女性人口 |
---|---|---|
0~100万円 | 3.3% | 15.0% |
101万~200万円 | 6.6% | 23.8% |
201万~300万円 | 11.0% | 21.0% |
301万~400万円 | 17.3% | 17.2% |
401万~500万円 | 17.8% | 10.8% |
501万~600万円 | 13.5% | 5.6% |
601万~700万円 | 9.2% | 2.8% |
701万~800万円 | 6.4% | 1.5% |
801万~900万円 | 4.4% | 0.7% |
901万~1000万円 | 2.8% | 0.4% |
1001万~1500万円 | 5.6% | 0.8% |
1501万~2000万円 | 1.2% | 0.2% |
2001万~2500万円 | 0.4% | 0.1% |
2501万円~ | 0.5% | 0.1% |
年収300万円以下の割合は男性20.9%に対して、女性59.8%もあり、女性のほうが生活が苦しいことがわかります。ただし、傾向としては女性の平均年収の上げ幅が男性より大きく、徐々に男女差は縮まっています。
また、男性で年収901万~1000万円の人が2.8%いることに対して、年収1001万~1500万円の人のほうが5.6%と多い理由は、集計幅が100万円単位から500万円単位に広がったためです。
業種別の平均年収ではインフラ業が最高
次は業種別の平均年収です。性別、年齢、学歴で給与に違いがありますが、業種間でも大きな差を発生しています。例えば、電気・ガス・熱供給・水道業は759万円でしたが、宿泊業・飲食サービス業は251万円です。
ここ数年は人手不足で建築業、宿泊業・飲食サービス業、運輸業・郵便業など全体的に賃金は上昇傾向、逆にマイナス金利などの影響で金融業・保険業は下落傾向ですが、それでも同じ1人の給与に3.26倍の差が発生しています。
業種 | 平均年収 |
---|---|
建設業 | 502万円 |
製造業 | 520万円 |
卸売業・小売業 | 383万円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 251万円 |
金融業・保険業 | 631万円 |
不動産業・物品賃貸業 | 446万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 759万円 |
運輸業・郵便業 | 445万円 |
情報通信業 | 622万円 |
医療・福祉 | 397万円 |
学術研究・専門・技術サービス・教育・学習支援業 | 498万円 |
複合サービス事業(郵便局・協同組合) | 437万円 |
サービス業 | 363万円 |
農林水産・鉱業 | 312万円 |
ちなみに国家公務員は人事院の「平成30年 国家公務員給与等実態調査」によると平均686万円でした。ただし、同じ国家公務員でも事務次官、医師、高度専門職は年収1000万円超、守衛、用務員、運転手は500万円台です。
地方公務員は総務省の「平成30年 地方公務員給与実態調査」によると平均589万円でした。都道府県では静岡、神奈川、三重がトップ3、市区町村では1位が島根県大田市で774万円、最下位が東京都青ヶ島村で372万円でした。
日本人の平均年収にある7つの特徴
1世帯あたりの平均所得もダウンしている
厚生労働省の「平成29年 国民生活基礎調査」によると、2017年の1世帯あたりの平均所得は552万円でした。2000年以降で過去最低だった2008年の547万円から5万円のみアップしています。ちなみに子育て世帯は共働きの影響で782万円、高齢者世帯は336万円です。
ただ、1世帯あたりの平均所得は1994年の664万円をピークに徐々に下がり、現在は昭和の終わりと同水準です。就職氷河期を経験したさまよう世代は給与が上がる経験をせず、それより上の世代も大幅に下がっています。
その結果、この不況下において「生活が苦しい」と答えた世帯の割合は、14年連続で50%超えました。借金が増え続ける日本財政は国民の生活に重く圧しかかり、年収アップに期待できないという声が消えません。
非正規社員の年収は200万円代でストップ
アルバイト、パート、派遣社員、契約社員を含む非正社員の賃金は、10~20年働いてもほとんど上昇することはあまりありません。
業務内容は正社員と変わらない、むしろそれ以上の働きをしている人も実在している中で、非正社員の年収は正社員の半分に留まり、平均年収は200万円台とかなり厳しい数値になっています。
努力して生まれた格差は正しい格差ですが、今の日本の労働格差は受け入れられないです。給与格差、男女格差、学歴格差に加え、是正されない雇用格差、さらに業界、企業、地域格差の広がりが家計を直撃しています。
大卒の初任給は人材確保のためにアップ
厚生労働省の「平成30年 賃金構造基本統計調査」によると、初任給の平均値は大卒が20万6700円、高卒が16万5100円で推移しています。日本人の平均給与は減少傾向ですが、新卒の初任給は上昇傾向が続いています。
ただし、就職活動中は気にしていた企業の初任給も、1年も経てば初任給よりも上司の給料、3年も経てば昇給と税金、5年も経てば人生設計を考えるようになり、結局は入社後の努力次第で給料は変動します。
年齢を重ねても給与は上がりにくい構造
一昔前の日本のように、終身雇用であれば一生安泰というわけにもいきません。不況で上場企業の倒産が相次ぐ中、倒産しなくても社員全体の給与を下げて、事業を存続しようとする会社も多いです。
過去の退職年齢だった60歳を過ぎた人材を再雇用する法律もでき、そのしわ寄せは現役世代の給与減に響きます。こうして年齢を重ねても給与が上がりにくい構造ができあがるわけです。
50代半ばになると取締役に就ける人がいますが、その大半がグループ企業に異動したり、別の就職先を斡旋される人も多いです。それ以上に突然解雇を言い渡されてるケースも目立っています。
また、仮に代表取締役に就いても、同世代の人たちとの給与差は数百万円レベルであり、そこまで差ありません。そのため「仕事に時間を奪われるなら、平社員のままで問題ない」と考える人たちも増えてきました。
税金と物価が上がって生活が苦しい
歳出の中では特に社会保障費が上がり続けています。その結果、消費税をアップせざるを得ません。加えて、生活必需品の物価は上昇傾向にあり、生活が豊かになった実感は全くないです。
今後は一時的に景気が回復しても「長期的には財政難から悪化していく」と予測されており、全員が危機意識を持って、日常生活の貧しさと正面からぶつかることになるでしょう。
若い世代は65歳になっても年金が貰えない
2013年からは年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられています。これは国民の平均寿命が延びたため、退職年齢も65歳に底上げして、労働力人口を増やすことが狙いです。
ただし、今の20代が65歳になる頃は、支給開始年齢は70歳くらいになるかもしれません。そのため、1つの会社で40~50年以上も働く将来設計は現実的ではないと受け取られています。
副業で収入を増やす選択肢
平均年収のこうした現状を踏まえて、収入を少しでも増やしたいと考えるサラリーマンは多く、会社員の10~30%が副業をするまでになりました。
もちろん、副業ではなく、出世や転職でも収入はアップできます。しかしながら、出世で年数十万円もアップすることはないですし、本業の会社に期待することは依存度が高くて、決して効率的とは言えません。
出世や昇給をするにも仕事で成果を収め、個人のスキルや語学力を磨き、管理能力を向上させて、上司に好印象を持たれてから、1年に1度あるチャンスを待たなければいけないです。
転職でも新しい環境に置かれるたびにストレスがかかりますし、転職で給与が増える確率は50%以下とのデータもあり、むしろ業界によっては減る覚悟も必要です。また、転職を繰り返せるほど日本企業は甘くありません。
「現状の本業は維持して、空いた時間を有効利用したい」
「不景気で今の会社での給与アップは期待はできない」
「転職は精神的な負担は増え、収入が減るリスクもある」
目標と熱意を携えた上で自分に合った副業を見つけることができれば、確実に今の生活よりも豊かになり、将来への不安の打開策にもつながります。
副業する行為そのものにリスクは発生しません。空いた時間にダラダラと過ごすか、お金を稼ぐために努力をするかの違いになります。