【漫画】第15話「副業のリスクとは?就業規則や法律違反など7つに注意」

中野貴利人
監修中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表取締役

「副業はリスクあり!」

副業にはリスクやデメリットが潜んでいるだぬ‥‥ 副業はプライベートの時間をお金に換えるだけ 甘いだぬ!よくある副業のリスクを7個教えるだぬ 就業規則に違反する

「賠償請求や逮捕も!」

同僚に副業がばれる 本業に集中できない 生活リズムが崩れる 公務員法に抵触する

「まずは就業規則を!」

法的リスクが増す 犯罪行為で捕まる この中では最初に就業規則を確認すべきかも (1)会社の許可無く他の会社の役員や社員を兼務してはならない

「えっ!?副業できない」

副業できないじゃん! でも過去の調査では約34%の人が副業中だぬ 副業をしたくても就業規則で副業NGのときは次の選択肢があるだぬ 親戚の名義を借りるや会社に秘密にするは配偶者名義で副業をするダメ?
  1. 副業禁止は法律上は無効である
  2. モデル就業規則でも副業を認めている
  3. 副業で会社と裁判沙汰になった10例
  4. 副業に潜む注意すべきリスク
  5. 労基法・労災・過労死には未対応
  6. 毎年起こる会社員の副業事件簿

副業禁止は法律上は無効である

就業規則で「副業禁止」に言及していても、法律上は副業そのものを禁止することはできません。就業規則で有効な部分は「副業が原因で本業に悪影響があったときの懲戒処分の内容」までです。

憲法では「職業選択の自由」が認められており、本業以外の仕事をすることには個人に裁量があります。法律上も国家公務員法と地方公務員法で副業を禁じている以外に、副業に言及する箇所はありません。

つまり、本業の会社における労働契約や業務命令の1つとして副業禁止を定めても、憲法のほうが上位であるため、会社は副業を認めざるを得えないです。

逆説的には「法的な拘束力が働かないからこそ、多くの会社が就業規則で副業を禁止している」とも言えますが、就業規則とは「就業時間内のルール」であり、就業時間外のプライベートに干渉するほどの影響力は持ちません。

過去の裁判例でも「副業によって本業の業務に支障が出た、本業の会社に損失を招いた、本業に多大なリスクが生じた」以外は、副業による懲戒処分は無効という判決が出ています。

そのため「就業規則に副業禁止とあり、副業が原因で本業に何らかの悪影響が出たとき、もしくは出るリスクが高いときは懲戒処分とされるが、基本的に副業そのものは問題ない」との認識で構いません。

一方でいくら社会的に副業を認めていても、本業の会社が副業を好ましく思わない以上、あなたの行為が評価や査定を下げるかもしれません。その場合は会社や上司と建設的な話し合いをすることも必要です。

主人公
主人公
本来は退社したら自由時間だもんね。
貧乏神
貧乏神
本業に支障が出なければ、何しても構わないだぬ。

モデル就業規則でも副業を認めている

厚生労働省が制定したモデル就業規則では、労働者の遵守事項(第11条)に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と明記されています。

各企業もこの1文に準ずることで、社会的に「副業=禁止」の認識が広がりました。就業規則に反して副業をした違反者は懲戒処分となり、従業員もそれを受け入れる流れが一般的ではあります。

しかし、2018年1月にモデル就業規則が改定されて、この1文が削除されました。本来より就業規則に副業を禁ずる法的拘束力はありませんが、これで社会的にも雇用者に遠慮することなく、副業ができるようになりました。

さらに最新のモデル就業規則には「第14章 副業・兼業」の項目が新たに追加されています。そこでは「副業する際は届け出が必要なこと」や「会社が副業を禁止できる例」などを定めています。その要約は次のとおりです。

第14章 副業・兼業

第67条
1. 労働者は勤務時間外に他の会社の業務に従事することができる。
2. 労働者は副業・兼業をするときに、事前に会社に届け出をする。
3. 次に該当する場合は、会社は副業・兼業の制限や禁止ができる。
①本業の業務に支障が出る場合
②本業の企業秘密が漏洩する場合
③本業の企業の信用を損なう場合
④本業の企業の利益を害する場合

ただし、就業規則で副業が認められていても、ビジネスパーソンがリスクなく自由に副業できるわけではありません。

モデル就業規則にあるような「本業の業務に支障が出た、本業の企業機密を漏洩した、本業の企業の信用を損ねた、本業の企業の利益を害した」場合は、就業規則に違反したことで懲戒処分の対象になります。

主人公
主人公
厚生労働省も副業は推進したいんだね。
貧乏神
貧乏神
人材の流動性を高めて、労働力不足を補うことが狙いだぬ。

副業で会社と裁判沙汰になった10例

副業による疲労に対して「本業の業務に悪影響を及ぼしている」ことを数値で証明することは難しいです。同じく「本業の企業ブランドが失墜した」も不明瞭であり、結局は裁判で争うことになります。

実際にあった副業に関する判例は次のとおりです。職業や業務内容によって判決は異なり、同じ副業でも解雇の有効と無効に分かれたり、会社に損害賠償請求できた事件もありました。

判例内容
マンナ運輸事件
2012年
  • 準社員がアルバイトを申請
  • 理由なしで2回不許可
  • 会社の不法行為に該当する
  • 慰謝料を受け取る
東京都私立大学教授事件
2008年
  • 無許可で語学学校で働く
  • 講義を休講したことで解雇
  • 副業は夜間や休日だった
  • 懲戒解雇は無効
ジャムコ立川工場事件
2005年
  • 病気休業中に自営業を開始
  • 懲戒解雇は有効
十和田運輸事件
2001年
  • 運転手が運送のアルバイト
  • 年1~2回の副業で解雇
  • 職務専念義務に違反しない
  • 懲戒解雇は無効
協立物産事件
1999年
  • 社員が商品供給を停止する
  • 供給先と共謀で会社を設立
  • 損害賠償請求が認容
ナショナルシューズ事件
1990年
  • 部長が同業会社を経営
  • 企業の利益を損ねる可能性
  • 懲戒解雇は有効
都タクシー事件
1984年
  • 非番に船積みのバイト
  • 月7~8回で公然の事実化
  • 本業に支障の可能性なし
  • 懲戒解雇は無効
小川建設事件
1982年
  • 深夜にキャバレーで働く
  • 毎日6時間を11カ月続ける
  • 本業に支障の可能性あり
  • 懲戒解雇は有効
古河鉱業事件
1980年
  • 会社の極秘資料を外部漏洩
  • 秘密保持義務に違反する
  • 懲戒解雇は有効
橋元運輸事件
1972年
  • 競合他社の取締役に就任
  • 企業の利益を損ねる可能性
  • 懲戒解雇は有効
主人公
主人公
副業のせいで本業に悪影響が出たら懲戒処分になる。
貧乏神
貧乏神
ただ、副業に限らないだぬ。すべてのことがそうだぬ。

副業に潜む注意すべきリスク

副業に潜む注意すべきリスク

副業には「就業規則に違反する、同僚に副業がばれる、本業に集中できない生活リズムが崩れる、公務員法に違反する、法的リスクが増す、犯罪行為で捕まる」といった7つのリスクは潜んでいます。

就業規則は事前に確認するとして、同僚に副業がばれることは厄介です。筆者の場合も本人にその気がなくても「月100万円も稼いでいる」や「そろそろ辞めるらしい」など、知らぬところで情報が1人歩きしました。

本業中に疲れた顔を見せたら「副業のせい」と思われるかもしれません。噂や誤解、嫉妬を生まないように、同僚や周囲には気遣いが必要であり、それが面倒なときは他言しないことです。

また、副業を始めると「本業で集中力がかける、本業へのやる気を失う、本業の仕事を軽視する」、さらに「睡眠不足、身体的ストレス、精神的ストレスがかかる」を経験する人もいます。

しかし、政府と民間が副業推進に舵を切っても、2019年1月時点では副業における労働契約や勤怠管理などの労務は法整備が追いついていません。そのため、本人がプライベートで始めた副業は、自己管理と自己責任が問われます。

主人公
主人公
本業だけで精一杯なときは要注意だね。
貧乏神
貧乏神
忙しいときは調整できるところが副業のメリットだぬ。

労基法・労災・うつ病には未対応

労働基準法

労働基準法では本業のA社で8時間、副業のB社で3時間労働したとき、B社が3時間分の残業代を支給しなくてはいけません。これでは副業を請け負う企業は割り増しな人件費を支払うことになり、副業者の雇用に消極的になります。

このように「本業+副業」にはいくつかの課題があります。就業規則だけではなく、副業者が柔軟に働ける法律や制度の改正が期待されています。

労災保険

本業のA社の労災保険が適用される範囲は、自宅からA社までの通勤経路のみです。A社からB社までの移動中に負傷した場合、B社の労災保険が適用されます。B社から自宅までの帰宅経路もB社の管轄です。

しかし、B社は副業のために給与が低く、労災保険も満足できる金額は貰えません。また、B社の勤務中に起きた事故でA社で働けなくなる場合も、大幅な年収ダウンが懸念されます。

うつ病・過労死

働きすぎはうつ病と過労死の原因になりえます。本業1本であれば、本業のA社が業務量と労働時間をコントロールして、うつ病や過労死を防ぎます。

しかし、副業で増えた業務量と労働時間は、A社単体ではコントロールできません。パラレルワーカーの体調不良やストレスの責任範囲は法解釈が難しく、仮に過労死が起きても労災が100%給付される保障はありません。

主人公
主人公
現状は自己責任が問われそう。
貧乏神
貧乏神
本業のみでも問題になるテーマだから、慎重論も根強いだぬ。

毎年起こる会社員の副業事件簿

毎年起こる会社員の副業事件簿

マンガで紹介した7つのリスクの中でも「公務員法に抵触する、法的リスクが増す、犯罪行為で捕まる」は罪が重いです。特にせどりやオークションなどでは次のような犯罪行為が実際に発生しています。

会社の備品を転売する

鳥取県の会社員は会社の倉庫にあったシュレッダーやタイムレコーダーなどを転売していました。さらに社内の業務マニュアルをネットオークションに出品したことがバレて、窃盗罪で逮捕されました。

偽物の制服を販売する

東京都の会社員は中国で仕入れた制服にソフトバンクのロゴマークを貼って、販売員の衣装としてネットオークションに出品していました。5年間は発覚しませんでしたが、被害額が1,000万円を超えたことで、商標法違反の疑いで逮捕されました。

ライブチケットを転売する

香川県の会社員はライブチケットを転売して、1,000万円以上の売り上げをあげていました。ただ、転売に必要な古物営業の許可を取っておらず、転売した金額も大きいことから古物営業法違反で逮捕されました。

絶滅危惧種を販売する

埼玉県の会社員は絶滅危惧種を繁殖させて、1匹1万~4万円で熱帯魚ショップに転売していました。これだけでも文化財保護法違反ですが、さらに天然採取や産地直送をうたった虚偽行為が発覚したことで、不正防止法違反の疑いで逮捕されました。

盗んだバイクを出品する

三重県の会社員はバイク1台を盗んでネットオークションに出品し、30万円で落札されました。しかし、引き渡し場所に現れた落札者はバイクを盗まれた被害者であり、同行した警察に窃盗罪で逮捕されました。

小型犬の繁殖で放置する

福岡県の会社員はブリーダーの副業をしていましたが、飼育やしつけに時間がかかってしまい、結局は小型犬に衰弱死させました。警察への情報提供により、動物愛護法違反の疑いで書類送検されています。

電車の指定席券を転売する

東京都の会社員が限定販売された寝台列車の指定席券を6万円で転売しました。しかし、東京都では転売目的の券やチケットの購入を迷惑防止条例で禁止しており、同様の余罪も多数あったことで逮捕されました。

お小遣い稼ぎに始めた副業でも「著作権法、商標法、特定商取引法、景品表示法、消費者契約法、古物営業法、個人情報保護法」に知らずに違反していることがあります。さらに損得勘定が先行すると「窃盗罪、文化財保護法、動物愛護法」などにより、刑事罰の対象になりえます。

罪にならないホワイトと勘違いしたり、グレーゾーンを踏み越える、もしくは欲が勝ってブラックな犯罪に手を染めるなど、認識は人それぞれですが、警察が動くほどの犯罪行為では本業の会社から懲戒解雇されることもあります。

主人公
主人公
犯罪行為はしないでしょ。
貧乏神
貧乏神
ところが金に目が眩んでしまい、手を出す人が大勢いるだぬ。
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公開日公開日 2016.11.02
更新日更新日 2019.01.05

著作・制作など

中野貴利人
監修・原作・執筆・編集
株式会社ネットピコ代表/フクポン編集長/副業プランナー。新卒で副業開始、26歳で法人化、11期目。副業関連の著書4冊。2児の父。過去の取材や講演はメディア掲載履歴で紹介。
イブキミノ
イブキミノ
作画
30歳オーバーにして、脱サラしたイラストレーター兼漫画家。丸っこいものに囲まれて暮らすのが夢です。