【漫画】第53話「副業を解禁する理由は?企業にあるメリット3つとデメリット」
「副業を解禁した理由」
「メリットが3つある」
「就業規則に追記する」
「300社以上が副業OK」
企業が副業を解禁する3つのメリット
社員の個性や能力が伸びる
日経産業新聞の2018年3月の調査レポートによると、企業が副業に前向きな理由のトップ3は「社員の個性や才能が伸びる、イノベーションを創出する、社員らの労働意欲が高まる」でした。
労働政策研究・研修機構の2018年9月の「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」によると、副業・兼業を許可している理由のトップ3は「従業員の収入増加につながる、従業員の活躍の場が広がる、従業員のやるき向上につながる」でした。
労働政策研究・研修機構(2018年9月)「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」
副業は社員のプライベートな時間を使うため、スキル向上やキャリア形成のスピードが本業以下になることはありません。むしろ、企業は教育研修費を負担することなく、社員の個性や能力を伸ばせるメリットがあります。
筆者も本業でSEをしていましたが、社内ではマーケティング、文章作成、デザインの技能を習得できません。そこで副業でサイトやブログを制作しながらスキルを獲得し、それを3年10カ月続けていきました。
ポイントは勉強や趣味ではなく、副業であることです。副業は副収入という明確な数値目標が含まれるため、自然とトライ&エラーを続けながら、現場で使える技能を高めることができます。
また、会社生活が長い人ほど、物の考え方や捉え方が凝り固まり、会社のみでしか通用しない人材になりやすいです。そこで社内では得られない知識や経験を副業で獲得すれば、イノベーションの創出にも有効です。
さらに社員が副業で得た知見や情報、人脈を社内に持ち帰って、事業機会の拡大につなげることも期待できますし、社員の起業家マインドや時間管理能力の育成にも役立ちます。
逆に行政や地元企業では足元が見えていても、イノベーションを起こす人材が不足しているため、地方創生プロジェクトへの参加者を社外から雇用する動きも広がっています。
会社全体に好影響を及ぼす
日本国憲法の「職業選択の自由」がある限り、本来副業は禁止できません。厚生労働省のモデル就業規則も改定されて、副業を認めています。
- 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
- 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
- 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
- 労務提供上の支障がある場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により、企業の利益を害する場合
日本社会は年功序列と終身雇用が形骸化して、会社依存から個の時代にシフトしました。その中で「副業禁止」は違和感があります。自由に働いて制限なく稼げる環境を整えることが、従業員の労働意欲を高めてくれます。
特に不況下では副業が欠かせません。2009年に日産自動車は工場の生産調整で臨時休業日が発生したことを理由に副業を容認し、富士通も半導体の製造会社の減産で所得が減少したことを理由に副業を認めました。
結果、それが社員の本業を辞めないきっかけにもなります。2024年10月時点では日本全体の景況感は悪くない状態ですが、かなり個人差は大きいです。残業制限や可処分所得の減少で、実生活にゆとりはないからこそ副業が求められます。
ただ、各社の調査レポートによると、副業OKな企業の割合は2015年14.7%、2017年22.9%、2018年28.8%のように増加傾向にありますが、依然として多くの企業が副業を認めていません。
一方でエン・ジャパンの2018年2月の調査レポートによると、「副業者、副業経験者、副業希望者」は計95%であり、「副業をしたこともないし興味もない人」はわずか5%でした。つまり、企業と社員の間にギャップがあります。
そのタイミングで副業を解禁することは、自社の企業イメージの向上につながりやすいです。副業によって会社のブランディングや採用が強化されたり、人材の流出や離職を抑止してくれる効果が期待できます。
また、副業の効果は収入増による生活の質を改善するのみではありません。他領域の人とのつながりが増えて人脈構築に役立ったり、個人の働き方に選択肢があることで主体性が磨かれることにも役立ちます。
社会構造の変化に対応する
人、物、金、情報といった経営資源は、グローバル化で移動制限がなくなりました。特に優秀な人ほど国内にとどまらず、海外に出ていきます。転職を複数回してもキャリアに傷がつかず、年齢も関係ありません。
しかも、1社ではなく、同時並行で複数のプロジェクトに関与することも当たり前です。国内でも人材の流動性が高まりつつあり、必要なときに必要な人材を確保する体制ができあがってきました。
そのような状況下で新卒一括採用をして、若手社員を育て上げてから、会社に尽くしてもらう「旧来の日本型企業」では、柔軟性がありません。私たちが社会構造の変化に対応するためには、次の働き方が有効です。
常に内部に優秀な人材が揃っているわけではないため、外部人材と連携して、価値ある商品やサービスを生み出すという概念。企業はプロジェクト単位で必要な人材を副業者として招き入れる。社会的には人材の流動性が活発化、適材適所の人為配置により生産性が向上する。
本来は性別や人種における少数派を差別しない目的があり、外国人や障害者を雇用が進んだ。現在は環境が多様化したため、人材や働き方の多様性こそが発展に貢献するという解釈。例えば、副業者を参画させることで視点や価値観に多様性が生まれ、副業者自身も自己の中の多様性を育む。
個人の寿命が会社の寿命より長くなったため、会社に依存せずに第2、第3のキャリアを同時にこなすことが、生涯の基盤になるとの教え。東京商工リサーチの2017年の調査レポートによると、倒産企業の平均寿命は23.5年。40年や50年も耐える会社は少なく、本業以外の職歴が重要である。
資産を株式、債券、保険に分けてポートフォリオで管理するように、仕事にも複数の選択肢を用意して、リスクを分散させる。仮に本業と似た副業を選んでも、雇用主が異なれば企業間競争力に差があってリスク分散になり、長期的なリターンも期待できる。
社内でベンチャー事業を起ち上げること。起業家マインドの育成に成功しても、社内では実用性が乏しい。熱意のある社員を活用するためには、企業からある程度切り離したほうが自主性を発揮できる。社員は資金調達がネックにならず、給与も貰えることがメリット。
企業が副業で懸念する6つのデメリット
本業が疎かになりやすい
副業はやりがいを重視して仕事を選ぶ人が多いため、副業のほうに注力しやすい傾向があります。結果「本業で集中力がかける、本業へのやる気を失う、本業の仕事を軽視する」という負の三拍子が揃いやすくなります。
そこで一部の企業では副業を申告制や許可制にして、社員との契約書で「本業に支障をきたしていると上長が判断したとき、その副業を辞めさせることができる」という一文を追加し、本業への集中力を促し、パフォーマンスを維持させるようにします。
また、副業に成功するほど、本業の人事評価を気にしなくなり、仕事に身が入らなくなる人もいますが、副業成功者からは「副業が充実するほど、本業も効率的にこなせるようになった」という意見もあり、これは人それぞれです。
ただ、仮に独立したほうが稼げるなら社員の脳裏には離職がよぎり、優秀な人材の流出を副業で阻止する狙いが裏目に出たりします。筆者も副業の収益が本業の給与を上回ったことをきっかけに、本業を辞めた経験があります。
長時間労働で休養できない
プライベートの時間に飲みすぎたり、遊びすぎる人も、翌日のパフォーマンスに影響するため、社外活動に関しては、本人の体調管理次第という見方があります。
しかし、労働時間をすべて本人任せにはできません。
本業のみでも疲労感が溜まるにもかかわらず、副業による長時間労働と過重労働は、身体的ストレスと精神的ストレスを増幅させます。それゆえに本業の業務効率が低下するリスクが高いです。
そのため、副業を認める条件として「労働時間は本業と副業を通算して、法定労働時間内にする」や「副業の時間に上限を設定して、契約書を交わす」などをして、本業第一であることを促すことが有効です。
また、裁量労働制やフリーランス型の副業のみを許可して、長時間労働の責任を企業が負わないようにすることもできます。
事故や犯罪で社名を毀損する
サイトやブログ運営では著作権法と商標法、商品販売では特定商取引法、景品表示法、消費者契約法、転売系では古物営業法、窃盗罪、文化財保護法、動物愛護法、個人情報保護法など、過失や故意による法的リスクが高まります。
また、副業にネガティブなイメージを持つ人も多く、一部では「本業の会社が業績不振である」といった風評被害が懸念されます。
ただし、このような犯罪行為は副業の容認や禁止に関係なく起こりえる問題であり、副業解禁が直接犯罪につながるわけではありません。そのため、副業を許可性にして、社員教育の一環で法知識を提供することが望ましいです。
情報漏洩などのリスクがある
企業へ深刻な影響を与える事案が情報漏洩です。過去には金目の機密情報や個人情報を売りさばいた人が捕まっていますし、同業他社の人間が情報収集の目的でスパイとして入り込み、副業を行うこともあります。
他にも本業の勤務中に会社のパソコンで副業のメールを送る人もいて、宛先を誤って会社の機密情報を副業の関係者に送信してしまう可能性もあります。
ただし、これらも副業禁止をすれば防げる問題ではなく、金銭目的で情報漏洩させるリスクは常にあります。まずは社員に競業避止義務や秘密保持義務のガイドラインを周知させることが優先です。
競合他社に人材が流れる
収入の補填だけではなく、キャリア、人脈、達成感など、本業のみでは満たされない部分があるために、副業を始める人が多いです。結果、利益相反する競合のほうが働きがいがあって、人材が流出する可能性があります。
その対策として、グロービズでは副業の条件に「他の組織とは雇用契約を結ばない」としています。コニカミノルタでも「副業の内容や動機を記載した申請書と誓約書を提出する」としっかり管理をしています。
労務や労災が管理できない
2024年10月時点で経団連の榊原会長は「副業には社会保険料や年金保険料の負担、労働時間の管理など解決すべき問題が多い」ことを指摘していました。
当時はそのとおりでしたが、厚生労働省は2024年10月時点で法整備を進め、時間外労働の計算方法、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の適用範囲、労働災害の加入についても、明確な基準を設けました。
ただし、副業申請や労務管理など、各社で制度化しないといけない部分があり、人的コストの観点で二の足を踏んでしまうことも事実です。
副業制度を導入する5つの手順
副業のメリットが認知されているため、副業をする人たちが増えています。副業にはリスクや留意点がありますが、政府による働き方改革の推進と社会全体の流れは止まることなく、不況になるほど副業は必要とされるでしょう。
副業解禁は今からでも遅くありません。まずは副業に関する就業規則とガイドラインの制定して、社内で副業の内容をフィードバックする流れができると、本業と副業に相乗効果が生まれやすいです。
- 副業のメリットとデメリットを担当者が理解します。
- 企業の実情に合った就業規則に変更します。
- 副業ガイドラインを制定し、社員教育を実施します。
- 副業を申告制や許可制にして、社員の副業を把握します。
- 社内で副業をフィードバックすると、本業と両立しやすいです。
就業規則は厚生労働省のモデル就業規則を土台にして、企業の実情に合った内容を社会保険労務士に規定してもらうと、トラブル防止につながります。特に「過重労働の防止、秘密漏洩の禁止、競業行為の制限、信頼関係の確保、副業制限の説明」は明記しましょう。
副業ガイドラインも厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインが参考になります。そこには「副業の現状、副業の促進の方向性、企業の対応、労働者の対応、副業に関わるその他の制度」が記載されています。
副業は法的規制がなく、労働時間外に別の企業で働くことも本人の自由です。ただし、本業の利益に反する行為は懲戒処分になるなど、過去の判例や実例も踏まえた副業ガイドラインを策定し、社員に副業のメリットやデメリット、法律、制度を認知させましょう。
副業の申告書や許可申請書には「副業の業務内容、副業の勤務形態、副業の実施理由、誓約、署名」が必要です。記載内容の詳細は以下のとおりです。
記載事項 | 内容 |
---|---|
副業の業務内容 | 職種、職務内容、会社名、住所、取引先名を記載する。 |
副業の勤務形態 | 雇用形態、勤務日時、勤務開始日、契約期間を記載する。 |
副業の実施理由 | 金銭を得る目的、向上する技能、メリットなどを記載する。 |
誓約 | 本業の業務、事業、企業に対して不利益を与えないことを約束する。 |
署名 | 申請日、部署、氏名、押印を記載する。 |
情報取得日 2024年10月時点
副業解禁した企業の割合は30~50%
中小企業庁の2015年2月の調査レポートによると、副業容認の企業は14.7%※1でした。それが日本経済新聞の2020年11月の調査レポートによると、28.1%にまで増えています。それ以外の調査結果を踏まえてみても、日本企業の30~50%は副業を解禁していると想定できます。
日本経済新聞(2020年11月)「勤務先が副業を認めているか」
調査機関 | 結果 |
---|---|
パーソル総合研究所 2021年8月 |
副業全面容認23.7% 副業条件付き容認31.3% 副業全面禁止45.1% |
日本経済新聞 2020年11月 |
副業容認28.1% 副業禁止55.3% わからない16.6% |
マイナビ 2020年10月 |
副業容認49.6% 副業禁止50.4% |
リクルートキャリア 2020年3月 |
副業推進4.4% 副業容認26.5% 副業禁止69.1% |
パーソル総合研究所 2020年3月 |
副業容認30.8% 副業禁止49.8% わからない19.5% |
朝日新聞 2019年12月 |
副業容認30% 容認予定・検討中7% 副業禁止21% その他42% |
人事のミカタ 2019年9月 |
副業容認23% 副業禁止44% わからない33% |
エン転職 2019年8月 |
副業容認25% 副業禁止65% わからない10% |
日本経済新聞 2019年5月 |
副業容認・制度あり19% 副業容認・制度なし30.6% 関心あり・検討中5% 関心あり・未検討23.1% 副業禁止22.3% |
経団連 2019年1月 |
副業容認21.9% 副業禁止・検討中34.6% 副業禁止43.5% |
パーソル総合研究所 2018年10月 |
副業容認13.9% 副業容認・条件付き36.1% 副業禁止50% |
リクルートキャリア 2018年10月 |
副業推進3.6% 副業容認25.2% 副業禁止71.2% |
マクロミル 2018年10月 |
副業容認・許可制10.3% 副業容認・申請制6.4% 副業禁止46% 規則なし24.5% その他12.8% |
リクルートキャリア 2017年2月 |
副業推進0.3% 副業容認22.6% 副業禁止77.2% |
中小企業庁 2015年2月 |
副業推進0% 副業容認14.7% 副業禁止85.3% |
副業解禁した企業のリスト150社
先に副業を解禁した上場企業や注目企業の一部をピックアップしました。従来より副業を禁止していない企業も含まれますが、早い段階から副業を認めていることには変わりなく、他社もこの流れに追随していきます。
副業を認める企業一覧 |
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あ行 IHIアイシン精機AKIBA HDアクセンチュアアサヒビール朝日ラバーアダストリアアニコム HDアプラスアルプス電気イオンイオンフィナンシャルサービス出光興産インテージ HDエイチ・アイ・エスエイチーム江崎グリコSMBC日興証券SCSKNTTデータNTTドコモNTT都市開発auカブコム証券エンファクトリー王子 HDオイシックス・ラ・大地OKIオプト HDオートバックスセブンオリエンタルランドオリックス |
か行 ガイアックス花王カオナビカゴメカシオ計算機関西電力キーウェアソリューションズキッコーマンキヤノン協栄産業京都北都信用金庫クオールクボタクラウドワークスクリナップクレハクロスキャットグロービスグンゼコニカミノルタコネクシオ |
さ行 サイバーエージェントサイバー・バズサイボウズ佐川急便さくらインターネットサントリー HDサンメッセサンワカンパニー滋賀銀行資生堂島津製作所シーボン信越化学工業新生銀行住友化学セガサミー HDセプテーニ HDセンコーグループ HD双日ソニーソフトバンクグループSOMPO HD |
た行 第一三共大気社ダイキン工業大成建設大同メタル工業ダイヤモンドメディア太陽 HD大和証券グループダスキンディー・エヌ・エー帝人TDKテクマトリックスデンソー東京海上 HD東京ガス東京スター銀行東京放送 HD東邦銀行東洋テック東洋紡トッパン・フォームズトヨタ車体トレンダーズ |
な行 日産自動車日新電機日本オラクル日本航空日本CMK日本生命保険日本電信電話日本プリメックス日本マイクロソフト日本郵政任天堂 |
は行 パソナグループパナソニック日立キャピタルファインデックスファンケルファンコミュニケーションズ福井県 注目 フジクラ富士ゼロックス富士通富士フイルム HDブックオフコーポレーションfreeeブリヂストンフリービットベネッセ HD北陸電力堀場製作所 |
ま行 前田製作所マーベラス丸井グループ丸紅ミクシィみずほ FG三菱ケミカル HD三菱自動車三菱地所三菱UFJ FGミライト HD明治安田生命保険メルカリ森永製菓森永乳業 |
や行 ヤフーヤマトヤマハ発動機ゆうちょ銀行ユニ・チャーム横河電機 |
ら・わ行 ライオンライフネット生命保険LINEランサーズLIXILグループリクルート HDリコーリコーリースLITALICOリブセンスリミックスポイント菱洋エレクトロレオパレス21レノボ・ジャパンレンゴーロコンドロート製薬六興電気WOWOW |
情報取得日 2024年10月時点
2016年には副業容認していたサイボウズ
サイボウズの副業制度は2016年に開始、就業規則に「副業ができる」と明記されていることが特徴です。対象は全社員であり、条件はありません。
しかも、登録申請すれば、会社の資産を使うこともできます。副業の内容は技術ブログの運営、専門誌への寄稿、技術書の執筆が多いですが、YouTuberやNPO法人への参加もあります。
また、サイボウズは副業で働ける人を募集する複業採用も進めており、副業を活用している代表的な企業です。
勤続3年以上の社員が対象のロート製薬
ロート製薬は2016年2月に「社外チャレンジワーク制度」として、副業を容認しました。対象は全社員であり、条件は「届け出制、本業に支障を来さない、就業時間外、社会人経験3年目以上」です。
製薬会社という特性上、社員は薬剤師の資格保有者が多いため、ドラッグストアや調剤薬局で働いて、現場を知る社員が多いです。また、ライター、デザイナー、コンサル、NPOによる地域支援や地方創生、起業者もいます。
目薬の印象が強いロート製薬は、スキンケア商品やフードビジネスなど新規事業に乗り出しています。社外で磨いた技能や取得した人脈を社内に持ち帰り、社員の視野を広めて多様性や自主性を促すことが狙いです。
届け出制で副業を管理しているグロービズ
グロービスは2017年7月に副業制度をスタートしました。対象は全社員であり、条件は「会社の許可を得る、毎年度始めに副業申請をする、本業に支障を来さない、業務時間外に行う、他の組織と雇用契約を結ばない、本業と副業の合計労働時間を法定内に収める」です。
社員は公益社団法人の理事、地域活性化を目的としたウェブ制作、オペラ歌手など幅広いです。
副業解禁でよくある質問
──政府は企業の副業解禁をどのように進めていますか?
厚生労働省は2018年1月に「モデル就業規則」を「他の会社等の業務に従事できる」ように改定し、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も策定しました。それを機に上場企業、銀行、市役所までが副業解禁に踏み切っています。
主な理由は「優秀な人材の新規採用と離職防止」であり、逆に副業を禁止し続けた場合、働き手から見ると「魅力に欠ける企業」と認識される調査結果もあります。
さらに厚生労働省は2020年9月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、「企業が副業導入時に対応すること、副業を認めない合理的な理由、時間外労働は自社分のみ管理すること」を明記しました。これによって法律上の留意点も明確になり、副業を認める企業が増えています。
──会社員はいまだに副業を禁止する企業をどう思っていますか?
会社員は「副業を禁止する企業」にあまり良いイメージを持っていません。マクロミルの2018年10月の調査レポートによると、副業を認めない企業に対して「魅力がない」と答えた人は、正社員1000人中829人もいました。
マクロミル(2018年10月)「~正社員1000人に聞く~副業に関する調査」
※1 中小企業庁「平成26年度 兼業・副業に係る取み実態調査事業」