公共職業訓練のメリット!給付制限が解除されて給付期間も延びる

失業中に公共職業訓練を受けるメリット
公共職業訓練とは「求職者が早期に就職できるよう、就職に必要な技能や知識を身に付ける制度」です。職業能力開発促進センターや自治体が指定する民間の専門学校などで、無料で知識や技能を高めることができます。
この公共職業訓練には10個のメリットがあります。特に失業保険を意識している人は「給付制限が解除される」と「給付期間が延長される」ことで、通常よりも多くの失業保険が貰えることに注目です。
- 公共職業訓練では専門的な知識や技能が身につく
- 公共職業訓練の受講は原則無料である
- 公共職業訓練中も失業保険が支給される
- 自己都合で離職しても、給付制限が解除される
- 失業保険が終了しても、給付期間が延長される
- 失業認定日にハローワークに行かなくていい
- 求職活動の実績が不要になる
- 受講手当が1日500円、最大2万円支給される
- 電車、バス、ガソリン代などの交通費も支給される
- 職業訓練校で求人や転職先を紹介してもらえる
公共職業訓練のデメリットは特になく、求職を希望していて、失業保険を受給中の人であれば、原則申し込むことができます。ただし、以前に職業訓練を受けて、それが修了してから1年未満の人は受けられません。
公共職業訓練の手続きは、ハローワークにて受講申込書を提出します。その後、訓練コースによって「書類選考、適性検査、学力検査、論文、面接」のいずれか複数が実施されて、合格した人のみが受講できます。
企業面接や資格試験のように難しいわけではありませんが、公共職業訓練の必要性については論理的に説明できることが必須条件です。また、公共職業訓練は人気があり、応募倍率が1倍以上の講座がほとんどです。そのため、必ずしも受講できるわけではないことには注意しましょう。
メリット① 給付制限を解除する方法である
公共職業訓練では給付制限を免除されるために、自己都合で退職しても2カ月間を待たずに、すぐに失業保険が貰えます。下のスケジュールは左が「自己都合の人」、右が「自己都合で公共職業訓練を受講した人」のケースです。
通常、自己都合で離職した人は自分の意思で計画的に辞めているため、会社都合で離職した人のように突破的に生活費が足りなくなることはありません。そのため、2カ月間は失業手当が振り込まれない給付制限が設けられています。
失業保険を6月1日に申請しても、7日間の待機期間があり、2カ月間の給付制限を経て、8月24日にある第2回の失業認定日で失業状態が承認されることで、8月28日以降にようやく最初の振り込みがあります。
そこでおすすめしたい制度が公共職業訓練です。自己都合で公共職業訓練を受講した人は、7日間の待機期間はありますが、公共職業訓練が開講した日に2カ月間の給付制限が解除されます。
仮に6月20日から公共職業訓練が始まるなら、その日から失業保険の支給対象です。失業保険の支給日は末日締めの15日前後払いのため、6月20~30日の11日分は7月15日、7月1~31日の31日分は8月15日に振り込まれます。
ちなみに給付制限を解除する方法には「自己都合を会社都合にする」もあります。会社都合に変更できると、2カ月間の給付制限がなくなり、90~150日間だった給付期間も最長で330日間にまで長くなります。
メリット② 給付期間の上限が延びる
公共職業訓練が失業保険の給付期間を超える場合、訓練修了まで給付期間を延長することもできます。例えば、30歳の人が8年間働いた会社を自己都合で退職した場合には、失業保険は90日間支給されます。
ここで30日間支給されたあとに、180日間の公共職業訓練を受けたとします。
通常は「90日-30日=残り60日間」で給付期間が終了します。しかし、60日経っても、公共職業訓練の期間が「180日-60日=残り120日間」あるため、その期間分は失業保険の支給対象になります。
結果的に本来90日間だった給付期間に120日間を加わり、210日間分の失業保険が支給されるようになりました。
また、公共職業訓練は「1カ月、3カ月、半年、1年間」だけではなく、2年間の訓練コースまで用意されています。その場合も2年間はしっかり失業保険が貰えます。
注意点としては、すでに失業保険を支給されており、給付期間の残りが1/3以下の人は、公共職業訓練に申し込めません。給付日数別の公共職業訓練に申し込める残日数は以下の通りです。
給付日数 | 自己都合 | 会社都合 |
---|---|---|
90日 | 31日以上 | 1日以上 |
120日 | 41日以上 | 1日以上 |
150日 | 51日以上 | 31日以上 |
180日 | - | 61日以上 |
210日 | - | 71日以上 |
240日 | - | 91日以上 |
270日 | - | 121日以上 |
330日 | - | 181日以上 |
公共職業訓練の選考でも失業保険の給付期間が多い人ほど、有利とされています。過去には失業保険の給付期間が終了するタイミングで、公共職業訓練を始める人がいましたが、そのような裏技は通用しなくなりました。
メリット③ 失業認定日に行かなくていい
公共職業訓練を受けると、失業保険の受給手続きが簡素化されます。通常、失業保険を受給するためには、失業認定日にハローワークに足を運び、職員と面談をして求職活動の状況を報告しなくてはなりません。
しかし、公共職業訓練を受講すると月末が失業認定日となり、私たちは「公共職業訓練等受講証明書」に記入するだけで、あとは職業訓練校が手続きを一括して代行してくれます。
ハローワークに行かなくていいですし、求職活動も必要ないために時間を有効的に使えます。
ちなみに公共職業訓練校によっては「受講手当、通所手当、寄宿手当」など、失業保険とは別に受け取ることができます。受講手当は原則1日500円、通所手当は電車、バス、ガソリン代などの交通費、寄宿手当は扶養中の家族と別居して通学する費用という位置付けです。
例えば、1日で失業保険の給付金の6000円に加えて、受講手当500円、通所手当1000円が貰えたりします。
メリット④ 公共職業訓練は無料である
公共職業訓練には「給付制限が解除される、給付期間が延長される、ハローワークに行かなくていい」というメリットを説明してきましたが、最大のメリットは無料で専門的な知識を学べることです。
2012年4月時点では全国に166カ所の職業能力開発校と61カ所の職業能力開発促進センターがあり、年間15万人以上が公共職業訓練を受けました。
そこでは「エンジニア、建築、福祉関係、調理師、金属加工、経理事務」など幅広い訓練コースが用意されており、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の訓練検索・一覧でも、気軽に訓練コースを検索できます。
一例として、公共職業訓練の介護福祉サービス科では、老人ホームや介護施設で働くことを目標に「介護職員初任者研修」の資格取得に向けて、生活補助からリハビリまで介護と福祉全般に関する技能を習得できます。
訓練期間は3~6カ月で、修了すると「介護職員初任者研修」を自動的に取得できる仕組みです。このように公共職業訓練校は短期的な就職ではなく、長期的な就職率の向上を目指して、労働者のスキルアップを促しています。
また、公共職業訓練にはもう1つメリットがあります。失業中はハローワークと就職希望先を往復する日々が始まります。離職という転機の中、行き詰まる人も少なくありません。
そこで公共職業訓練を受講すると、共通の目的を持った人と出会えて、幅広い年代の人と交流ができます。
自分と同じような境遇の人と出会うことで、精神的にもずっと楽になるかもしれません。教授や受講者と仲良くなったり、共通の目的を持った仲間と出会えることは失業中の支えになります。