失業保険の給付金が2倍になる理由とは?残業代・年齢・退職理由が金額を動かす

中野貴利人
監修中野貴利人 ネットピコ代表
2019/04/25 更新

失業保険の給付金が2倍になる理由とは?残業代・年齢・退職理由が金額を動かす

  1. 理由① 残業時間で12%増える
  2. 理由② 退職年齢で67%増える
  3. 理由③ 退職理由で76%増える

理由① 残業時間で12%増える

失業保険の賃金日額は、離職日直前の6カ月間の平均賃金で計算します。平均賃金は「基本給、年齢給、役職手当」などで構成され、さらに基本時給に1.25倍をかけた残業代が追加されます。

仮に退職する時期が決まっているなら、離職予定日の6カ月前から残業や休日出勤を増やすことで、失業保険のもとになる賃金日額をアップさせて、給付額を増やすことができます。

会社を辞めると決まってからは仕事も減ることが多く、いつもより勤務時間が短くなり、残業時間も増えにくいです。

その一方で引き継ぎや繁忙期で労働時間が増えることもあり、単純に残業代を増やせる環境であれば、残業時間を着々と増やすことで失業保険の給付額も増えていきます。

例えば、給与が「基本給10万円+年齢給15万円+役職手当5万円」で月30万円、年齢が35歳、勤続年数が12年、所定労働時間が160時間のとき、6カ月間の賃金は180万円となり、それを180日で割った日額賃金は1万円です。

30万円×6カ月÷180日=日額賃金1万円

この金額と条件で失業保険の給付額を算出すると、日額手当は5,915円となります。今度は同じ人が残業を月40時間したとします。

この会社員の基本時給は「月30万円÷160時間=1,875円」であるため、40時間分の残業代は「1,875円×1.25×40時間=97,350円」となり、1カ月の給与は「30万円+97,350円=397,350円」に増えました。

そのため、6カ月間の賃金は「397,350円×6カ月間=2,384,100円」となり、それを180日で割った日額賃金も1万円から13,245円に増えます。

397,350円×6カ月÷180日=日額賃金13,245円

この金額と条件で失業保険の給付額を算出すると、日額手当は5,915円から6,622円に増えるわけです。1日あたりの差額は707円、割合としては12%増となります。

失業保険の合計では、自己都合で退職した人の給付日数が最大120日間であるため「707円×120日間=84,840円」、会社都合で退職した人の給付日数が最大330日であるため「707円×330日間=233,310円」も得をします。

このように残業時間を増やすだけで失業保険の給付額は数万~数十万円の違いが出ることは、あまり知られていません。

理由② 退職年齢で67%増える

あなたの年齢が29歳、44歳、59歳であり、失業保険を貰う予定の人は、退職時期をずらすことで給付額が増えます。失業保険では年齢が1歳違うだけで、給付金の総額に10万円以上の差が出るからです。

年齢は「30歳未満、30歳以上45歳未満、45歳以上60歳未満、60歳以上65歳未満、65歳以上」の5カテゴリに分かれているため、失業保険の計算式の基礎となる年齢も1歳単位ではなく、15歳単位なわけです。

そのため、28歳と29歳では給付金に差が出ませんが、29歳と30歳ではカテゴリが違うために、給付金の額が異なります。

例えば「月収45万円、年齢29歳、勤続年数9年」の人は、6カ月間の賃金が「45万円×6カ月=270万円」であるため、180日で割ると日額賃金は15,000円となりました。この場合は失業保険は日額6,750円貰えます。

ここで仮に退職を1年我慢して「月収45万円、年齢30歳、勤続年数10年」になったとします。6カ月間の賃金は変わりませんが、年齢が30歳以上45歳未満の区分に移ったため、失業保険は日額7,495円に増えます。

また、年齢が29歳から30歳になる事例では、1日あたりの給付額だけではなく、給付日数にも影響します。仮に会社都合で退職した場合の給付金は、29歳は最大120日間受け取れますが、30歳なら最大180日間に増えます。

そのため、手当総額では月収45万円の29歳は「6,750円×120日=810,000円」、月収45万円の30歳は「7,500×180日=1,349,100円」となります。退職年齢が1歳異なるだけで、失業保険の給付金の総額を539,100円も増やすことができました。割合としては67%増です。

失業保険の影響を考えて、離職時の年齢を気にする人はあまりいないですが、1年くらいは今の会社で構わない人は、退職を待ったほうが得をします。また、詳細な失業保険の給付額の計算は以下でできます。

理由③ 退職理由で76%増える

雇用保険制度では退職理由により、給付時期と給付日数に差を設けています。これは失業保険も保険の一種であり、自分の意思で離職した人と会社の強制で離職した人では、保険の重みが異なるためです。

失業保険では退職理由を自己都合と会社都合に分けています。

自己都合とは給与の高い会社への転職を考えるなど、自己の都合で退職した人たちであり、主に「一般受給資格者」に分類されます。会社都合とは倒産、解雇、賃金の未払いなどで退職を余儀なくされるなど、会社の都合で退職した人たちであり、主に「特定受給資格者」に分類されます。

失業保険では自分の意志で退職をコントロールできる自己都合で辞めるよりも、会社に何らかの落ち度があって、強制的に辞めざるを得ない会社都合のほうが給付金は多く貰えます。

例えば、自己都合の人は「給付制限」という制度があり、失業保険の給付日をあえて3カ月間も遅らせています。これは自己都合の人は退職前から転職活動の準備をする余裕があったためです。

しかし、会社都合の人は突発的に離職するケースが多く、転職活動の準備ができなかったため、次の仕事がすぐには決まりません。そのため、失業保険を申請すれば、その1カ月後には指定の口座に金額が振り込まれます。

また、自己都合の人と比べて、会社都合の人は転職が決まるまで時間がかかることから、失業保険が給付される日数も長いです。この結果、平均では手当総額に100万円以上の差が出てきます。

自己都合である一般受給資格者は年齢に関係なく、勤続年数で失業保険の給付期間が異なります。給付期間は勤続年数が1年以上10年未満が90日間、10年以上で120日間、20年以上で150日間です。

一方、会社都合である特定受給資格者は、勤続年数と離職時の年齢で、失業保険の給付期間が決まります。例えば、45歳以上60歳未満で勤続年数が10年以上の人は、270日間も給付されます。

同条件の一般受給資格者が120日間であったため、2倍以上の期間で給付を貰えるわけです。ちなみに自己都合は最大で約124万円しか貰えませんが、会社都合は最大で約272万円も貰えます。平均的な割合としては76%増です。

ちなみに会社都合には「倒産、大量離職、事業所廃止、事業所の移転による通勤困難、解雇、賃金未払い」などが該当します。それ他の事例も多々あり、以下で詳しく説明しました。

自分で「辞めたい」と思ったから自己都合ではなく、自分から辞めざるを得ない状況に陥ったときも会社都合になります。

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著作・制作など

中野貴利人
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株式会社ネットピコ代表/フクポン運営/副業プランナー。新卒で副業開始、26歳で法人化、11期目。副業関連の著書4冊。2児の父。過去の取材や講演はメディア掲載履歴で紹介。