株価急落時に稼ぐ方法とは?空売りと逆張りで金融危機の株価の動きに対応する

中野貴利人
著書「副業アイデア事典」など5冊/メディア掲載実績は日経新聞など150回以上/株式会社ネットピコ代表
2024/10/05 更新本ページはプロモーションを含みます

株価急落時に稼ぐ方法とは?空売りと逆張りで金融危機の株価の動きに対応する

世界規模の金融危機が起きると、各国の株式市場が同時に急落します。2010年のギリシャショックや2016年のブレグジットショックなど、中規模な金融危機は何度も起きており、この先も「新たな世界規模の金融危機が起こる」と予測されています。

特に2020年のコロナショックは衝撃が大きく、2020年2月13日~3月12日の1カ月間の下げ幅は、日経平均株価が-5301円(-22.2%)、NYダウが-8350円(-28.3%)でした。

このような株価急落に備えて、私たちは金融危機における株価の動きを理解し、資産を減らさず、むしろ安値圏で拾えるチャンスとして捉えられるように、今のうちから策を知ることが必要です。

  1. 株価急落時に稼ぐ2つの方法とは?
  2. 株価急落から回復までの実例
  3. 日経平均の歴代下落率ランキング
  4. 金融危機で日本株が急落する原因
  5. 株価急落がいつ起こるか予測する

株価急落時に稼ぐ2つの方法とは?

空売りで売る

金融危機で株価の暴落が続くときでも、投資家が利益を出す方法は2つあります。その1つが空売りです。1929年のウォール街大暴落のときに、投機家のジェシー・リバモアは空売りで莫大な利益を手にしました。

空売りとは「株式を信用取引で借りて、先に売りを建てる」ことです。その後、株価が下がったら買い戻すことで利益が得られます。

金融危機が発生すると、パニック売りにより株式市場は急落します。ITバブル崩壊やリーマンショックのときも、一旦は反発しますが、そのあとの株価は長期で下落トレンドを描きました。

このように通常は損失を生むときでも、事前に空売りをしておくと、株価の下落するほど大きな利益を得られるわけです。

現在、空売りの信用取引はどのネット証券でもできます。1%のポイントバックがある楽天証券、1日定額制では売買手数料が0円のSBI証券、チャートやツールが非常に充実しているマネックス証券などがおすすめです。

ただし、空売りにはデメリットがあります。まず金融危機が起きても、下落し続ける保証はありません。空売りしたあとに各国政府は消費刺激策や大規模減税を打ち出すと、株価が上昇します。

そのため、空売りのタイミングは非常に難しく、空売りで稼げる人は少数派です。金融危機が起きる前に空売りしたり、何度も反発と急落が続く中で空売りを仕掛けることは上級者の技になります。

ちなみに金融危機中に投資家が空売りをすると、空売りのせいで余計に株価が下がって適正価格で取引できなくなるため、直近の価格以下で空売りすることを禁ずる空売り規制も設けられています。

フク
フク
空売りはハイリスク?
先生
先生
金融危機中はハイリスクだぬ。次の逆張りのほうがいいだぬ。

逆張りで買う

金融危機で下落した株式市場は何度も反発しながら、いずれは上昇トレンドに切り替わります。その自律回復を見込んで、急落時の安値圏で株式を買い続け、元に戻ったところで利確する逆張りは、わりと大衆的です。

逆張りでは「銘柄を厳選する」と「下落で買い増す」を徹底します。

まず、買う銘柄は「電気、ガス、鉄道、通信、鉄鋼、不動産」といった内需株を選びます。内需株は不況でも安定的な利益が出るため、現時点では売り込まれていても、株価が戻る可能性が高いです。

もしくは優良株です。東証1部なら「PER15倍以下、3年連続増収増益、過去最高益更新、配当利回りが高い、値がさ株ではない」、成長株なら「PBR1倍以下、時価総額300億円以下、3年連続増益」でスクリーニングします。

このような銘柄が見つかったら、次に買うタイミングを決めます。早い段階で買うと含み損が膨みますし、悪材料が出尽くすまで待つと遅すぎです。

基本は一旦下げ止まり、反発の兆しが見えたときに、投資予定額の30%分を買います。その後も株価が下がったら10~20%に分けて、買い増しします。上昇トレンドに切り替わるタイミングで買えると最高ですが、底値は振り返って始めてわかるため、このような分散投資がローリスクです。

あとは長期的な上昇トレンドに乗れると、自動的に含み益が増えていきます。また、株価が上がってもどこが高値であるかはわからないため、同じく10~50%に分けて利確していきます。

フク
フク
株は「落ちてくるナイフはつかむな」が有名だけど‥‥。
先生
先生
みんなと違うことをするから稼げるだぬ。

株価急落から回復までの実例

金融危機のわかりやすい例は、2008年9月15日のリーマンブラザーズの破綻で始まったリーマンショックです。世界の株式時価総額は約60%が消失してしまい、日本もその影響で株価が急落しました。

以下は2008年1月~2013年12月における日経平均の月足チャートです。2008年9~10月の急落後、9カ月間で多少戻したものの、リーマンショック前の株価に回復した日は4年6カ月後の2013年3月でした。

リーマンショックで世界金融危機が起きた実例

フク
フク
日本国内の金融機関は関係ないよね?
先生
先生
直接関係なくても下がる理由があるだぬ。

日経平均の歴代下落率ランキング

日経平均株価の1日単位の下落率ワースト1位は、1987年10月20日のブラックマンデーで-14.9%を記録しました。それ以降における歴代下落率ランキングはワースト1位が2008年のリーマンショックであり、1~10位にはリーマンショックを原因とした急落が6回も入っています。

日経平均プロフィル「上昇・下落記録」

2011年3月15日は東日本大震災による原発事故が発覚、2013年5月23日は中国の経済統計が予想以上に悪化、2016年6月24日はイギリスの国民投票でEU離脱が決定したことが原因です。

ただ、金融危機時の急落は1日で終わりません。1週間単位でみると、例えば2008年10月6~10日の下げ幅は日経平均株価で-2661円(-24.4%)、NYダウで-1874円(-18.1%)となり、さらに傷が深まっています。

フク
フク
下落は1カ月程度?
先生
先生
下落トレンドは1年続くこともあるだぬ。

金融危機で日本株が急落する原因

リーマンショックで株価が急落した理由

本来、2008年のリーマンショックは直接的には日本と関係はありません。リーマンブラザーズが破綻した原因となった「サブプライムローン」という金融商品は、日本ではほとんど扱っていなかったからです。

サブプライムローンは米国の低所得者向けに広まった高金利ローンです。通常は住宅ローンが組めない低所得者層も「返済に行き詰まったときには、住宅を高く転売することで返済できる」という裏付けがあったため、金融機関はサブプライムローンを1兆3000億ドル以上も契約しました。

しかし、米国の不動産バブルが崩壊してしまい、住宅ローンが支払えない世帯は、見込んだような価格で住宅を売ることができず、サブプライムローンの返済不能による焦げ付きが多発します。

その結果、サブプライムローンを組み込んだ債権を扱うリーマンブラザーズは、その回収ができなくなり破綻しました。リーマンブラザーズと取り引きのあった数多くの銀行も連鎖的に倒産し、米国全体がパニックに陥ります。

さらにこのサブプライムローンを組み込んだ債権は、欧州や世界各地で販売されていたため、各国の金融機関も債権回収ができなくなり、欧米を中心に多額の損失が発生しました。

その損失を埋めるためには現金が必要であり、今までの投資マネーを引き揚げるために世界中の株式市場には売りが殺到します。当然のことながら日本国内で多額の投資をしている外国人投資家も日本株を売ることになり、これが日本株下落につながりました。

このような金融危機が世界規模で発生すると、リスクの高い株式市場からは投資マネーが引き揚げられるため、どの国の株価も大きく下落します。

フク
フク
世界中の投資家が日本株を換金したのか。
先生
先生
そうだぬ。日本株も影響を受けるだぬ。

株価急落が高確率で発生する理由

リーマンショックの例からわかるように、金融商品はボーダーレスに出回り、全世界の投資家が購入しています。そのため、どこかの国のリスクは、世界中のリスクとして共有されることになるわけです。

そして、ある国で問題が発生すると、その国に関連する金融商品を買っている世界中の投資家が同時に損失を受けることになります。

その金融危機を軽くするためには、不均衡な世界経済を是正することです。そこで2008年11月のG20ワシントンサミットにおいて、リーマンショックのような経済危機を起こさないために、3つの課題を提示しました。

  1. 経常黒字国と経常赤字国の差を縮小する。
  2. 金融システムを健全化する。
  3. 国際貿易において保護主義を防止する。

しかし、ドイツのように「巨額の経常黒字を拡大させる国」と、米国のように「巨額の経常赤字を拡大させる国」の差は縮まることはありません。その中で膨張する投資マネーは、リターンを求めてリスクを取らざるをえないわけです。

結局、リスクが表面化したところで対処できず、一気に金融危機となり、株価、為替、原油の急落を引き起こします。しばらく経つと金融危機の傷跡が癒えて、再び世界中の投資マネーがリターンを求めてリスクを取るというサイクルを今も繰り返しています。

フク
フク
投資家の資金は常にリターンを求めている。
先生
先生
そのために常にリスクを取っているだぬ。


逆張りするときの判断材料として、理論株価を参考にする人もいます。理論株価とは「理論的に計算した適正株価」であり、現時点の株価はこの理論株価に近づくとされています。

現時点の株価より理論株価が下回っていたら「今後下がる」、現時点の株価より理論株価が上回ったら「今後上がる」と判断できるわけです。理論株価はPER、EPS、ROEなどで計算します。

しかし、理論株価が正しいわけではありません。そもそも計算に使われるPERやEPSに適正値はないですし、PERは当期の業績予想であって金融危機時は急変動します。

そのため、多くの情報提供サービスが精度の高い理論株価を、独自の計算式で公開しています。ダイヤモンドZAiは「成長価値+利益価値+資産価値」、東洋経済は「前期末BPS+株主にとっての期待超過利益の現在価値」、GMOクリック証券は「事業価値+財産価値-有利子負債」などです。

それでも金融危機時は理論株価が当てになりません。金融危機時の株価の値動きは複雑であり、投資家の心理や突発的な事象が絡むため、単なる計算式では予測できないからです。

フク
フク
理論株価で稼げたら苦労はない。
先生
先生
金融危機時の株式投資は難度高だぬ。

株価急落がいつ起こるか予測する

世界規模の金融危機の予兆を察知できれば、空売りはともかく、危機回避できる可能性が高まります。

しかし、ITバブル崩壊には決定的な予兆はありませんでした。日本ではヤフーの株価が1億円を超えたことで話題になりましたが、これがITバブル崩壊につながると連想して、空売りできた人はほとんどいません。

リーマンショックでもサブプライムローンが急拡大しながら、米国の中古住宅販売件数の伸びが鈍化していたことが、あとから考えると「予兆だった」に過ぎません。当時はそれを疑問視する声も一握りでした。

日経新聞やビジネス誌にて経済アナリストが金融危機の予兆に言及することがありますが、これも鵜呑みにはできません。

例えば「2018年12月の株価暴落があらたな金融危機の兆候」という主張が増えました。しかし、2019年に入って反転上昇したため、この予想は外れています。続いて「2020年は下落する」と予想されましたが、実際にはコロナショックで下落したため、予想が当たったわけではありません。

このようにリアルタイムに動く株価に対して、金融危機による株価暴落の時期は、経済アナリストでさえ明確にはわからないわけです。

まとめると「金融危機は一部の経済学者以外、予知することは難しい」との認識が正しいです。さらに金融危機後は株価の動きが異常であり、プロでもどこが底になるかは判断できません。

そのため、副業で株式投資をする人は、金融危機時は続落する可能性に備えて、早期損切り。不安材料が出尽くして株価が下がりきったところで逆張りを狙います。そして、基本は資産を増やすことより「資産を減らさない」を意識し、大胆な勝負は控えたほうが無難です。

フク
フク
金融危機時は下がりきった底を判断することが難しい。
先生
先生
会社員でも一握りが勝てる世界だぬ。

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