マンガコンテンツを制作する理由とマンガの作り方

中野貴利人
執筆中野貴利人 ネットピコ代表
2019/03/29 更新

マンガコンテンツを制作する理由とマンガの作り方

  1. マンガコンテンツを制作する意図
  2. マンガにある3つの付加価値
  3. マンガコンテンツのデメリット
  4. マンガ制作のコツ50選
  5. 情報提供型のマンガを描く手順

マンガコンテンツを制作する意図

人気のサイトやブログを運営するには「特定分野でNo.1の情報量を有する」必要があり、筆者もそれを目指しています。No.1であるからこそ人が集まり、個人でも新聞社や出版社に勝つことができるためです。

ただ、世間的に内容が濃いブログが増え、まとめサイトが乱立し、新聞社や専門誌によるウェブメディアも充実してきました。信頼できる文章、写真やグラフがある良質なコンテンツが多く、同時に金銭的価値も生まれています。

毎日膨大な量の記事が投稿され続けているため、ニッチ市場でさえ次々と新しいページが誕生してはすぐに埋もれていく、新陳代謝が良すぎる状態です。これによりユーザーは新しいコンテンツが手に入りやすくなりました。

しかし、メディアとしてはライバルが多すぎて苦しい状況です。希少なコンテンツを投稿しても、すぐに文章をリライトされて、似たような写真を添えられて、SNSで拡散されることで、ユーザーに見てもらえいこともあります。

コンテンツ過多の時代の中でこそ、私たちは寿命の長いコンテンツを作り、費用対効果や作業対効果を上げていかないと、いずれは紙媒体のみの新聞や雑誌のように衰退する運命になります。

そのため、仮に「5年先も生き残るサイト」を作るなら、筆者は「コンテンツがオリジナルかつ専門的で有識者のみが作れる、わかりやすくて読者のためになる、コピーやリライトされにくい」という記事が必要と考えています。

例えば、新聞社のような高品質な文体で取材や体験などの実話を提供したり、インフォグラフィックスと圧倒的な説明力でわかりやすさを追求するなど、単なる情報提供との差別化を図ります。

私はその中ではマンガコンテンツに注目しています。マンガとは子供の読み物ではなく、ハイレベルな情報提供の手段であり、中毒性を生むほどの圧倒的なわかりやすさを持っています。

マンガ市場ではマンガをエンターテイメントとして提供していましたが、同時に「マンガでわかる○○」のような書籍が売れているように、情報伝達力のある手法として、マンガは広く認識されています。

ただし、ウェブではエンターテイメントを目的としたマンガ専用サイトはありますが、マンガをメインコンテンツとして展開するサイトは限定的です。量産化しているサイトをあまり見かけない今がチャンスかもしれません。

マンガにある3つの付加価値

マンガコンテンツがおすすめな理由は主に「伝達力、信用力、希少性」の3つです。マンガにも内容や画力の個体差はありますが、それでもマンガは総じて読みやすいです。

1

伝達力

子供から高齢者まで同じ目線で情報提供できます。複雑な説明が必要な情報もマンガ内で図解で示せますし、ウェブ上ではカラーリングのコストも安く、写真や動画を組み合わせることもできるため、理解力は向上します。

2

信用力

マンガは信用力も高いです。すでに実験済みですが、今まで50~85%あった直帰率や離脱率が20%前後となりました。平均ページビューと平均滞在時間も全体的に延びて、CVRは1.2倍に増えました。

3

希少性

マンガコンテンツの最大の利点は希少性かもしれません。コンテンツのマンガ化は誰もが作れるわけではなく、ある程度の差別化ができ、真似もされにくいです。ユーザーにとっては文章よりシェアしやすい感覚があります。

マンガコンテンツのデメリット

マンガは1ページあたりの制作コストが高いために、コストパフォーマンスが重視されます。その上で「検索エンジンであるGoogleの評価が低く、検索結果の上位に表示されにくい」というデメリットは認識しなければいけません。

マンガコンテンツがバズったときなどは例外として、私たちが日常的に検索してもマンガはあまりヒットしないように、マンガベースのコンテンツはテキストベースのコンテンツより評価が低めです。

Googleはその画像が何を意図しているかを認識していますし、画像内の文字列も読み取ることもできますが、情報の網羅性という点では画像は劣勢と判断されており、読み込み速度の観点からもアドバンテージにはなりません。

これらの理由からマンガコンテンツのみでは競合争いに負けるため、特に情報を伝える意図があるコンテンツを制作するときは、筆者は「マンガ+文章」の2段階コンテンツを推奨しています。

マンガを呼び水、もしくはライトユーザー向けとして見せてから、そのあとにディープな情報をテキストで提供します。結局はテキストがメインになりますが、マンガがあるがゆえにユニークなコンテンツが完成します。

マンガ制作のコツ50選

マンガのテーマの選び方

  • 自分が描きたいテーマではなく、市場のニーズがあるテーマを選ぶ。
  • ただし、飽和状態のジャンルや人気作品があるジャンルは難しい。
  • 流行は残像や残骸であるために追いかけず、将来の市場を予測する。
  • お金、恋愛、育児など、形がないテーマはマンガ化がわかりやすい。
  • 旅行、ファッション、美容などはマンガ化よりも写真が見たい。
  • マンガはコピーされず、コピーされても著作権違反を指摘しやすい。
  • 時間と労力がかかる分、参入障壁が高い。

マンガの魅力が増す手法

  • 基本的に他者はあなたのマンガに何の興味も持っていない。
  • 大きなゴールを設定して、逆算でプランを練るとおもしろみが増す。
  • 逆にマンガのゴールが小さいとカタルシスも小さくなる。
  • 1話単位でも「最後の1コマ=人を惹きつける結論」から考える。
  • 謎や伏線を用意して、答えを確認したくなる欲求を刺激する。
  • 最後に「引き=謎」を残して、次回で回収する。
  • 情報を提供しすぎないことで読者の想像力に委ね、感情移入させる。
  • ストーリー上の疑問、不安、不満などを解決するべき理由を描く。
  • 構造や原因、因果関係などの論理が明確である。
  • 問題に対して有効な解決策を指し示す結論が必要である。
  • おもしろさとは現実的なプランの中で意表を突かれることである。
  • 最初のほうに極論や暴論を入れて、驚かせる。
  • 平凡な意見でも文脈を変えて、注目させる。
  • 野球なら練習ではなく試合をさせるなど、メインから始める。
  • 物語全体は起伏の富んだジェットコースターにする。
  • 1話単位では衝撃の展開や予想外のセリフがあるお化け屋敷にする。
  • 作品の70%はリアリティで固め、30%は意表を突く演出で構成する。
  • 情報には数値や出典元を明示して、リアリティで信用力が上げる。
  • 常識の中に非常識な内容を入れて、非現実的な要素は含めない。
  • 多彩な比喩表現を駆使する。
  • 毎回決めセリフがある、顔を大きくして喜怒哀楽を描く。
  • 客観的な視点、本人目線、顔アップのコマを使い分ける。
  • 見せ場は3倍オーバーに描く、コマを大きくすることもあり。

三田紀房(2013年)「プレゼンの極意はマンガに学べ」

マンガを読みやすくなる要素

  • 読みやすいマンガはリズムやテンポが大切である。
  • 優れたマンガは読んでいて疲れないリズムが組み込まれている。
  • おもしろさはストーリーやキャラクターに支えられている。
  • ただし、読みやすさはリズムが大切である。
  • 情報が多すぎると読みにくいため、不要なコマ、絵、セリフは削る。
  • 伝えたいから情報を詰め込むと、逆に読みにくくなる。
  • 何を削るか引き算で考える。
  • 構成、コマ割り、吹き出しなどの手法はベタで問題ない。
  • 内容に斬新さを求める。
  • 1コマの中に話す人物は1~2人に絞り、読みやすくする。
  • ラストや大ゴマから考えて、間を小ゴマで埋めると抑揚ができる。
  • あえて背景を抜く、コマを適時挿入することで喧騒をなくす。
  • 難しい説明的なセリフが続いたあとは、無言のコマを入れる。
  • わかりにくい説明は比喩で説明する。
  • きれいな画よりも違和感のない画が読みやすさを上げる。
  • とにかく描けば描くほど、画力は上がる。

三田紀房(2013年)「プレゼンの極意はマンガに学べ」

マンガにファンができる要素

  • マンガ家は芸能プロダクションの社長である。
  • 無数の脇役の中から人気キャラを排出する。
  • 魅力的なキャラクタを作ると、複数の作品で使い回しができる。
  • キャラクタはボケとツッコミ、擬人化などが必要である。
  • 印象に残るライバルを魅力的に描く。
  • 登場人物にはある程度の謎を持たせる、逆に人物紹介はつまらない。
  • ストーリーの王道はピンチを演出して、逆転勝ちをすることである。

三田紀房(2013年)「プレゼンの極意はマンガに学べ」

情報提供型のマンガを描く手順

マンガ制作の流れ

マンガの制作フローは「ネタ出し、プロット、セリフ、ネーム、下書き、ペン入れ、カラー、トーン、効果音」の順です。ただ、デジタルマンガは「ネタ出し、セリフ、プロット、ネーム、ペン入れ、カラー」となります。

デジタルマンガでは加工や消去が簡単にできるために、下書きが不要です。トーンと効果音は自由に何度も使えるため、カラーの作業に含まれます。

また、情報提供型のマンガコンテンツは情報がメインになるため、プロットの前にある程度のセリフが固まります。そのあとはセリフを軸にプロットを描いていくような流れです。

マンガ制作の環境

  • ウェブマンガを描くなら、使い勝手に優れたペンタブが推奨される。
  • ペンタブはwacom、マンガ制作ソフトはCLIP STUDIOが人気である。
  • はじめにペンタブ、OS、CLIP STUDIOの環境構築をする。
  • ペンタブにウイルスバスター、Chrome、Dropboxなどもインストール。
  • コマ数はウェブマンガでは8~16コマ以上がおすすめ。
  • ウェブマンガで4コマは情報量が少なく、読みがいがない。
  • サイズは製本はA4(210×297mm)などがある。
  • ウェブマンガは105×297mmなどがある。
  • 縦スクロールマンガの場合は1コマを105×70mmが読みやすい。
  • 裁ち落としの5mmを加えて、115×80mm(1,585×1,102px)とする。
  • CLIP STUDIOの「作品の用途」は「コミック」に設定する。
  • カラーとモノクロの設定では、スマホで読みやすいカラーを選ぶ。
  • カラー漫画の解像度は350dpi、紙面でも使えるカラーを使用する。
  • レイヤーはセリフ、ペン、陰影、色、ネーム、プロットに分ける。
  • レイヤーを素材として保存しておき、テンプレート化する。
  • ブラシサイズはコマ枠5、セリフ枠5、図5などに決めておく。
  • セリフのフォントはI-OTFアンチックStb Bが定番である。
  • フォントサイズはセリフ14、強調セリフ20、注訳10などに設定する。

プロットを作成する手順

  • プロット作成時は専門誌などから正確な情報を得る。
  • ネタ帳にブレーンストーミングのようにアイデアを書く。
  • 先にオチを用意して、話の組み立てをしやすくする。
  • アイデアが出ないときは気分転換する。
  • 文章で流れを作りながら簡単なラフスケッチをする。
  • ペンタブでコマにセリフを当てていく。
  • コマに画を描き込んで、プロットを完成させる。

ネームとカラーを外注化

  • プロではない人が描いた場合は1本あたり28時間(3.5日)かかる。
  • プロット8時間、ネーム8時間、ペン入れ8時間、着色4時間となる。
  • 作業効率化のために画や写真を取り込んでなぞる。
  • それでもネタ作りを含めると、1カ月で5~6本しか完成できない。
  • そこで自分ではネタ作り、セリフとプロットのみをする。
  • 残りのネーム、ペン入れ、塗りを外注化する。
  • イラストレーターを雇用するより、外注化のほうが柔軟性がある。

マンガをアップする手順

  • 納品物の修正をする。
  • 全コマを書き出し、リサイズ、圧縮、アップする。
  • サイズは500×347px、Retinaは遜色ないために対応しない。
  • サムネイルの104.6×69.6mm(360×240px)も書き出す。
  • 記事はテンプレートを用意する。
  • alt(セリフや文字)とコマタイトルを追記して、テキストを加える。

マンガ公開後の効果測定

当サイト「フクポン」でも以下のように副業のハウツーをマンガにしたり、副業の職種をマンガで掘り下げることをしています。

その結果、ページの離脱率や直帰率は下がり、SNSの反応率が上がることは確認できました。マンガを公開したあとは、このように効果測定をすることで、マンガのメリットや改善点を把握できます。

また、デジタルマンガは横展開しやすいため、個人的には「絵本やイラストなど作成、雑誌連載や単行本化、マンガを集約してアプリ化、マンガを英語に翻訳して海外に配信、海外の仕事を受注生産する」もしてみたいです。

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著作・制作など

中野貴利人
監修・執筆・編集
株式会社ネットピコ代表/フクポン編集長/副業プランナー。新卒で副業開始、26歳で法人化、11期目。副業関連の著書4冊。2児の父。過去の取材や講演はメディア掲載履歴で紹介。