【漫画】第21話「FXのスワップ金利とは?2つの通貨にある金利差のこと」
「毎日50円増える!?」
「スワップ金利の仕組み」
「年70万円の利益!?」
「スワップ金利で大損」
外貨で受け取れるスワップ金利とは?
金利が異なる2国間の通貨を売買した際に発生する金利差を「スワップ金利」や「スワップポイント」と呼びます。このスワップ(swap)とは「交換する」という意味です。
厳密には高金利国と低金利国の間にある金利差を「スワップ金利」、その金利差で発生する利息分を「スワップポイント」、FXでは全体を総称して「スワップ」と定めています。
例えば、2024年10月時点のメキシコの金利は7.25%でした。そのとき日本の金利が0.1%であったため、金利差が7.15%発生します。
メキシコの金利7.25%-日本の金利0.1%=金利差7.15%
ここでメキシコペソ/円を10万通貨買うと、1日あたり約100円のスワップポイントがFXの口座に貯まっていきます。これは1年間では3万6500円にもなる計算です。
このように低金利国の通貨を売り、高金利国の通貨を買って蓄えておくだけで、毎日金利が付くためにプラスの収入になり、逆に高金利国の通貨で低金利国の通貨を購入するとマイナスの支出となります。
日本は10年以上も0.1%以下をさまよっているほどの低い金利です。基本的には日本円でどの国の通貨を買っても金利差がプラスに生じます。そのため、FXとは「日本円を扱いやすい日本人に適した投資商品」です。
主要15カ国の政策金利リスト
次のグラフは日本とトルコにおける毎年1月時点の金利です。日本は-0.1%の超低金利国ですが、トルコは11.25%に達しています。また、米国は1.75%、イギリスは0.75%、オーストラリアは0.75%もあります。
主要15カ国における金利の推移は次のとおりです。価格が安い外貨を買って、価格が高くなったら売ることは、短期的に稼ぐFXの基本ですが、金利が安い日本円で金利が高い外貨を買うことも、長期的に稼ぐFXの方法です。
年 | 日本 | 米国 | EU | 英国 | 豪州 |
---|---|---|---|---|---|
2020 | -0.10 | 1.75 | 0.00 | 0.75 | 0.75 |
2019 | -0.10 | 2.50 | 0.00 | 0.75 | 1.50 |
2018 | -0.10 | 1.50 | 0.00 | 0.50 | 1.50 |
2017 | -0.10 | 0.75 | 0.00 | 0.25 | 1.50 |
2016 | -0.10 | 0.50 | 0.05 | 0.50 | 2.00 |
2015 | 0.00 | 0.25 | 0.05 | 0.50 | 2.50 |
2014 | 0.00 | 0.25 | 0.25 | 0.50 | 2.50 |
2013 | 0.10 | 0.25 | 0.75 | 0.50 | 3.00 |
2012 | 0.10 | 0.25 | 1.00 | 0.50 | 4.25 |
2011 | 0.10 | 0.25 | 1.00 | 0.50 | 4.75 |
2010 | 0.10 | 0.25 | 1.00 | 0.50 | 3.75 |
年 | NZ | カナダ | 南ア | スイス | ノルウェー |
---|---|---|---|---|---|
2020 | 1.00 | 1.75 | 6.25 | -1.25 | 1.50 |
2019 | 1.75 | 1.75 | 6.75 | -1.25 | 0.75 |
2018 | 1.75 | 1.25 | 6.75 | -1.25 | 0.50 |
2017 | 1.75 | 0.50 | 7.00 | -1.25 | 0.50 |
2016 | 2.50 | 0.50 | 6.75 | -1.25 | 0.75 |
2015 | 3.50 | 1.00 | 5.75 | -1.25 | 1.25 |
2014 | 2.50 | 1.00 | 5.50 | 0.00 | 1.50 |
2013 | 2.50 | 1.00 | 5.00 | 0.00 | 1.50 |
2012 | 2.50 | 1.00 | 5.50 | 0.00 | 1.75 |
2011 | 3.00 | 1.00 | 5.50 | 0.25 | 2.00 |
2010 | 2.50 | 0.25 | 7.00 | 0.25 | 1.75 |
年 | スウェーデン | トルコ | メキシコ | 中国 | 香港 |
---|---|---|---|---|---|
2020 | 0.00 | 11.25 | 7.25 | 4.35 | 2.00 |
2019 | -0.25 | 24.00 | 8.25 | 4.35 | 2.75 |
2018 | -0.50 | 8.00 | 7.00 | 4.35 | 1.50 |
2017 | -0.50 | 8.00 | 5.75 | 4.35 | 1.00 |
2016 | -0.35 | 7.50 | 3.25 | 4.35 | 0.75 |
2015 | 0.00 | 7.75 | 3.00 | 5.60 | 0.50 |
2014 | 0.75 | 10.00 | 3.50 | 6.00 | 0.50 |
2013 | 1.00 | 5.50 | 4.50 | 6.00 | 0.50 |
2012 | 1.75 | 5.75 | 4.50 | 6.56 | 0.50 |
2011 | 1.25 | 6.25 | 4.50 | 5.81 | 0.50 |
2010 | 0.25 | - | 4.50 | 5.31 | 0.50 |
情報取得日 2024年10月時点
低金利国通貨で高金利国通貨を買うほどプラスの金利差が生まれ、その外貨を保持しているだけで金利が得られます。ただ、逆に高金利国通貨で低金利国通貨を買うと、マイナスの金利差が負担することになり、その外貨を持てば持つほど損をします。
スワップ金利を計算してみる
為替レート、レバレッジ、スワップ金利から1万通貨あたりに必要な自己資金額とスワップ金利の受取額と利回りを計算します。
例えば「1豪ドル=100.00円」のとき、1万豪ドルで1日あたり50円のスワップポイントが付く場合、為替レートに「100.00」、スワップポイントに「50」を入力した上で、レバレッジを指定します。
この計算結果はスワップ金利が変動しないと仮定していますが、実際は年に数回ほど、各国の中央銀行が金利の変更を発表します。
スワップ金利では利回りの高さと安定性が重要ですので、高金利国の格付けからレバレッジを決めることも大切です。為替変動リスクに備えながら、スワップ金利で収益を得るならレバレッジは低めに設定しましょう。
スワップ金利が変わる3大要因
スワップ金利は常に一定額が貰えるわけではありません。FX会社、通貨ペア、売買タイミングで異なります。スワップ金利で稼ぎたい人はこの3つを事前に確認し、長期的な収益を予測しましょう。
銀行によって定期預金や外貨預金の金利が違うように、FX会社によってスワップ金利にかなりの差があります。2024年10月時点では同じ豪ドル/円でも1日20円ではなく、10円や5円しか貰えないFX会社も多いです。
スワップポイントを預金代わりにするなど、長期的に高金利通貨に投資をしたい人はスワップポイントの高いFX会社、日常的に外貨を売買する人はスプレッドが狭く、スマホで取引しやすいFX会社を選択するといった使い分けがベストです。
2024年10月時点では米ドル/円は60円程度、英ポンド/円は40円程度、豪ドル/円は1日20円程度、NZドル/円は20円程度付与され、南アフリカランド/円なら120円です。
また、ユーロ/円が-30円のように、逆に支払うこともあります。日本円で豪ドルを買うのではなく、豪ドルで日本円を買ったときも、逆にスワップ金利を支払う、厳密には口座からスワップ金利分が毎日引かれていきます。
2007~2012年は1日150円以上も貰えた豪ドル/円ですが、2024年10月時点では1日20円程度しか付与されません。金利は1~4カ月の間隔で0.1~0.5%程度変わっていきます。
注意点① レバレッジで金利が数十%増
2024年10月時点では1万カナダドルは1日40円、1年間で1万4600円ものスワップポイントが付きます。為替レートが「1カナダドル=80円」のとき、手元にある80万円を投資したなら、年利で1.83%に相当です。
手元に80万円がなくても、レバレッジが2倍なら40万円で済みますし、レバレッジが5倍なら1/5の16万円で80万円分の外貨が購入できます。
ただ、レバレッジを5倍に増やしても、取引額が変わらないためにスワップポイントも1万4600円と変わりません。その結果、元手の16万円に付いたスワップポイントは年利9.13%に換算できます。つまり、レバレッジに比例して、年利もその分アップしていくわけです。
1万4600円÷16万円=9.13%
また、今度はきちんと手元に80万円を用意した上で、レバレッジを10倍にすると800万円分の取引ができます。その結果、受け取る額も10倍の14万6000円となり、一気に資産は増えるかもしれません。
ただし、10倍以上の高いレバレッジを使うと、為替レートが円高に動いたときに、レバレッジの分だけハイリスク・ハイリターンとなります。そのため、実取引では高くても5倍、初心者は1~3倍くらいに抑える注意が必要です。
注意点② マイナス金利では損失が発生
スワップ金利はポジションが買いか売りかで大きく異なります。例えば「金利0.1%の日本円で、金利1.5%のカナダドルを買う」といった買いポジションの場合、0.1%の金利を支払って1.5%の金利を受け取るために「1.5-0.1=1.4%」の収益となります。
スワップ金利は日割りで計算されるため、この金利差によるスワップ金利は毎日受け取れます。
さらに日本円よりもカナダドルの価値が上がる、つまり為替レートが円安に動くことで、為替収益とスワップ金利の両方で収益を得ることもできます。日本円で高金利通貨を買ったときは、円安になるほど収入が増えるわけです。
逆に「金利1.5%のカナダドルで、金利0.1%の日本円を買う」、つまり「カナダドルを売って、日本円を買う」売りポジションの場合、1.5%の金利を支払って0.1%の金利を受け取るために「0.1-1.5=-1.4%」の損失となります。
ただし、スワップ金利では損をしますが、為替が円高に動くことでマイナスのスワップ金利以上の収益が獲得できて、得をするケースもあります。
海外投資家はスワップ金利を無視して、日本円を買っていることがありますが、これも「円高になる」や「安定的でリスクヘッジになる」と予想しているからです。