予備自衛官の副業 - 5日間で年8万8500円の手当て!任用には400時間の訓練あり

中野貴利人
監修中野貴利人
2019/09/06 更新

予備自衛官の副業 - 5日間で年8万8500円の手当て!任用には400時間の訓練あり

  1. 予備自衛官の仕事内容
  2. 応募資格は18歳以上34歳未満
  3. 予備自衛官で副業するときの手順
  4. 予備自衛官補の試験は4種類
  5. 予備自衛官補は400時間の教育訓練
  6. 年間手当は8万8500円
  7. メリットは非日常の実務に携わること
  8. デメリットは5日間の休み調整
  9. よくある質問と回答
  10. 予備自衛官の副業まとめ

予備自衛官の仕事内容

予備自衛官とは非常勤の自衛官のことです。普段は会社員などの本業を持ちながら、有事のときは自衛官として招集され任務にあたります。任期は3年間で、志願すれば63歳まで任期の継続が可能です。

職種は「一般コース」と「技能コース」に分かれ、仕事はどちらも現職自衛官の後方支援が主体です。一般コースでは駐屯地での業務や補給、技能コースでは通訳や医療、ITなどの保有するスキルを生かした補助を行います。

一般コース=駐屯地での業務や補給
技能コース=スキルを生かした補助

2011年の東日本大震災においては、予備自衛官に対して災害招集が実施されて、駐屯地での業務活動、食事や給水のような生活支援、被災地での通訳や医療にあたりました。

今のところ、一般コースの予備自衛官は国内の災害派遣が主で、国外の協力活動や戦闘地に派遣されることはありません。技能コースの予備自衛官は通訳などで国外の活動に参加する可能性もありますが、先例はありません。

また、予備自衛官としての招集がなくても、1年間のうち5日間は訓練に従事することが定められています。

応募資格は18歳以上34歳未満

応募資格は18歳以上34歳未満

予備自衛官は「即応予備自衛官」「予備自衛官」「予備自衛官補」の3つに分けられます。この中で即応予備自衛官は、元自衛官のみが採用対象となっているため、一般人は応募できません。

一般人は最初に予備自衛官補に応募し、試験と教育訓練を経てから、予備自衛官に任用される流れです。コースは一般と技能がありますが、一般コースは日本国籍を持つ18歳以上34歳未満の人なら誰でも応募できます。

技能コースは「語学、医療、整備、情報、通信、電気、建設、放射線管理、法務」の9分野で、国家資格を伴うスキルを有する人のみ応募できます。年齢は18歳以上であり、技能によって53~55歳未満の年齢上限があります。

なお、予備自衛官は陸上自衛隊が一般的です。海上自衛隊でも公募されていますが、こちらは一般ではなく技能コースのみ、さらに応募資格として海技士資格が必要です。

予備自衛官で副業するときの手順

予備自衛官補の応募方法は「インターネットによる方法」と「郵送または持参による方法」があります。ここではインターネットによる方法を例に手順を説明します。

  1. 自衛隊募集ホームページから予備自衛官補に応募します。
  2. 応募受付および受験票発行メールが届きます。
  3. 予備自衛官補の試験を受けます。
  4. 試験に合格すると採用名簿に記載されます。
  5. 成績上位者から予備自衛官補として採用されます。
  6. 予備自衛官補の状態で教育訓練を受けます。
  7. 教育訓練が終了したら予備自衛官として任用されます。
  8. 年に1度5日間の訓練に参加します。
  9. 有事の際は招集され任務にあたります。

また、応募方法がウェブではなく、郵送や持参の場合は最寄りの自衛隊地方協力本部へ志願表を提出します。志願表は自衛隊募集ホームページでダウンロードするか、自衛隊地方協力本部に請求します。

自衛隊募集ホームページ

予備自衛官補の募集は2019年は年に2回でした。ただし、1回目の募集で採用予定数に達すると、2回は行われないこともあります。2019年の予備自衛官補の募集期間と予定人数は以下のとおりです。

第1回第2回
募集期間2019/1/7~4/122019/7/1~9/13
試験期日2019/4/20~4/24の指定日2019/10/5~10/8の指定日
合格発表2019/5/172019/11/8
地域一般コース技能コース
北海道100名20名
東北100名20名
関東・甲信越530名80名
中部・近畿・中国・四国520名60名
九州150名20名

情報取得日 2019年1月時点

海上予備自衛官補の場合は上の表とは別に、全国で20名程度募集されます。

予備自衛官補の任務は教育訓練のみで、災害召集や防衛招集はありません。所定の教育訓練をすべて終えると、予備自衛官補から予備自衛官となり、訓練以外の任務に就けるシステムです。

予備自衛官補の試験は4種類

予備自衛官補の試験内容は「筆記試験、口述試験、適性検査、身体検査」の4種類です。

チェック1

筆記試験

筆記試験は一般コースの場合、国語、数学、理科、社会、英語、作文の6科目です。レベルは高校受験程度とされています。マークシート方式で、1教科あたり30分程度の分量です。また、技能コースの筆記試験は小論文のみとなっています。

チェック2

口述試験

口述試験は現役自衛官との個別面接です。面接では「会社や家族の了解を得ているか」や「教育訓練に問題なく参加できるか」という質問が必ずされます。それ以外は志望動機、自分の長所と短所、運動経験など、一般の会社の採用面接と同じような内容です。

チェック3

適性検査

適性検査は「性格や行動の傾向をつかむ検査」と「知能検査」の2種類があります。性格・行動検査は「1人より大勢でいるほうが好きである」や「気分にむらがでやすい」といった質問にアンケート形式で答えていきます。知能検査は足し算、引き算、図形問題などを制限時間内にこなしていくものです。

チェック4

身体検査

身体検査は身長、体重、視力、聴力、血液、尿、胸部X線、既往歴などが検査されます。合格基準は男性が身長155cm以上、女性が身長150cm以上、体重は身長に即したものであるため、痩せすぎや太りすぎは要注意です。

その他は基本的に健康であれば問題ありませんが、血液検査や尿検査で数値に異常が出ないよう健康管理、また前日の食事には気を付けましょう。開腹手術1年以内や重度のアレルギーは不合格となる可能性があります。

また、どんなに小さなものでもタトゥーはNGです。

予備自衛官補は400時間の教育訓練

50日間の教育訓練に参加する

予備自衛官補の試験に合格すると、今度は予備自衛官になるための教育訓練が行われます。職種が一般コースの場合は3年以内に50日間、計400時間の教育訓練に参加しなくてはなりません。

この教育訓練は1回あたり連続5日間続いて、曜日は木、金、土、日、月曜日です。これが1年間で複数回実施されており、自分の希望の日程を選べます。学校や仕事、家庭の事情で5日間連続の参加が難しい場合は一部で分割も認められています。

教育訓練中は駐屯地内の宿舎に宿泊し、他の予備自衛官補と寝食を共にします。基本的に外出できず、5日間まるまる拘束されます。敷地内は喫煙可ですが、飲酒はできません。

また、技能コースの場合は2年以内に10日間、計80時間の教育訓練が定められています。

教育訓練の内容は6種類ある

予備自衛官補の教育訓練は、新人自衛官が入隊後の3カ月間で行う訓練を50日間に凝縮したものであり、その内容は基本教育、格闘、野外、戦闘、防護衛生、武器の6種類に分かれます。

訓練内容
基本教育自衛官制度、国際軍事情勢や防衛についての座学、体力向上運動
格闘部隊行動の基礎、素手や武器による格闘技術の習得
野外野営の基礎および10km・25kmの行軍
戦闘ほふく前進や偽装など戦闘の基礎動作の習得
防護衛生防護マスクの使い方、催涙剤体験、止血法の習得
武器小銃の分解や整備をはじめ実弾射撃

一方、技能コースでは一般コースの教育訓練はコンパクトにまとめられて、専門技能を発揮するための訓練を行います。

手当ては1日7900円が貰える

教育訓練には1日7900円の手当てが支給されます。一般コースでは50日間あるため、合計39万5000円の手当てが貰えます。技能コースは10日間あるために合計7万9000円です。

1日7900円×50日間=39万5000円

また、教育訓練に参加するための旅費、期間中の食費や宿泊費などはすべて支給、被服は無償貸与されます。教育訓練中の病気やケガは自衛隊内の医務室、もしくは自衛隊病院が利用できます。

予備自衛官の年間手当ては8万8500円

予備自衛官になると訓練は年5日間のみなります。これは予備自衛官補で学んだことを忘れずに、維持することが目的です。訓練日は土日含む連続5日間ですが、事情によっては2回に分けることもできます。

訓練手当は1日8100円です。また、それ以外に月額手当として1カ月4000円が支給されます。つまり、1年間の手当て総額は8万8500円となり、仮に招集がなくとも継続的な収入を得ることができます。

8100円×5日=4万500円
4000円×12カ月=4万8000円
4万500円+4万8000円=8万8500円

訓練手当は参加後およそ1週間程度、月額手当は3カ月おきに振り込まれます。また、有事の招集では階級や任務に応じた手当が支給されます。金額は同等の現役自衛官の月給を日割りして算出することになっています。

ここでも訓練や招集の場合の旅費、食費、宿泊費、被服などはすべて支給されて、訓練および任務中のケガは現役の自衛官と同じ補償も付きます。

メリットは非日常の実務に携わること

メリットは非日常の実務に携わること

自衛官の総合訓練では格闘術、野営、衛生などを学ぶことができ、有事の際の知識やサバイバル術が身に付きます。武器訓練では銃の分解や実弾射撃といった非日常行為も体験できます。

普段の生活では経験することのない自衛隊独自の訓練を、身をもって経験できるため、これを目的に予備自衛官に応募する人も多いです。

ただ、1番のメリットは国と国民の役に立つことができる有意義な仕事であることです。今後も甚大な災害時には招集される可能性があり、人命救助の一助を担う社会貢献度の高い仕事でもあります。

このように「国に貢献する」という大義名分があるため、通常の副業と比べて会社にオープンにしやすい点もメリットです。予備自衛官は副業にはあたらないという法律はありませんが、副業禁止の会社でも相する価値はあります。

また、予備自衛官の従業員が働く企業の一部では、給付金が出る制度があります。給付金の額は「有事の際に欠勤した日数×3万4000円」などです。

デメリットは5日間の休み調整

最大のデメリットは予備自衛官補の50日間の教育訓練であり、3年以内に「5日間×10回」の日程をこなさなければいけないことです。教育訓練の日程には土日を含むため、3日程度の休みを1年間で3~4回調整します。

いくら会社の理解があっても、会社員がそれだけの年休を取得することは大変です。仮に調整できても、今度は自分や家族のための休暇がなくなります。

そのため、予備自衛官補の面接では「教育訓練に参加できる目処」について、必ず確認されます。そこで学生で時間に融通が利くうちに、予備自衛官補に応募する人もいて、実際に一般コースの予備自衛官補には学生が多いです。

いずれにしても予備自衛官になると、年間5日間の訓練のみで済みますし、年間8万8500円の手当てを受け取ることができます。

また、災害招集では招集を受けて出頭するかは自由ですが、防衛招集には応ずる義務があります。正当な理由がないのに拒否すると、3年以下の懲役または禁錮に処すると定められています。

災害招集

災害が発生し、必要と認められる場合に集められる。

防衛招集

外部からの武力攻撃のような緊急事態に集められる。

予備自衛官の過去の招集事例には災害招集しかないため、2019年5月時点では防衛招集で罰せられた人はいません。しかし、罰則がある点は要注意です。

よくある質問と回答

──運動能力に自信がなく、教育訓練についていけるか不安です。

一般コースの予備自衛官では、体を限界まで酷使するような激しい内容は行われません。教育訓練は基礎体力の向上から始まり、格闘の基礎、戦闘の基礎のように、段階を踏んで進んでいくため、徐々に体が慣れていくでしょう。

──女性でも予備自衛官になれますか?

女性自衛官がいるように女性の予備自衛官もいます。性別による制限はありません。

──予備自衛官の合格率はどのくらいですか?

正式な数字は公表されていませんが、一般コースでは2~4倍程度の倍率とされています。技能コースは一般よりも倍率が高く、特に英語は応募者が多いため難関です。また、地域や年によっても差があります。

──訓練以外での招集はどのようなケースがありますか?

一般人から予備自衛官を任用する制度は2001年から導入されましたが、その間に訓練以外で招集があった年は、2011年に発生した東日本大震災のみです。

そのため、予測の範囲内に収まりますが、大規模災害や国家存続にかかわる危機によって、自衛隊だけでは手が足りないような事態のときに招集が予想されます。

ただし、制度上初の招集となった東日本大震災の例では、政府の要請に対して出頭可能と回答した人は4497人であり、予備自衛官全体の約17%でした。さらに実際の任務に就いた人は103人、予備自衛官全体のわずか0.4%です。

出頭しなかった予備自衛官のなかには「要請自体がなかった」や「出頭可能と回答しても招集されなかった」という話もあり、その結果「予備自衛官制度は本当に必要か」や「有効に活用するためにはどうしたらよいか」などの議論もなされています。

──自衛官未経験の一般人では「即応予備自衛官」にはなれませんか?

即応予備自衛官への任用が元自衛官のみでしたが、自衛官の人員不足を受けて、2019年度からは一般出身の予備自衛官にも拡大されました。

ただし、予備自衛官からの応募になるため、一般からいきなり即応予備自衛官に応募はできません。まずは予備自衛官として任用されたのち、希望を出して追加の訓練を受ける必要があります。

予備自衛官の副業まとめ

総合 2.4
評価
収入年間8万8500円
時間5日~
特徴
スキマ
深夜OK
土日有利
期間限定
初心者
スキル
資格有利
趣味併用
週末起業

副業の評価方法について

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著作・制作など

中野貴利人
監修・執筆・編集
フクポン運営/副業プランナー。新卒で副業開始、26歳で法人化、11期目。副業関連の著書4冊。2児の父。過去の取材や講演はメディア掲載履歴で紹介。