【漫画】第14話「FXは不正行為できる?仮装売買・風説の流布・インサイダー取引など」
「買ったら下がる!?」
「為替が操作された!」
「FXはフェアな取引」
「1勝9敗でも稼げる」
FXで不正行為をしても為替レートは動かない
自分で売り買いして売買高を釣り上げる仮装売買、未確認の噂で第三者を騙す風説の流布、非公表の内部情報を使って売買するインサイダー取引は、FXにおいてはほぼ無力です。
私たちが数百万円分の仮装売買をした場合、株式投資なら銘柄によっては価格を大きく動かすことができます。しかし、FXでは為替市場の取引額が国内だけで月間500兆円以上もあるため、為替レートはびくともしません。
個人資金では価格が操作でないため、みんなの投資マネーを動かそうと、私たちが風説の流布をしても世間は信用しないです。ましてやそれが為替レートに影響を及ぼすほど、大きな流れを作ることはありません。
失業率やGDPといった経済指標は為替を大きく動かしますが、発表時刻までその情報は厳重に守られています。発表者の控室には携帯電話を持ち込めず、外部との連絡が遮断されているほどです。
風説の流布で為替レートが動いた事例
為替レートはまれに不正操作ができてしまうこともあります。例えば、FRB(米国の中央銀行に相当する機関)の議長だったアラン・グリーンスパンが交通事故を起こして、重傷を負ったという情報が広まりました。
これはたまたま世間に信用されてしまった嘘の噂でしたが、結果、米ドルは急落します。しかし、最初にこの情報を広めた人物は罪にはなりません。それは為替レートはあらゆる種類の情報に反応して敏感に動くからです。
個々の不正操作に対するその時間の為替レートへの影響度は、正確には分析できません。つまり、今回のグリーンスパンの交通事故と米ドルの値動きも因果関係が証明できないため、犯罪行為にはならないわけです。
噂が出回って為替レートが動いた事例
東日本大震災の直後は「日本の銀行や保険会社が保険金の支払うために、早急に現金を確保せざるを得ないことから、海外にある資産を処分して日本円に替える」と予測されました。
ドル建ての資産を売って、大量の日本円が買われることで、一気に円高が進むとの見方です。世界中の投機筋が円買いに走った結果、2011年3月16日の深夜に米ドル/円が4円35銭も下がりました。
しかし、実際には海外資産の売却した企業は1社もありませんでした。このように風説の流布とは関係なく、真偽問わずとも大勢の人による憶測や思惑といった心理で為替レートが動くことは多々あります。
また、株式投資では「大学生が仮装売買で逮捕される、主婦が虚偽の企業情報を広めた風説の流布で逮捕される、長男が父親から仕入れた内部情報から株を購入したインサイダー取引で逮捕される」などの事例があります。
そのため、初心者はFXでも不正操作を疑いたくなりますが、為替市場はスケールが大きすぎます。インサイダー取引に関しても諸外国にて政府関係者が経済指標を親族に漏らした例を除き、為替市場は公正公平を保っています。