中古ゲームせどりで月収80万円!お値打ち品の見つけ方&高値で売る方法に密着
音楽活動を本業としながら、中古のゲーム関連品を転売する「中古ゲームせどり」の副業を手がけるブラウニーさん、33歳(2018年9月時点)。中古ゲームせどりで生活に十分な収入を確保し、それが本業を自由に楽しく続ける糧にもなっていると言います。
これまでの中古ゲームせどりの最高月収は、なんと140万円。一般的なサラリーマンの給料の何倍にも及びます。副業でなぜそんなに稼げるのか。そして本業と副業の両立がなぜ可能なのか。仕入れから出品までひととおりの作業に密着しながら、稼ぐ秘訣を教えてもらいました。
33歳 男性 東京都
中古ゲームせどり歴5年
本業はドラマーと音楽事務所の運営。開始1年で月商100万円、月収30万円を達成。現在は月収80万円に落ち着き、それ以外にもアパレル品や中国製品の販売事業を手がけるせどりのプロ。
人生の大ピンチでせどりに救われた
ブラウニーさんが中古ゲームせどりを始めたのが2013年のこと。もともと大阪でドラマーとしてのミュージシャン活動と、他のミュージシャンのマネジメント業を本業としていて、マネジメントを手がけるミュージシャンとともに会社から独立したところでした。
ところがそのタイミングでミュージシャンがメジャーレーベルに引き抜かれ、ブラウニーさんの元を離れます。突如メインの仕事を失ったブラウニーさんは途方に暮れてしまいます。
そこで出会ったのが、ゲーム関連商品を中古店で買い、それをAmazonで売る「中古ゲームせどり」の仕事でした。
「以前からの知り合いがすでにゲームせどりで稼いでいて、彼のコンサル生になりました。僕はミュージシャンとしての活動があり、その仕事が急に入ることもあるので、なかなか普通の仕事やアルバイトはしづらいのですが、この副業なら自分の好きな時間にできるので、ミュージシャン活動と並行してやれるなと思ったんです」
早速中古ゲームせどりを実践してみたブラウニーさん。始めて1カ月目で月収1万円、2カ月目で月収15万円を記録し、開始約1年後の2013年12月には月商100万円、月収30万円を達成します。
「最初は恐る恐る仕入れていてあまり稼げませんでしたが、実際に稼いでいる人と一緒に仕入れを回らせてもらい、目の前でプロの仕入れを見たことで、『こんな商品でも稼げるんだ』とマインドブロック(潜在的な自己制御)みたいなものが外れ、そこからはガシガシ仕入れられるようになりました」
「それとはじめは仕入れ作業がかなり遅かったのですが、やっているうちに『目利き』がついてきて、どんどん作業が早くなっていきました」
その後もブラウニーさんの副収入は順調に伸びていき、2014年には月収90万円、そして2015年にはなんと月収140万円を記録しました。以降はアパレル品や中国製品などゲーム以外の商品にも幅を広げ、中古ゲームせどり自体は月商300万円、月収80万円ほどに落ち着き、今に至ります。
現在はドラマーとしての演奏活動と、アーティストのマネジメント、音楽イベントの運営を本業としながら、中古ゲームせどり、そして後日紹介する中国製品の輸入業を営んでいます。
恐ろしく多忙なのでは?と思ってしまいますが、実はせどりと中国輸入は何人かのスタッフに基本業務を任せているため、1日の副業時間は実質2時間ほど。だから本業には全く影響しないと言います。
本業を犠牲にすることなく好きなときに副業の作業ができ、しかも十分な副収入を得られる。理想的な副業ともいえる中古ゲームせどりは、どのような仕組みなのでしょう?以降で詳しいやり方を紹介していきます。
禁断の仕入れ現場に潜入!
商品を仕入れる
中古ゲームせどりにおいてまず行うのが「仕入れ」です。
「仕入れによく行くのはブックオフやゲオ、ハードオフ、古本市場といった全国的に店舗展開している中古店です。あとは小規模のゲーム屋さんでも買い付けをします」
そこで今回はブラウニーさんの仕入れに同行させてもらいました。
この日ブラウニーさんが入ったのが、都内某所のブックオフ。真っ先に向かったのが、コントローラーやリモコン、ケーブルなどが置かれるゲーム周辺機器のコーナーです。
「ゲーム機本体やソフトも仕入れますが、まずはここを見ます。けっこうおいしい商品多いんです」
棚を眺めるブラウニーさん。そしておもむろにある商品を手に取り、その次にスマホの画面を眺めたあと、商品を買い物カゴに入れました。いったい何をしていたのでしょう?
アプリで利幅をチェックする
「まずは棚をザッと見て、これは安そうだという商品を手に取り、スマホで商品を検索します。この時に使っているのが『せどりすとプレミアム』という、せどりに特化したアプリです」
「商品を検索すると、それをAmazonで売った時の販売手数料などを引いたおおよその利益額が出てきます。僕は利益が500円以上取れれば仕入れるようにしています。せどりすとプレミアムを使うには月額5400円かかりますが、無料の『Amacode』というアプリでも十分使えます」
ちなみにブラウニーさんが調べた商品は、店での売値が1550円で、Amazonで売値は2700円でした。
店舗内のコーナーを回る
こうして次々と店内の棚をまわっていき、時折カゴに商品を入れていくブラウニーさん。
「はだかソフト(箱・説明書なしソフト)コーナーも必ず見るようにしています。はだかでも、けっこう売れるものがあるんです。あとはアップル製品の周辺機器コーナーも売れ筋が多く、よく見ます」
通常のゲームソフトの棚はそこまでお値打ち品は多くないので、サッとチェックする程度です
その後ゲーム攻略本コーナーや漫画コーナーも簡単にチェックし、どうやら作業は終了のようです。
「会計をしてきます」
入店してからここまで、ものの20数分です。ブラウニーさんが買った商品は全8点で、お会計は合計1万2400円でした。果たして、これを全部売ったらいくらくらいになるのでしょう?
1日数店舗をはしごする
「だいたい計2万2000円ほどで売れそうで、販売手数料などを引くと、この1店での利益額は約5000円の計算です。だいたい仕入れは1店舗につき30分以内で済みます。これを多い日は10~15店舗ほどこなします」
ちなみに、ブラウニーさんがどんな商品を取り扱っているのか、これまでの商品をいくつか見せてもらいました。
こちらはXboxのコントローラー。540円で仕入れ、4197円で売りました。
こちらはニンテンドーDS Lite。1550円で仕入れ、3480円で売りました。
こちらはドラゴンクエスト4。1080円で仕入れ、2100円で売りました。
出品はビームでサクサクできる
自宅で動作確認を行う
お店で商品を買い付けたら、事務所に戻って出品作業を行います。こちらがブラウニーさんの事務所兼自宅です。
まず行うのが「動作確認」です。不良品を送るとトラブルになるので、買った商品がきちんと動くかどうかを確認します。動作確認用のさまざまなハードが揃っています。
ちなみに本体一式を売る際に、コントローラーやケーブルなど付属品が何か欠けている時に重宝するのが、付属品のストックです。ここから埋め合わせて「完品」にしてから売ることで、バラで売るより良い値になります。
汚れをクリーニングする
その後、汚れが目立つものはクリーニングを施します。ブラウニーさんが愛用するのが「ウタマロクリーナー」。これを使うとびっくりするほどきれいになるそうです。
また値札やラベルを剥がす際は「風神」を使います。シュッと吹き付けて少し待ってからティッシュで拭き取ると、ラベル跡が完全に消えています。
こうしたひと手間が、結果的に売れ行きや売値を押し上げてくれるそうです。確かに自分が買う立場だったら、少しでも状態のいいものを選びます。
商品を撮影する
続いては商品撮影です。Amazonは写真なしで出品できますが、中古品の場合、写真を付けた方がトラブルが起きにくいので、最近は付けるようにしているそうです。撮影セットはどう組めば?
「撮影用キットがAmazonに売っていますが、わざわざ買わなくても布を敷いて撮ればきれいに撮れます。僕はテーブルの上にダンボール箱を置いて背景を作り、その上から布を掛けています。布はAmazonで『白 布』とかで検索すると、安いのが出てきますよ。
同じくライトもAmazonで買ったものです。これも『テーブルライト』とかで検索すれば出てきます。なるべく明るいものがいいので、LEDよりは蛍光灯タイプがおすすめです」
Amazonに登録する
撮影が終わったら、今度は出品する商品をAmazonに登録します。ブラウニーさんはAmazonの販売代行システム「FBA」を利用しているので、そちらに登録する形になります。
「登録は手打ちでもできますが、バーコードリーダー、通称『ビーム』を使うと圧倒的に早いです。バーコードリーダーはブルートゥースタイプだと1万円ほど、有線のタイプだと2000円ほどで買えます」
登録が済んだら、あとはまとめて箱に詰めてFBAあてに送るだけです。以降は販売も、商品保管も、お客さまへの発送もFBAが代行してくれます。あとは売れるのをひたすら待つのみ。ただし、FBAを利用するには手数料がかかりますが、利用したほうがいいのでしょうか?
「自分で出品や発送をしてもいいですが、それなりに数を売るのであれば、FBAを利用したほうがずっと効率的です。作業を大きく短縮できる分、その時間を仕入れに回すことができるので、よりたくさんの商品を回せます」
目利き力をつけてグッと効率化
中古ゲームせどりの一連の流れをざっと紹介してきましたが、ブラウニーさんに成功するための秘訣を聞いてみました。
そもそも、最初に資金はどれだけ必要なのでしょうか。
「備品や道具に関しては、ほとんどお金をかけなくても始められます。仕入れ資金に関しては、どれくらい稼ぎたいかによります。もし月に30万円稼ぎたいとなれば、100万円くらいは資金が必要です。ただいきなりそこまで目指さないのであれば5万円でも、3万円でも、1万円でも始められます。その際は、せどりと並行して家の不用品を売りながら資金を増やしていくのがいいでしょう」
そしてブラウニーさんが、中古ゲームせどりの大きなポイントだと話すのが「目利き力」です。
「店舗仕入れの際は、最初は相場観がないので1つずつ商品を調べていくことになりますが、それを続けていくうちに自然と相場が頭に入ってきます。そのうちに棚の商品を見ただけで、これはAmazonでいくらで売れるというのがおおよそわかるようになり、利益が取れそうなものだけを手に取って調べればOKになります。そうすれば、短時間で多くの商品を仕入れられます」
また、仕入れの際にはこんな「裏ワザ」もあると言います。
「ブームの一歩先を行く方法です。以前の話ですが、『桃太郎電鉄』がテレビ番組の『アメトーーク!』で紹介されて、値段が高騰したことがありました。ところが1週間前に『来週はコレです』という告知を見てすぐ仕入れに回った人たちは、値上がり前に仕入れて大儲けできました。そんなふうに、予告や告知情報を見て、値上がり前にその関連商品を仕入れて値上がり後に売るというのは、ひとつの狙い目です」
さらには、売り先に関してもちょっとした技があります。
「Amazonで売るというのが基本にはなりますが、余裕があるときはヤフオク!やメルカリの相場もチェックし、場合によってはそちらで売るようにしています。それぞれ客層がかなり違うので、Amazonより高く売れるケースもけっこうあるんです。特にヤフオク!は最近売れ行きがよく、かつAmazonより手数料が安くて入金も早かったりするので、自分的には販売数が増えています」
夢を追う人にもぴったりな副業
最後に中古ゲームせどりのメリットとデメリットを挙げてもらいました。
ブラウニーさんにとっての最大のメリットは、なんといっても「本業との相性の良さ」だと言います。
「僕は音楽の仕事が本業ですが、本業の予定は不定期で、前日とかに急に決まることもあります。でもこの副業であれば、本業の予定を最優先することができます。しかも副業で収入が確保できているので、本業のほうで無理に嫌な仕事をする必要もありません。そう考えるとこの副業は好きなことを好きなように続けるためのツールとも言えます。実際に副業を手伝ってもらっている人のほとんどが、自分と同じような芸能関係です。他にもモデルやクリエイターなど、夢を追う人にはとても向いている副業だと思います」
では、逆にデメリットはどんなところでしょう?
「仕入れや出品や発送など、手間がそれなりにかかるところでしょうか。ただし、ある程度自分でできるようになったら、単純作業は人に教えて外注化することもできます。僕も最初は商品の梱包作業が苦手で大変でしたが、すぐに知り合いに1日5000円ほどで手伝ってもらいました。今では会社化し、ほとんどの作業をスタッフに任せています」
ほとんどがミュージシャンだという社員とアルバイト。会社スタッフ全員で年1回社員旅行に行っているそうです。
そして「中古ゲームせどり」の今後の展開については、こんな素敵なアイデアも持っていると言います。
「近所の方々にチラシをポスティングするなどして宣伝し、ゲーム関連品の出張買い取りを始めようと思っています。連絡をもらって近所の人の家まで商品を買い取りに行くのです。事前にLINEで商品の写真を送ってもらい、買い取り金額を査定するというのもいいかもしれませんね。まさに地域密着型の中古ゲームせどりです」
取材・文 / 田嶋章博