古着転売の副業で月収50万円!500円で買った古着が8000円で売れる秘密
長時間労働にして薄給だった会社員時代に、ひょんなことから「古着転売」の副業を開始。数カ月後には月50万円ほどの利益を得られるようになり、脱サラを果たした藤本さん。
リサイクルショップで古着を買い、メルカリで売るというこの古着転売。なんと500円で買ったものが8000円で売れることも普通にあるといいます。なぜそんなことが起こるのか。そのカラクリを聞きました。
29歳 男性 大阪府出身
古着転売歴5年
アパレル会社員時代に、いくつかの副業を始めるもうまくいかず、逆に情報商材詐欺などで約300万円の借金を抱える。その後始めた古着転売で成功。その収入が給料をはるかに超え、脱サラする。現在は古着転売のコンサルティングと古着の卸商で月に約500万円の収入がある。
上がらない給料と300万円の借金
今や古着転売ビジネスで大きく稼ぐ藤本さんですが、過去にはかなりしんどい時代もあったといいます。藤本さんが大卒後に入ったのが、とあるアパレル企業。服が好きだったので、最初は仕事に希望を持っていたそうです。
ところがいざ働いてみるとアパレル社員の給料は低く、好きな服も満足に買えず、華やかなイメージとはかけ離れていました。それでも真面目に働き、数年後にはスーパーバイザーという高い役職に就きますが、それでも給料はたった17万円。全国の支店を回る仕事のため、移動を含めると拘束時間は相当長かったとか。当時付き合っていた彼女にも、「将来性がない」とフラれてしまいます。
なんとか状況を打開しようと、ネットで稼ぐ方法を調べますが、これが結果的にさらなる苦境を招くことになります。なんとネットビジネスの情報商材詐欺にあってしまったのです。さらには副業として中国輸入ビジネスやアマゾン転売、そして一発逆転を狙いFXにも挑戦。しかしどれもうまくいかず、傷口はさらに広がります。気づけば、カードで借りた借金は300万円に‥‥。
「毎月の返済で給料のほとんどが消えてしまいました。しかもリボ払いなので、支払っているのは利息だけで、元金は減っていかない。会社の寮に住んでいたので生きられはしましたが、これは本当に人生詰んだかも‥‥と思いました」
藤本さんを追い詰めた情報商材詐欺とは、果たしてどんなものだったのでしょう?
「厳密には詐欺とは言い切れないグレーなものが多いんです。大まかにいうと、とても有用な情報であるとうたっておきながら、いざ数万円~数十万円も出して買ってみるとほとんど価値のない情報だったというカラクリです。買った後に問い合わせても、返事はろくに返ってきませんでした。
あとは『稼げる秘密を教えます』といったふれこみで、数十万円の入会金をとるセミナーもありました。入会した後も、ことあるごとに勉強代などと称して数十万円の追加徴収があり、最終的にはほぼセミナーの実体のない詐欺だとわかりました」
そういった悪質な業者は、お金を払う前にはわからないものなのでしょうか?
「精神的に余裕があればたいていわかると思いますが、追い込まれているとついワラにもすがる思いで飛びついてしまうんです。またそういった業者は『月収〇〇万円を稼いでいます』とうたったり、高級車や高級時計の写真をネット上にチラ見せしたりして、儲かっている雰囲気を演出するのがうまいんですよね。
それとお金を払ったことで『ここまでがんばって払ったんだから、今やめてはもったいない』とか『どうせ後でこの何倍も稼げるんだから』などとも考えてしまいました」
そうした経験をふまえ、藤本さんは悪質な業者を見分ける1つの基準を教えてくれました。
「あやしいのは、例えば『毎日10分の作業で10万円が稼げます』などと聞こえのいいことばかり言って、そのビジネスの大変な部分やデメリットを一切言わない発信者です。ネットビジネスを実際にやってみるとわかりますが、やっぱり楽してべらぼうに稼げるものなどありません。やったらやったぶんだけ稼げるというのが基本なんです。
中にはそのビジネスで実際に成功したという人を紹介する動画に、俳優を使っていかにもそれっぽく演出しているケースもあるんですよ」
古着転売の副業で月収50万
給料の上がらない本業と減らない借金を抱える中、藤本さんは一つの光明を見いだします。それこそが、後輩から「ただ同然で買った古着が、メルカリで高値で売れた」と聞いた古着転売でした。すぐに藤本さんもやってみたところ、確かな手応えを感じたため、本格的に古着転売の副業を開始。休日にリサイクルショップや大型古着店で古着を大量に仕入れ、それをメルカリで売るという生活が始まります。
仕入れに行くのは2週間に1度ほどで、1回に仕入れるのは50~70着ほど。出品作業を行うのは仕事が終わった平日の帰宅後で、深夜2時頃まで作業することもありました。
その甲斐あって、古着転売の利益は月収10万円、20万円、30万円と順調に伸びていき、会社の給料をあっという間に超えてしまいます。とはいえ本業と副業の両立は、大変ではなかったのでしょうか?
「やればやるだけお金が稼げるという感じだったので、つらいというよりは楽しかったですね。ただ深夜作業のせいで、会社はたまに遅刻していました(笑)」
その後もコンスタントに稼ぎ続け、借金はいつしか完済。副業時代の古着転売の最高月収は50万円で、その時はひと月に約170点を売り、80万円ほどを売り上げたといいます。
そして2018年4月。ついに会社を辞め独立します。以降は古着ビジネスのコンサルタント業を中心にビジネスを拡大。最近は古着を海外で大量に買い付け、古着転売をする人に売る卸商のビジネスも手掛けるようになり、今や月収は400万~500万円にのぼるとか。完全に事業といった規模です。
薄給で大きな借金まであった時代とは状況が一変した藤本さん。他にもネットビジネスはいろいろやったのに、なぜ古着転売だけが軌道に乗ったのでしょう。何より500円で仕入れたものが、なぜ8000円もの値で売れるのでしょう?そのカラクリに迫ります。
古着転売の仕入れ現場に密着
というわけで、どんな古着をどう買い付けるのか、その仕入れ現場に密着しました。
藤本さんが仕入れに行くのは、郊外によくある大型のリサイクルショップや大型古着店。例えばセカンドストリートやトレジャーファクトリー、キングファミリー、ブックオフといったお店です。この日向かったのも、とある郊外の大型古着店でした。
「小規模なお店ではなく、まとめてたくさん仕入れられる大規模店に行くことが多いです。また『500円コーナー』や『全品〇〇円』というように、価格別のコーナーがあるお店になるべく行くのもポイントです。安い商品をたくさん仕入れるには、そうしたコーナーのほうが効率がいいからです」
他にも大井競馬場や大阪の万博公園などで開催される大型フリーマーケットで仕入れることもあるそうです。
仕入れで主にチェックするのが、「リーバイス」や「モンクレー」などとブランド別にまとめられたコーナーではなく、ノーブランドや雑多なブランドの服がまとめられたコーナーです。
「ブランド別コーナーより単価が安く、かつ探せば高く売れるものもあるので、利益を出しやすいんです」
では、その中からどんなものを買うのでしょう?
「特に僕が扱っているのが、『90年代ファッション』のテイストのものです。実はターゲットはすべて女子。メンズの服を90年代風にダボッと着るようなおしゃれ女子たちに向けての古着を扱っています。特に人気なのは、ナイキやアディダスなどのスポーツもの。中でもロゴがワンポイントで大きく入っているようなものは、高値でどんどん売れていきます。
他にもスポーツものならリーボック、トミー、ラルフローレン、ラコステ、ノーティカなどが狙いめ。またアウトドア系も人気で、ブランドでいうとザ・ノース・フェイスやコロンビア、LLビーンなどです」
となると、ある程度の専門知識は必要になってくるのでは?
「洋服の知識はあるに越したことはありませんが、なくても問題ありません。ひとまず狙いめのブランドをいくつか覚えておき、買うべきか買わないべきかわからなければメルカリで『アディダス パーカー』などと検索し、似たものがいい値段で売れているかどうかを確認すればOKです。
とはいえ洋服は検索しても、全く同じ商品はまずありません。たとえ同じ商品があっても、サイズや状態をふまえれば全く同じものとは言えません。そしてサイズや状態が変われば、値段も変わってくる。
だから仕入れの基準は、あくまでざっくりと感覚的なものになります。やっているうちに感覚が身に付いていきます。ちなみに感覚をつかむのにうってつけなのが、Instagramの『古着女子』というアカウント。まさにここに載っているようなコーディネートが好きな女子に向けた商品を買い付けています」
また90年代ファッションの感覚をつかむには、藤本さんのブログの記事も参考になります。
ちなみに藤本さんが扱うのはトップス(上半身の服)のみ。パンツや靴、バッグなどは一切買いません。
「パンツや靴は試着しないと買いづらいのに対し、トップスはサイズ表記があれば試着なしで買えます。だからネットで売りやすいんです。仕入れの際に見るものを絞ることで、仕入れ効率もグッと上がります」
こうした店舗仕入れを、時には何店かはしごすることもあるとか。藤本さんは副業時代、レンタカーを借りて仕入れていたそうです。
「キャリーケースと大きなバッグを持参して買い付ける人もいます。買ったあとに近くのコンビニから家に発送するという手もありますね」
メルカリで高く売る秘訣
古着を店舗で仕入れたら、お次は販売です。藤本さんのやり方では、販売する場所はメルカリ一択。ネット販売といえばヤフオクなどもありますが、なぜメルカリなのでしょう?
「単純にメルカリの方が利用者が多いからというのと、ターゲットとする古着好きの若い女子が、ヤフオクよりメルカリを使うことが圧倒的に多いからです。また、販売の工夫の余地があまりないヤフオクと違い、メルカリは売り方の工夫でかなり値段が変わってくるのも理由の1つです」
では、売り方の工夫とはどんなものなのか。ポイントをいくつか教えてもらいました。
「まずは商品の写真を撮る際に、背景に壁紙を使うことです。100均のセリアなどで売っている白いウッド調の壁紙シートなどを使えば、写真の雰囲気がグッと洗練されます。使用後はシートはきれいにはがせます」
「また、服を掛けるハンガーも重要です。ぜひ使ってもらいたいのが、このようなダブルワイヤーハンガーです」
「なぜこれがいいかというと、少し力を入れると簡単に曲げられ、なで肩仕様にできるから。そうすることで見る人が、肩を落としてダボッと着る流行のスタイルをイメージしやすくなります。普通のハンガーとなで肩仕様のハンガーでは、売れ行きがだいぶ変わってきます」
ダブルワイヤーハンガーはネットで200円台で買えます。
「それと撮影の際は、カメラアプリ『LINE Camera』を使い、明るさを調整します。全体のトーンを明るくするだけで、見栄えがよくなります。またメインカットには、『Phonto』というアプリでブランド名のロゴを入れます。ロゴは『ラルフローレン ロゴ』などと検索すると出てきますよ」
「これらの工夫により、『おしゃれなアカウントが販売している商品』といったブランディングをすることができます。おしゃれな古着屋さんがインテリアやディスプレイを工夫して雰囲気を作るのと全く同じですね」
商品名や説明文に関しては、ブランド名を例えば「NIKE」と英字で入れるだけでなく、「ナイキ」とカタカナで入れることも大切だといいます。カタカナで検索する人が多いので、そうすることで検索のヒット率が高まるからです。商品名と説明文のどちらも検索対象になるので、カタカナのブランド名をどちらかに入れるようにしましょう。
また説明文にはメリットを明記するのもポイントだとか。
「例えば『なるべく即日発送を目指します』とか『ペットは飼っていません』『喫煙者ではありません』などなどです」
サイズはS、M、Lだけでなく、着丈、身幅、肩幅、袖丈の実寸値を入れるようにします。服の説明に関しては、あまり詳しく書く必要はないそうです。
「値付けは最初は難しいと思うので、送料や手数料をのぞいた利益が3000円くらいになるように設定するのがいいでしょう。
慣れてくれば1000円前後で買って8000円や1万円で売れるものもわかるようになってきます」
これまでに売った商品をいくつか教えてもらいました。
あらためて、なぜそんなに高い値段で売れるのでしょう??
「古着は家電製品など他の物と比べると相場が固まっておらず、値段のブレ幅が大きいんです。加えて、少々高くてもいいからお気に入りの古着をネットで手軽に買いたい、という需要が確実にあります。特に古着好きの女子や90年代ファッションのジャンルでは、その需要が今とても高いです。そうした要因が作用して、買値の何倍もの値段で売れるんだと思います」
では、なぜそうした古着を売る実店舗は、もっと高い値で売らないのでしょう?
「我々とはビジネスモデルが違うからです。大型のリサイクルショップは、不用品の買い取りなどで格安で買い付けたものを、大まかに値付けしてどんどんさばいていくビジネスモデルです。だから一つひとつを細かく値付けしたりは基本的にしない。そこに値段のギャップが生まれるんです」
古着転売のメリット・デメリット
あらためて、古着転売のメリットや魅力を聞きました。
「1番の魅力は始めるハードルの低さでしょう。洋服の専門的な知識はなくてもOKだし、資金も1万~2万円あれば始められる。専用のツールなども必要なく、スマホ1台でできる。それでいて利幅が大きいので、月10万円くらいであれば、けっこうスムーズに稼げてしまう。実際、いま僕が教えているコンサル生約110人のほぼ全員が、月収10万円までは到達しています。
あと僕にとっては、仕入れのしやすさも大きかったですね。他の店舗せどりだと、商品をバーコードリーダーでスキャンするので、僕はひと目がかなり気になってしまいました。同じ商品を大量買いするのも、いかにも転売しますという感じがして嫌でしたね。でも古着転売であればスキャンもしないし、服を何着も買う人は他にも普通にいるので、あくまで一般客と同じような見え方で仕入れができるんです」
反対にデメリットは何でしょう?
「投資のようにレバレッジを効かせることができないので、やった分しか利益が出ないことです。
あとはたくさん稼ぐにはそれなりの在庫規模が必要になることです。大まかな目安としては、月収10万円を稼ぐのに必要な在庫数は、100~150着くらい。これならクローゼットになんとか収まりますが、月収50万円を上げるとなると、400~500着の在庫が必要になります。だからそこ以上を目指すには、レンタルボックスや事務所を借りる必要が出てきます」
最後に藤本さんの今後の展望を聞きました。
「いま古着の卸商の方に大きな可能性を感じているので、まずはこれを伸ばしたいです。同時に自分と同じようにピンチに陥ってしまった人や現状を変えたい人に、古着転売というユニークなやり方があることをもっともっと広く伝えていきたいです。
その先は何をやるかはまだわかりませんが、とにかく人がまだやっていない、おもしろいことをどんどんやっていきたいですね」
取材・文 / 田嶋章博