多肉植物を繁殖する副業は今がチャンス!超簡単に育つのに1鉢1万円以上の値も
インテリアとして親しまれている観葉植物。中でも最近、若い女性を中心に「多肉植物」が爆発的な人気を集めています。じつは多肉植物は、素人でも簡単に育てることができ、手軽に殖やすこともできます。人気なだけに、それをネットで売れば稼げるのです。
今回取材したのは、メダカの繁殖でもインタビューした池谷雄二さん、38歳。池谷さんはメダカだけでなく、多肉植物の繁殖も手がけています。年商1500万円を手にする繁殖ビジネスのプロに、多肉植物の育て方&殖やし方や稼ぐコツを聞きました。
38歳 男性 静岡県
多肉植物の繁殖歴2年
自動車会社の下請け工場勤務のかたわら、副業でメダカの繁殖ビジネスを開始。本業の給料分を稼げるようになってから独立し、現在はメダカ、多肉植物、ミジンコ、ウナギ、カメなどを販売するプロ。
簡単に育って簡単に殖える
池谷さんは自動車会社の下請け工場勤務していた2011年に、副業でメダカの繁殖販売を始めました。これが成功して2年後に独立。独立後も順調に売上げを伸ばしていきました。そんなある日、ひょんなことから多肉植物と出会います。
「メダカを購入いただているお客さまで、知る人ぞ知る著名な盆栽家のお宅を訪問したときのことです。その方は老婆柿という盆栽を専門に育てられ、財を築いていました。ふと多肉植物の話題になり、簡単に殖やせることを教えてくれて。自身で育てて殖やしたものを譲ってくださるという展開に。で、メダカの繁殖販売がうまくいっていったので、多肉植物も繁殖してネットで売ったら稼げるかもしれないとピンときたんですよ」
20~30鉢の多肉植物を約3万円の破格値で譲り受け、いざスタートしたのが2016年の秋。もともと池谷さんは生き物を育てるのが好きでしたが、多肉植物を育てた経験はなし。関連の書籍を読んだり、インターネットで情報収集して学んだといいます。
「実際に多肉植物を育ててみると、聞いていた以上に簡単でした。一般的な植物に比べて丈夫なので、野菜や花を育てるより手間がかかりません。水あげも2週間に一度くらいでいい。だから素人でもまったく問題なく育てられます」
気になるのは殖やし方。こちらは難しいのでは?
「いえいえ、殖やし方も簡単ですよ。私がやっているのは"葉挿し"という方法。多肉植物の葉をちぎって土の上に置くだけで芽が出て、それが新しい株になります。基本、親の葉の数だけ殖やせるので、原価率は低いわけです」
いま大ブームだからチャンス!
手間もコストも最小限ですみそう。加えて、ネットで売るのもいまはベストなタイミングといいます。
「私が多肉植物の販売を始めたときより、いまのほうが大ブームですからね。とくに若い女性に人気で、多肉質な葉のぷにょぷにょした感触や、他の植物と異なる独特な姿に魅かれるようです。オシャレなインテリアとして部屋に置きたい男女幅広い層の需要も少なくない。人気品種だと1鉢1万円以上の値がつきます」
メダカの繁殖も手軽でしたが、「正直、メダカより多肉植物のほうが断然ラク」と明かす池谷さん。「サラリーマンでも仕事との両立は十分可能です。むしろ副業にはもってこい。多肉植物が成長していくのを眺めていると癒されますしね」
現在の実入りは月4万~5万円、年間50万円程度。思いのほか少ないのは、メダカの繁殖販売を主としているため。「力を注げば、多肉植物の繁殖販売でももっと稼げるのは間違いない」とのこと。実際、2019年は事業拡大を計画しているそうです。
では、多肉植物の繁殖と販売の手順を詳しく見ていきましょう。
多肉繁殖の完全マニュアル
まずは必要な道具を揃えることから。といっても、特別なものは一切必要ありません。
「多肉植物を育てるのには、主に『土、器、肥料』があればOK。すべてホームセンターなどで購入できます」
土は水はけのいいものを選ぶこと。これは多肉植物が根腐れしやすいためです。ただ初心者の場合、多肉植物用の土を使うのが手っ取り早いでしょう。
器はとくに決まりはなし。最初は、ちぎった葉を並べて置くための平らなバットと、芽が出た葉を植える小さな鉢が何個かあれば事足ります。
肥料は通常、あまり使わないものですが、池谷流は正反対。「肥料をやると成長が早かったので、私は取り入れています」。池谷さんは「マグァンプ」などの土に混ぜて使う肥料や、水やりの際に水に混ぜて使う液体肥料を使用。
道具が揃ったら、多肉植物を購入します。"親株"を元に"子株"を殖やしていくのです。
「基本的に子株は親株と同じくらいの値段で売れます。値段がある程度高い人気種を選ぶのがポイントですね」
株選びではもうひとつのポイントが。葉に斑(ふ)の模様が入ったものに注目するといいそうです。
「葉の一部に黄色や赤、白などの模様の入った"斑入り"は希少で、見た目も美しい。そのため同じ品種でも、高値で取引されます」
購入先のおススメはヤフオク!。ホームセンターなどの店舗でも入手できるものの、ヤフオク!に比べて数が限られ、値段も高めといいます。
「ヤフオク!のサボテンカテゴリーを見てください。多肉植物は同カテゴリーで売られているので、その中から"高値の入札がされているもの"や"入札数の多いもの"に狙いを定めればいいでしょう。売れたものだけを見られる"落札相場を調べる"のページも要チェックです」
裏ワザとして、海外から仕入れる手もあり。
「アジアの国からの輸入です。日本で仕入れるより値段は格安。私はフェイスブックを通じて業者と知り合い、ルートを築きました。言葉の壁はありますが、翻訳ソフトを使えば難なくやり取りできますよ」
親株購入後は、いよいよ育てて殖やしています。まず、前述した"葉挿し"を実行。親株の葉をちぎり、土の上に置くだけの簡単な繁殖法です。
葉は表面を上にして、土を入れた平たいバットに並べていきます。葉の付け根から芽が出るので、ちぎるときは付け値を損なわれないよう注意。「多肉植物の繁殖法はいくつかありますが、葉をちぎって置くだけの葉挿しがもっとも手軽です」
各葉っぱの表面に品種名を書いておいたほうがいいとか。「さまざまな品種の葉を並べておくと、どれがどの品種なのかわからなくなってしまうので」
2週間ほどたつと、葉の付け根から新芽が出てきます。新芽に栄養を与え続ける古葉は、その役目を終えたら枯葉に。
新芽が数センチ伸びたら、個別の鉢に植えます。
そして、「新芽が出てから約半年で、売れる大きさに育ちます」
失敗せずに殖やすコツ
育てるのも殖やすのも簡単、手間なしの多肉植物。とはいえ、うまく繁殖させるには頭に入れておくべきコツがあるといいます。そのコツとは?
「"日当たり"と"水あげ"のさじ加減です」
詳しく教えてもらいましょう。
葉をちぎって土の上に並べる最初の段階を思い出してください。このとき、平たいパットは日陰に置くのが好ましいそうです。
「日当たりのいい場所だと、新芽を出す体力が奪われてしまうからです。一方、水あげにも注意が必要で、芽が出るまで水は与えません。じっと待つのみです」
新芽が出たら日の当たる場所に移し、水あげ開始となります。ただ毎日ではなく、前述したように2週間に1度くらいでOK。水をあげすぎると失敗を招くことに。
「多肉植物は葉の内側に水を貯め込むので、水をあげすぎると根腐れしてしまいます。日当たりについてもあまり強い日差しは好ましくありません。直射日光がそれほど当たらない場所を選んだり、日よけで遮るなどの対処を」
多肉植物は、春(3~5月)と秋(9~11月)に大きく成長し、夏(6~8月)は暑さであまり成長しません。冬(12~2月)は弱いイメージですが、そんなことはなく、簡単に冬越しできるとのこと。ただし、土を凍らせないよう注意しなければなりません。
この一年の流れを頭に入れておきましょう。
植物の販売経路と発送方法
では、ネットでの販売法に移ります。
「ヤフオクで売るのが手っ取り早いですし、売れやすいですね。私の場合、地元にある農産物の直売所にも置かせてもらっています」
販売するのは大きく育った多肉植物ですが、じつは新芽の出た葉っぱが売れる品種も。その状態で売れたら手間はよりかからず、楽チンです。
「あくまで私の実績ですが、エケベリア・プリンスやエケベリア・ブラックスターなどがそう。葉っぱ1枚1000円、2000円で売れたのでビックリしました。これはおいしいと(笑)」
多肉植物が売れたら、お客さんに発送します。そのやり方は、池谷さんが実践するお得な方法に習いましょう。
「私は郵便局の第四種郵便を利用して送っています。これなら送料は200~250円程度と安くすみます」
第四種郵便にはいくつか注意点が。まず送るときは、"抜き苗"状態(下写真)にし、土を払い落とします。そして、残った土が落ちないよう、根の部分を紙でくるみます。
透明パックなどに入れ、中身が見えるようにすることも忘れずに。表面に「第四種郵便・苗」と記し、郵便局に持ち込みます。300グラム以内なら240円、100グラム以内なら130円で送れます。
高値期待大の多肉植物5種
最後に高値取引が期待できる多肉植物の「おすすめ品種」を5つ挙げてもらいました。
エケベリア・ルノーディーン
バラの花のように重なり合う葉が魅力のエケベリア。たくさんの種類がある中、ルノーディーンは最高級クラスに属します。葉の中央のグリーンと縁の大きな白とのコントラストが特徴的です。価格は1鉢1万円以上で売れることもあります。
エケベリア・ラウィ
エケベリア種のひとつ。ハスの花のような形をしていて、花もキレイに咲きます。価格は1鉢1万円前後で売れることもあります。
エケベリア・ブラックスター
エケベリア種のひとつで、キラキラひかるザラメのような葉を持っています。価格は1鉢1万円前後で売れることもあります。
グリーンネックレス
ビーズのような葉っぱが連なっている姿がユニークで可愛らしい。まさにグリーンネックレスといえます。価格は1鉢1000円前後と高くないものの、どんどん売れるので効率よく稼げるでしょう。
ドルフィンネックレス
その名のとおり、イルカのような葉を持ち、つる性でネックスレスのような形状をしています。市場ではあまり出回っていない、希少価値の高い品種です。価格は1鉢円700円前後ですが、グリーンネックレスと同様にどんどん売れます。
池谷さんは多肉植物を大きなハウスで育てていますが、広い場所はとくに必要ありません。自宅のベランダなどでも十分育てられます。
「生き物を育てて殖やしていくことは何よりも楽しくて、売れてお金になるとさらに嬉しい。多肉植物の繁殖でその楽しさと嬉しさを味わってほしいです」
取材・文 / 百瀬康司