メダカの繁殖で年商1000万円超!育てるノウハウと副業で稼ぐコツを大公開

中野貴利人
著書「副業アイデア事典」など5冊/メディア掲載実績は日経新聞など150回以上/株式会社ネットピコ代表
2024/08/18 更新本ページはプロモーションを含みます

メダカの繁殖で年商1000万円超!育てるノウハウと副業で稼ぐコツを大公開

「メダカの雄雌ペアが1万円以上で売れる!」というのをご存じでしょうか。田んぼや小川にいる野生のメダカではありません。最近、観賞用メダカの品種改良が盛んに行われるようになり、新たに誕生した珍しい品種が驚きの高値で取引されているのです。そんな「お宝メダカ」を飼育して殖やし、ネットで売る「メダカの繁殖」が、ビジネスとして注目を集めています。

今回取材したのは、メダカの繁殖を副業で始め、5年前に独立を果たした池谷雄二さん、38歳(2018年8月時点)。静岡県の浜名湖のほとりに住み、いまや年商1000万円以上というメダカ飼育のプロに、繁殖のノウハウから稼ぐコツまで詳しく教えてもらいました。

好きな生き物を育てる仕事はまさに天職
プロ
副業
独立
2018/08/21
池谷雄二さん
38歳 男性 静岡県
メダカの繁殖歴7年

副業でメダカの繁殖を開始して、本業の給料と同程度になったときに独立。現在は月収100万円以上。多肉植物やミジンコなどの販売も手がける繁殖ビジネスのプロ。

池谷雄二さんのショップ「メダカ屋・猫飯(ねこまんま)」

  1. メダカの観賞ブームで副業開始
  2. 繁殖は簡単!手間もコストも最小限
  3. メダカ繁殖の完全マニュアル
  4. 日当たりと水換えが成功のカギ
  5. ネットでの売り方は二刀流で!
  6. 生き物の発送方法もこれでばっちり
  7. 高値間違いなしのトレンドメダカ

メダカの観賞ブームで副業開始

ここ数年、メダカ観賞がブームになっています。癒しを求める老若男女が買い求め、観賞用の希少種は雄雌ペアで数千円から数万円で売れるのも珍しくありません。

池谷さんはそのブームの兆しをいち早く感じ、2011年に副業としてメダカの繁殖販売を始めました。中学校を卒業後、自動車会社の下請け工場に勤務し、10年以上が経過した時のことです。

メダカの繁殖で稼ぐ池谷さん

「もともと生き物が好きで、子どもの頃にメダカの飼育も経験していたため、すんなり入り込めました。繁殖したメダカは順調に売れ、中には雄雌ペアで5万円の値が付いたものも。副業が軌道に乗り、本業の給料と同程度になった2年後、思い切って独立しました」

独立後も売り上げは右肩上がりで増えていき、現在、年商1500万円に。池谷さんの家は奥さんと子ども5人の大所帯ですが、十分食べていける実入りといいます。

「工場勤務時代は朝8時に出勤し、夜10時過ぎまで働く激務の日々でした。でもいまは実働5時間くらい。しかも好きなことをやっているので毎日楽しい。工場の現場にはもう絶対に戻りたくないです(笑)」

繁殖は簡単!手間もコストも最小限

興味を魅かれるメダカの繁殖販売。でも、メダカを殖やすなんて素人には難しいそうですが‥‥。実際どうなのでしょうか?

「正直、メダカの繁殖は簡単です。高度な知識や技術は一切不要。最低限のやり方さえ覚えれば、誰でも育てられますよ。もし何か困ったとしても、いまはネットに詳しい情報が出ているので、それを参考にすればいいでしょう」

コストや手間も気になるところ。メダカが高値で売れたとしても、コストや手間が多くかかったら、割は悪くなります。その点は?

「メダカの場合、熱帯魚のように専門的な設備は必要としません。初期投資にかかるのは水槽と、繁殖の『種』となる親メダカの購入代くらい。普段かかるのもエサ代と水道代くらいです。一方、手間は毎日のエサやりと、定期的な水換え程度。あとはヤフーオークションなどネットに出品し、お客さんへ発送するだけ。これで私の場合は前述したように実働5時間ですみ、月収100万円に到達しました」

簡単に取り組めて、コストも手間も最小限。それでいて稼げるのには、メダカが高値取引されるのに加え、その繁殖力のすごさも関係しているようです。

「メダカはほぼ毎日20~30個の卵を産み、平均2カ月~2カ月半で成魚として販売できます。順調なら親の2匹が600~900匹に殖えることも。一方でネットの売値は親と子でほぼ変わりません」

とすると、仮に繁殖したメダガがすべて売れたとしたら――。そう、親2匹の購入額の数百倍もの売り上げになるのです。

メダカ繁殖の完全マニュアル

チェック1

発泡スチロールの飼育容器を2つ用意する

メダカの繁殖販売、その魅力は十分理解できたと思います。では、具体的な手順を見ていきましょう。まずは必要な道具から。主に、「水槽」「エサ」「産卵床」の3つがあればいいそうです。

水槽は60~100リットルくらいの容器を使います。ホームセンターで入手でき、値段は1000円くらい。容器と同程度の大きさの発泡スチロールでもOK。成魚用と稚魚用、最低2つを用意します。

発泡スチロールの飼育容器

チェック2

成魚用のエサを500円くらいで買う

エサは成魚、稚魚それぞれ専用のものがありますが、コストを抑えたいなら、成魚用のエサを買って稚魚にはそれを指ですりつぶして与えればいいそうです。エサはネットで入手でき、おススメは100グラム、500円程度のもの。

成魚用のエサ

「100円ショップにもメダカのエサを置いていますが、こちらはおススメできません。栄養化が低いのと、食いつきが悪くて水槽の水を汚すことにつながります」

チェック3

産卵床を使うと管理しやすい

産卵床はメダカが卵を産み付けるのに必要不可欠。本来は水草に産卵しますが、産卵床を使うと管理がしやすくて便利です。ネットで入手でき、10個1000円程度で買えます。100円ショップで売っている毛羽立ったナイロンタワシを産卵床代わりに利用してもOK。

産卵床を使う

チェック4

ヤフオク!でメダカを購入する

道具が揃ったら、次に親メダカをネットで購入します。窓口はヤフオク!。ここでは出費を惜しまず、ある程度高額な人気品種を買うのがポイントといいます。

「前述したように、親と子は同程度の値段で売れるからです。高額な人気品種ほど効率よく稼げます。最初は雄雌ペアで1万円前後のものを買うのがいいでしょう」

人気の高い品種はヤフオク!をチェックすれば一目瞭然でわかります。ヤフオク!のめだかカテゴリーを見て、そこで高値取引されているものや、入札数の多いものが、人気品種に該当するそうです。

ヤフオク!でメダカを購入する

チェック5

産卵後は別の容器に産卵床ごと移す

親メダカが届いたら、いよいよ飼育です。卵を孵化させ、成魚まで育てていきます。といっても、特別な世話はいりません。「最初は共食いを防ぐために水槽を分け、あとは普通に水換えとエサやりさえしていれば、自然とメダカは殖えていきますよ」と池谷さん。産卵から順を追って飼育シーンを見ていきましょう。

別の容器に産卵床ごと移す

親ペア到着後から早くて即日、通常でも1週間ほどで産卵を始めます。容器に産卵床を入れて準備し、卵を産み付けたらそのままにしないこと。放置すると親メダカに食べられてしまうため、産卵後は産卵床ごと別の容器に移します。

チェック6

孵化したメダカの稚魚にエサを与える

10日から2週間くらいで稚魚が誕生。孵化したらエサを与えます。容器の大きさにもよりますが、12ミリくらいまでは水換えなしでOK。

孵化したメダカの稚魚にエサを与える

「産卵期はほぼ毎日卵を産むので、その度に産卵床を別容器に移します。できたら稚魚の大・小によっても容器を分けたほうがいいでしょう。大小を混ぜると、小さいほうがいじめられて成育が悪くなるからです」

チェック7

成長したら親と一緒に飼える

親の体長は30ミリくらい。子の体長が約15ミリ以上になったら共食いされる危険性が低くなるので、親と一緒に飼うことができます。

15ミリ以上で親と一緒に飼える

「このとき、過密状態にしてメダカにストレスを与えないように注意しましょう。容器内の個体数を調整すれば、メダカは早く順調に育ちます。3リットルあたりで1匹以上にしないというのがひとつの目安です」

日当たりと水換えが成功のカギ

簡単とはいえ、メダカの繁殖を成功させる1番のコツは何なのか。池谷さんは「日当たり」と「水換え」の2つをカギとして挙げます。まず日当たりについて。

「日当たりは断然良いほうがいいです。室内、室外どちらで育てる場合も、太陽光の当たる場所に容器を設置してください。日当たりの悪い場所だとメダカはホルモンバランスを崩し、病気がちになります。また、成魚になるまでに通常より時間がかかってしまうのもマイナスですね」

もうひとつの水換えは定期的に行い、常にキレイな状態を保つことが大事といいます。

「夏は1週間に1度、春と秋は2週間に1度のペースで水換えを行います。冬だけはほとんどやらなくていい。冬以外に水替えを怠ると、病気を招く要因になります。ちなみに水については、水道水をそのまま使用するのは避けるべきです。水道水にはメダカの体に悪影響を及ぼすカルキが入っているので、市販の塩素中和剤でカルキを抜いてから使うようにしましょう」

メダカはだいたい3月から9月までを産卵時期とし、活発に産卵し続けます。しかし、冬場は一転して産卵をやめてしまうので、やることがほとんどないとか。でも、冬場に産卵させる奥の手があるそうです。その方法とは?

「ヒーターとライトを導入すれば、寒い時期でも産卵するようになります。親メダカの寿命は短くなるものの、冬場は市場全体の供給量が減るため、希少性が上がり高値になりやすい。冬場にメダカを育てて売ればチャンス大といえます」

冬場に産卵させるためのライト

ネットでの売り方は二刀流で!

では、メダカの販売に移りましょう。メダカが育ったら、ネットで売るのがやはり手軽です。

池谷さんはヤフオク!に出品するほか、自身でショッピングサイト「メダカ家・猫飯(ねこまんま)」を立ち上げて販売しています。

メダカ家・猫飯(ねこまんま)

「初心者はヤフオク!から始めるのがいいでしょう。ただ、ヤフオク!には安く買いたい人が集まるため、必然的に売値も安くなります。私の場合は、自身のサイトの宣伝目的でヤフオク!に安値出品し、サイトでは自分の希望する値段で売るという戦略をとっています。できれば、そういった併用したやり方で臨むべきですね」

ネットで売る以外に、店舗販売も実行。自宅敷地を利用してイベントを主催して自ら店舗を開くと同時に出店を募ったり、地域のイベントにも出店しているそうです。

地域のイベントにも出店する

「私が主催するメダカフェスタには常連さんが集い、希少品種の販売を行っています。かれこれ開催10回目を数え、全国のメダカ愛好家が集まるようになりました。同フェスタでの私の店舗の最高売り上げは1日60万円。イベント販売はお客さんの輪を広げる場にもなっています」

ここまで、メダカの成魚を販売する話をしてきましたが、実は売り物になるのは成魚に限りません。産卵したばかり卵や、生後1カ月に満たない稚魚でも需要があって売れるのです。

「卵は希少品種なら30個1500~3000円くらいで売れたり、稚魚は希少品種なら5匹1万5000円くらいで売れることもあります。卵だと育てる手間なしですみ、稚魚も成魚より育てる手間が省けるので楽ですよ」

一般的な成魚販売は鉄板。もっともニーズがあるので1番価格が高くなりやすく、多くは雄雌ペアで売られます。ヤフオクで20万円近い値が付いたケースもあるそうです。

生き物の発送方法もこれでばっちり

ネットで注文を受けたら、お客さんに発送します。でも、品は生き物。しかも水生生物なのでハードルは高そう。本当に送れるのでしょうか?

「はい。問題なく送れますよ。観賞魚専門のポリ袋を用意し、そこにメダカと水を入れ、圧縮酸素を吹き込んで閉じます。こうすると輸送の間に酸欠ならずにすむんです」

発送の手順をもう少し細かく見ていきましょう。

まずは観賞魚専門のポリ袋に水とメダカを入れます。水量は袋の半分程度にし、空気が入るようにすること。袋は念のため二重にします。

観賞魚専門のポリ袋

袋の口を締める前に、圧縮酸素を吹き込みます。膨らんだ状態のまま、さっと輪ゴムで閉めるようにしましょう。輪ゴムも二重にします。圧縮酸素は最寄りのガス屋さんでレンタルするそうです。

圧縮酸素を吹き込む

メダカが入った袋を発泡スチロールに入れ、フタをしてガムテープで閉めます。夏場は水温が上がりすぎないように保冷剤を入れて対処。あとは配送所に持ち込むだけです。

発泡スチロールには保冷剤も入れる

高値間違いなしのトレンドメダカ

メダカの繁殖販売で大きく稼ぎたい人は多いと思います。最後にそのコツを聞きました。

「重要なのはメダカの流行を抑えること。トレンドの最新品種ほど、高く売れますからね。流行は毎年移り変わり、その年のトレンドは春に決まります。『メダカ百華』や『アクアライフ』などの専門誌を見たり、ヤフオク!や繁殖家のサイトをチェックして、毎年のトレンド品種を扱うのが賢いやり方といえるでしょう」

2018年5月時点のトレンドメダカはどんな品種なのか。以下、池谷さんが教える該当の3品種です。

1

朱赤三色錦透明鱗

朱赤三色錦透明鱗

毎年トレンドが変わる中、ここ数年定番の人気を誇る品種。赤、白、黒の三色のメダカで、錦鯉を目指して改良されています。誰が見てもきれいで目を引くため、非常に人気が高い。価格は雄雌ペアで5000円~1万円。

2

松井ヒレ長緑光幹之メダカ

松井ヒレ長緑光幹之メダカ

池谷さんが掛け合わせたオリジナルの品種。緑色の体色に緑色の光が入り、ヒレも長く改良したものです。緑色のメダカは2018年のトレンドで、それに改良を加えているため、今後人気が出る可能性大。価格は雄雌ペアで10万円。

3

オロチラメ(ブラックダイヤ)

オロチラメ(ブラックダイヤ)

2018年春に発売された新しい品種。真っ黒い体色にラメが入っています。睡蓮鉢だけでなく、水槽飼育でも見栄えがいいです。価格は雄雌ペアで5000円~1万円。

大きく稼ぐ方法をもうひとつ指南。「ブリーディング」によって新しい品種を作るというワザもあると言います。

「異なる品種を掛け合わせ、オリジナルの品種を作るのです。このブリーディングでも流行を抑えることが重要になります。トレンドの新品種を作れば、数万から数十万円の値が付くケースもありますよ」

副業で取り組むのもよし、規模を拡大して本業にするのもよしというメダカの繁殖販売。現在、池谷さんはメダカにとどまらず、多肉植物、ミジンコ、デグーなど、幅広い生物の繁殖販売を手掛けています。

「メダカの成功をきっかけに、繁殖で稼ぐ道が広がっていきました。好きな生き物に関わり、育てるのを楽しめる今の仕事はまさに天職。やりがいを感じる充実した毎日を送っています!」

取材・文 / 百瀬康司

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