料理代行と家事代行で叶えた自由な働き方!副業月収は10万円
クッキングスタジオで料理講師として働く佐藤さんは、「料理」というスキルを使って、家事代行の副業をしています。スキルや指名数で時給が上がっていくシステムを利用し、家事代行の副業収入は平均10万円。
「稼げるのはもちろんですが、自分の料理スキルもどんどん上がっていくので、料理講師も家事代行もどちらもすごくやりがいがあります」と語る佐藤さん。
どのようにして今のワークスタイルに落ちついたのか、詳しいお話をお聞きしました。
20代 女性 東京都
家事代行歴3年
2017年に青森県から上京。イラストレーターを目指してスクールに通うのと同時に、家事代行のアルバイトをスタート。その後、同業者からの誘いを受けて、クッキングスタジオの講師の仕事も開始。2つの仕事をバランスよくこなし、自由な働き方を実現する。
- 料理代行や家事代行を始めた経緯
- 副業がきっかけで料理講師の道へ
- 掃除と料理を代行する仕事の流れ
- 初期費用と必須アイテム
- 大失敗で学んだ代行キャストで成功する秘訣
- 料理代行と家事代行のメリット・デメリット
料理代行や家事代行を始めた経緯
佐藤さんが、家事代行の仕事を知ったのは、スクールと両立できるアルバイトを探しているときでした。
「イラストレーターを目指して、23歳のときに青森県から上京してきました。夜間のイラストスクールに通っていたので、昼間にできるアルバイトを探していたところ、たまたま目に入ってきたのが家事代行のキャスト募集だったんです」
スクールの課題で多忙な毎日を送る佐藤さんにとって、自分の好きな時間に希望エリアで仕事ができる家事代行は、とても魅力的でした。
「実家にいた頃から家事はよくやっていて、掃除も料理も、習ったことはありませんでしたが、好きだったんです。これなら私にもできるかもと思い、始めました」
佐藤さんが登録した家事代行会社「CaSy(カジー)」では、スタート時の時給は1450円。週1回、2時間から働くことができます。
「初めて訪問したのは、若い一人暮らしの女性のお家でした。2時間かけて一生懸命掃除をしたら、『次回もお願いします』と次の指名をいただくことができました。すごく嬉しかったですね」
その後も行く先々で仕事を評価された佐藤さんは、なんと初月で8件のお宅から指名をゲット。指名されると、時給に+200円上乗せされます。
最終的に1カ月で27件のお宅に訪問し、労働時間は合計57時間。研修費も合わせて、1カ月で12万円の収入になりました。
「交通費は会社から一律700円支給されますが、遠方である場合、出た分は自己負担です。その変わり、近場なら差額分はプラスにすることができます」
副業がきっかけで料理講師の道へ
スクールと両立しながら家事代行を1年ほど続けていた佐藤さんは、あるとき、キャスト仲間から『クッキングスタジオの講師をやってみないか』と誘われます。得意の料理をさらに活かせると思った佐藤さんはこのオファーを快諾し、クッキングスタジオの講師として働き始めることに。
しかし、家事代行も辞めずに、副業として続けることにしました。
「家事代行は現場で手を動かせるので、料理を教える際のシミュレーションになるんです。同時に、料理教室で教えたレシピを家事代行に活かすこともできるので、良い相乗効果がありました。両方続けることで、よりスキルアップができる感じです」
気づけば、イラストを描くよりも、料理の本ばかりを読むようになっていた佐藤さん。通っていたスクールを卒業した後、本格的に料理の道に進むことを決意します。
「私がイラストを描いても誰も喜びませんが、家事代行で料理を作ると、目の前の依頼者さんがすごく喜んでくれるんです。その顔を見ているうちに、人が喜んでくれる仕事のほうが、やりがいがあると思うようになりました」
ここで、佐藤さんの1週間のスケジュールの一例を教えてもらいました。家事代行の内容は、掃除と料理に分かれており、掃除は1回2時間から、料理は1日3時間から。佐藤さんの場合、「掃除なら1日最大3件、料理な1日最大2件の稼働が可能」とのこと。
「月曜日はお休み。木、土、日はクッキングスタジオでフルタイムで働き、火、水で家事代行を入れています。金曜日は固定せず、どちらの仕事が入ってもいいようにしています」
このように料理講師の仕事をメインにしていた佐藤さんでしたが、今年の4月、新型コロナウイルスの感染拡大によって、クッキングスタジオが突如、全面休業するという事態に。そこで、自粛期間中にメインの収入源となったのが、家事代行でした。
「感染拡大を防ぐために、新規のご依頼は中断し、定期契約のお宅のみ、行かせてもらいました。お家時間が増えたおかげで、家事負担が増えたというご家庭がとても多く、『家事代行がないと、本当に回らない』という方もいらっしゃいました。お客さまの助けになるなら何よりですが、私自身、こうして副業をしていたからこそ、クッキングスタジオが休業しても収入を得ることができました」
掃除と料理を代行する仕事の流れ
家事代行の働き方や収支がわかったところで、今度は実際のサービスの流れを佐藤さんにシミュレーションしていただきました。
佐藤さんが登録している家事代行会社のCaSy(カジー)では、ウェブ上で応募後、面談と研修が行われます。
研修は掃除と料理で分かれており、テスト合格者のみが正式に家事代行を行えるキャストとして認められます。
ちなみに料理のテストは、講師が見ている前で、指定された料理を正しい手順で時間内に作ることができたら合格。これがなかなか難しく、合格率は5割程度だとか。
研修に合格した後は、最短で約2日後から、仕事開始。CaSy(カジー)では、専用アプリを使って、キャストと依頼者がマッチングされるようになっており、キャストは希望エリアと希望時間帯を登録して、依頼が来るのを待ちます。
マッチングが成立したら、依頼者のお宅にお邪魔して、いよいよ業務スタートです。
エプロンと三角巾が、基本のユニフォーム。また、今の時期は感染拡大防止のため、マスクの着用が義務付けられています。
「作業は主に、家主が在宅中に行います。何をどこまでやってほしいか、細かくお話を聞くところからはじめます」
まずはお掃除編。
「お風呂を集中的に」「全体的にきれいに」など、掃除の要望もさまざまですが、特に多いのはリビングと水回りだそう。掃除機を使う際は、床を傷つけないように本体を持ち上げるのがルール。
「カーペットは、ゆっくり時間をかけて掃除機をかけます。はじめて見る方には、『そんなにゆっくりかけるんですか?』と驚かれることも。こうすることで、布の内部にあるゴミを吸い込むことができるんです」
テーブルを拭くときは、ふきんを広げて、角を意識しながら拭いていきます。
「テーブルのへりの裏側の汚れも取れるようにするのがコツです」
CaSy(カジー)の規約では高所作業はできないことになっていますが、窓の内側掃除はOK。
「そこまで汚れがひどくないときは、洗剤は使わずに濡れ拭き、乾拭きだけで拭いたほうが綺麗になります」
続いて、料理編。
掃除同様、依頼者と打ち合わせるところから始まります。もちろん、手洗いは必須。コロナが心配な今の時期は特に念入りに洗います。
作るメニューは事前に通知されていることもあれば、当日その場でお願いされることも。
「掃除もそうですが、基本的にはお家にある道具と材料のみを使って作業します。材料は事前にお客さまとチャットで打ち合わせをして揃えていただくことが多いです。到着したら、材料を確認するため、冷蔵庫の中身をチェックします」
料理の依頼も、その日の夕食を作ってほしいというものから、数日分のおかずを作り置きしてほしいなど、人によってさまざまです。
できた料理は配膳し、片付け、食器洗いまでが佐藤さんの仕事。
「アクリルたわしがあると、少量の洗剤で汚れがよく落ちるのでとても便利です」
以上が、家事代行の大体の流れ。佐藤さんいわく、「続けていくうちに、どんどん効率化されていく」そう。
「最初は、料理は3時間で8品作るのがやっとでしたが、今では同じ時間内で最大16品作れるまでになりました。効率よくできるようになると、仕事が楽しくなってきます」
初期費用と必須アイテム
家事代行を始める際に、必要なアイテムはあるのでしょうか?
「エプロンは会社から支給されたのを使って、三角巾やバンダナは、持っていたものを使っています。新たに買い足したのはスリッパくらいですね。料理も掃除も依頼者のお家にあるものを使うので、特に持参するものはありません」
なかには古歯ブラシや、雑巾など自前のお掃除道具を持っていく人もいるそうですが、手ぶらでもOK。
「私は実家に住んでいたときの家事経験だけで始めましたが、それでもなんとかなりました。初期費用がかからないので、家事が好き、得意という人なら、すぐに始められる仕事だと思います」
大失敗で学んだ代行キャストで成功する秘訣
人気キャストの佐藤さんは、家事代行をはじめてから現在に至るまで、数多くの依頼者から指名を受けています。そんな佐藤さんですが、過去には失敗経験も。
「料理の家事代行をはじめたばかりの頃、依頼者さんから『アジフライを作ってほしい』と、アジを丸々一尾渡されました。そのときの私は、まだ魚を上手く捌く技術は持っていなかったのですが、お願いされた手前、できませんとは言い出せず‥‥。依頼者さんが外出されたので、YouTubeで動画を見ながら見よう見まねでやってみましたが、どう見てもボロボロでした」
それでもなんとかアジフライを完成させたものの、トラブルはそれだけでは終わりませんでした。慣れない魚を捌いたため、調理後のキッチンは悲惨な状態に。
「急いで片付けなければと思い、生ゴミをディスポーザーにかけたら、中に小さなスプーンが入っていたらしく、大きな音を立てて壊れてしまったんです。今思い出すだけでも胃が痛いです」
その後、帰宅した依頼者に、正直に事情を説明して、謝罪。幸いにも修理代の大部分はCaSy(カジー)が加入している損害保険でまかなわれ、佐藤さんの負担額は3000円で済みました。
それどころか、佐藤さんの頑張りが伝わったのか、その依頼者から定期での仕事をお願いされることに。
「本当ならマッチングNGにされても仕方ないのに、ありがたかったです。失敗した分は、仕事で返そうと思って、その後は精一杯頑張りました」
この経験を経たことで佐藤さんは、家事代行で成功するには、家事スキルと同じくらいコミュニケーション能力が求められることを実感しました。
「掃除でも料理でも、依頼者さんが何をどれだけ求めているかを、最初にしっかり把握することがすごく大事です。私の失敗も、最初にできないとはっきり伝えることができれば防げたトラブルです」
家事はご家庭の状態によって、時間内にできることと、できないことが変わってきます。その際に「今日はここまでできる」「これ以上は次回に回したほうがいい」など、その場で作業の段取りを想像し、提案するのも、キャストの仕事なのです。
料理代行と家事代行のメリット・デメリット
佐藤さんに料理代行と家事代行のメリット、デメリットをお聞きしました。
「まずデメリットですが、料理代行も家事代行も人のお家に入ってお仕事をするので、なかにはそれがハードルになる人もいます。また、依頼者さんとの距離が近い分、上手くコミュニケーションが取れないことで、精神的な疲労を感じることもあるかもしれません」
一方、普通の仕事とは違う、新しい関係性を築けるのは、家事代行ならではのメリットだと言います。
「定期で通うお宅は、家族ではなく、程よい緊張感がある関係だけれど、とても温かいつながりがあります。この都会で、同僚でもない、友人でもない方々とご縁で繋がり、深い信頼関係を築けるのがこの仕事のいちばんの醍醐味です」
最後に、佐藤さんに現在の夢を聞いてみました。
「料理が好きなので、やはりそれを仕事にしていきたいと思っています。独立して、自宅でお料理教室ができたらいいですね。そのためにも、家事代行と料理講師の仕事で、料理のスキルをもっと上げていきたいです」
取材が終わると、その足で家事代行の仕事へと向かった佐藤さん。スキマ時間を無駄にすることなく、フル活用する佐藤さんなのでした。
取材協力 /CaSy(カジー)
取材・文 / 中村未来