複業とは本業以外にやりたい仕事を持つこと!本業と副業の区分けがない

複業とはやりたい仕事を複数持つこと
複業とは「やりたい本業を複数持つ」ことです。特に副業との違いは本業と副業の区別がなく、両方とも本業であることです。目的は本業1本では足りない要素を相互補完しながら、理想の働き方とキャリアを実現することにあります。
実例としては「エンジニア+アプリ開発」「A社のマーケティング+B社の企画広報」「販売員+ブロガー」などと型にはまりませんが、本人に2つの仕事をする狙いがあることが特徴です。
職種の選び方は「本業と同じ職種、相乗効果のある職種、本業と違う職種」に分かれます。収入や労働時間に差があっても、本人の意識としては「複数の本業を持っている」と捉えています。
そもそも副業の目的は「①収入や業務量など足りない部分を補う、②キャリア、人脈、将来性といった経験を増やす、③達成感、社会貢献、楽しさなどといった喜びを求める」に分類できます。
ただ、単なる副業には「バイトやお小遣い稼ぎで少額のお金を得る」イメージが強いため、サイボウズやエンファクトリーといった副業先進企業では、副業ではなく複業というワードを使っています。
複業のメリットとデメリット
複業のメリット
複業のメリットは会社依存から脱却するきっかけになることです。会社という閉塞的な空間に浸ると、イノベーションの創出や起業家マインドの育成が起こらず、仕事に受け身な人が増えてしまいます。
もちろん、本業のみでも俯瞰的な視点を持って、第一線で活躍している人たちも大勢います。ただ、そうではないと気付いた人にとって、外部で刺激や交流を得るための複業が役立ちます。
社外で個性や能力が伸びたなら、今度はそれを社内に持ち帰ります。複数の仕事のおかげで相乗効果があるキャリア育成ができて、結果、本人にとっての理想の働き方やライフワークバランスにつながるわけです。
また、国内では同じ仕事を何十年も続けることは難しく、倒産した会社の平均寿命も30年を切っています。しかし、私たちは40~50年は働かなければいけません。そのため、別の仕事に挑戦するという意味でも、複業はリスクヘッジになります。
複業のデメリット
複業のデメリットにはタイムマネジメントとオーバーワークがあります。ただし、いずれも自己管理の範囲であり、時間管理と体調管理が向上することで克服できます。ただし、労災は片方にしか補償されないことには注意です。
また、本業の給与や将来性を含めて、全般的に満足をしているなら無理して複業をするメリットはありません。複業ではプライベートな時間と体力が削られます。本業に「選択と集中」することも正しい道です。
複業の働き方がわかる事例
アパレル商社+間借りカレー

34歳 男性 東京都
間借りカレー歴4年
アパレル系商社に務めながら2015年に間借りカレーの複業を開始。SNSで発信を重ねるうちに徐々に話題となり、今では予約で完売するほどの人気に。現在、月2回の間借りカレー営業と月1回のカレー教室の開催をレギュラーで行う。
個人経営のレストランでは定休日に、その店舗を1日単位で貸し出しているところがあります。そこを会社員が間借りして、カレー、カフェ、ラーメンなどを提供スタイルが複業として注目されています。
間借りカレーの複業ではそこまでお金を求めていません。間借りカレーでお客さまに喜んでもらえることが続ける理由です。アパレル商社が本業ではありながら、間借りカレーも複業として本気で取り組んでいます。


副業を意味する37ワード
1991年に発売した複業の達人では副業は「サイドビジネス」、複業は「デュアルライフ」と定義しました。それ以降も多様な人たちが複業を推奨しており、実績作りや自己実現、個の実力を試す場にもなっています。
複業のように「副業」に強く関連するワードは50以上あり、いずれも言葉遊びにすぎないかもしれません。しかし、副業から複業へと意識を変化させることは、私たちがキャリアを構築するきっかけにもつながります。
単語 | 説明 |
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副業 | 本業の給与以外の収入 |
複業 | 複数のキャリアを育む仕事 本業と副業に分けずに複数をこなす |
幅業 | 業務の幅が広がる仕事 無償で働くボランティアなど |
伏業 | 会社に秘密にする(伏せる)仕事 |
福業 | 幸福感を高めるための仕事 高齢者のお手伝いなどやりがい重視 |
復業 | 休職後に復帰して働くこと |
覆業 | 今までを覆すような全く違う仕事 本業と関係ない就職や起業をする |
腹業 | お腹を満たすためだけにする仕事 生活資金が目的の仕事 |
含業 | 常に本業に副業が含まれる仕事 教授やタレントなど |
アビットビジネス | 熱心(avid)になれる事業 |
アルトジョブ | 代わり(alternate)の仕事 |
インディペンデント・コントラクター | 企業に属さない専門職 |
インディペンデント・ワーカー | 企業に属さない労働者 |
オープンイノベーション | 事業単位で必要な人材を社内に招く |
エンプロイメンタビリティ | 企業が人材を惹きつける能力 |
ギグエコノミー | 1回限りの仕事 クラウドソーシングやUber Eatsの配達など |
コーポレートベンチャー | 社内でベンチャー事業を起ち上げる |
サイドギガー | 週15時間以下働く独立労働者 |
サイドジョブ | (雇用されるタイプの)副業 |
サイドハッスル | (主に事業や起業する)副業 |
サイドビジネス | (事業として従事する)副業 |
サイドライン | (同時並行でしている)副業 |
サイドワーク | (アルバイトのような)副業 |
週末起業 | 週末の空き時間でビジネスをする 商標は藤井孝一さんが取得 |
スキルシェア | スキルを使って社外で報酬を得る |
スーパーテンプ | プロジェクトベースで雇われるハイクラスの短期労働者 |
スラッシャー | 複数の肩書きを持つ人 通常「/」で職種を併記する |
セカンドジョブ | 2番目の仕事 |
ソロプレナー | 週35時間以上働く独立労働者 |
ダイバーシティ | 人材や働き方に対する多様性 |
ダブルインカム | 夫婦共働きや副業などの2つの収入源 |
ダブルキャリア | 本業以外でキャリアを積む |
テレワーク | 離れた場所、主に自宅で働くこと |
デュアルワーキング | 2つの拠点で仕事をする |
デュアルライフ | 2つの拠点で生活をする |
ハイブリッドワーカー | 複業をする人や働き方 |
パラレルキャリア | 第2、第3のキャリアを同時にこなす |
パラレルワーク | 複数の仕事を同時にこなす |
プチ起業 | 副業や週末のみ起業する |
フリーランス | 雇用されずに自らの技能で稼ぐ |
プロボノ | 知識や技術で社会貢献する |
ポートフォリオワーカー | 仕事に複数の選択肢を用意する |
マルチワーク | 複数の仕事を同時にこなす |
ルーチンワーク | 工夫や創造が不要な日常業務 |
ワークフォリオ | 仕事を分散させる |
今ある能力でお金を得るための副業も短期的には正しいですし、今ない能力を得るために始める副業や複業は、長期的な効果が期待できます。本業に副業と複業の両輪があると、仕事に対する満足度を加速できるでしょう。
過去の副業と今後の複業の違い
江戸時代や明治時代は副業が当たり前でした。農家は作業のない冬場や閑散期に第2の仕事を何かしらしています。綿織物の生産地であった福岡県久留米市では、農家の若い女性たちが副業として機械織りをしていました。
秋田県横手市では山であけびの蔓(つる)が取れるため、農閑期はあけびを編んだカゴづくりを副業としていました。福島県二本松市でも米作りが一段落すると、今度は蚕の養殖や和紙作りが盛んに行われていました。
一方、欧米では警察官がガードマンの副業をしたり、教職員がスポーツトレーナーをするなど、職業選択の自由があります。むしろ、日本人に多い会社に人生を委ねてしまう「就社」というスタイルのほうが特別かもしれません。
日本企業は社員が取引先からディベートを貰ったり、過剰な接待や賄賂を受けるといった不正全般を取り締まるため、副業を含めた本業以外の所得を禁止して規律を重んじ、その代わりに給与や福利厚生を充実させました。
しかし、現在は給与が上がらず、福利厚生も削られており、本業に人生を委ねることはもはや無理です。本業依存から脱却しなければいけないことは、多くの会社員も気づいていますし、政府も生産性向上に動きました。
2018年には働き方改革とともに、モデル就業規則でも副業が容認されて、複業の機運が高まっています。私たちはこの懐かしくも真新しい複業をどう捉えるべきでしょうか。ここで過去の副業と今後の複業を比較してみます。
項目 | 過去の副業 | 今後の複業 |
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本業 |
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利点 |
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今後の複業はお金儲けのツールのみではなく、キャリア構築やスキル獲得を目指す手段としても使えます。本業に欠けている実績、人脈、やりがいを複業で補うことで、長期的に収入も増えていく流れです。
柔軟性がある複業には需要があると捉え、すでに250種類以上の副業仲介サービスも誕生しています。副業や複業をするインフラは整備されており、あとは自分の意識次第です。