銀積立とは?大手証券5社の比較して値上がり続く銀に投資する
銀積立とは、定期的に一定額の銀を購入し、長期的な資産形成を目指す投資方法です。毎月決まった金額で銀を買い付けるため、銀価格が安いときには多く買えて、銀価格が高いときには少なく買うことができます。
長期的に値上がりが続いている銀に対して、平均取得単価を抑えて買う仕組みが銀積立です。
投資する3つの理由がある銀積立とは?
価格が上昇傾向にある
銀価格は2000年に「1g=19.68円」でした。それがわずか10年後の2010年に61.99円まで上昇しています。これは2000~2010年は半導体に使われる銀の工業需要と銀地金や銀貨などの投資需要が高まったためです。
さらに2011年には瞬間風速ながら129.80円という過去30年間の最高値を更新しました。この原因は世界規模で太陽光発電の開発が進んだためです。銀は金属の中で最も熱と電気を通す性質があり、原材料として買われました。
ただ、太陽光発電が下火になると、銀価格も上昇トレンドがストップして、2024年10月時点では「1g=70円前後」で安定的に推移しています。長期的な投資水準としては「割安」と判断できるかもしれません。
工業製品としての需要が底堅い
投資では株やFXが人気です。しかし、2008年のリーマンショック以降は分散投資が注目されて、ポートフォリオに安全資産である純金を10~20%含める投資家が増えました。ただ、安全資産は純金以外もあります。
それがプラチナ、銀、パラジウム、銅などの貴金属です。銀は太陽光パネルや電子部品、プラチナは排ガス浄化触媒や燃料電池、パラジウムはプラチナの代替品、銅は機械類全般の配線に使われています。
その中でも銀は宝飾品や工業製品、貨幣に使われており、純金と同じく商品と通貨の両方の性質を持ち合わせています。世界各国で価値が保証されているため、価格が暴落して紙切れになる心配はありません。
銀の目的別需要は2024年10月時点では以下の通りです。純金は工業製品の割合が8%程度でしたが、銀は51%近くに達しています。そのため、工業用途が増えると価格が上がることが特徴です。
工業製品の割合が大きい貴金属は、世界の景況感に影響されやすいです。銀も好況のときは工業製品、主にエレクトロニクス業界で買われて価格が上がり、不況のときは需要が細り、価格が下がっていきます。
銀の鉱山生産国が分散されている
銀の供給元は主に鉱山生産、リサイクル、生産者ヘッジ(鉱山会社が保険のために先物取引で販売価格を確定させる行為)の3種類ですが、80%以上が鉱山生産です。
ただ、プラチナの供給元は南アフリカのみでシェア73%でしたが、銀の供給元は偏っていません。2024年10月時点でもメキシコ、ペルー、中国、チリ、ロシアの合算シェアで62%であり、オーストラリアやボリビアでも採れます。
つまり、プラチナのように南アフリカで鉱山労働者がストライキをするたびに供給がストップして、プラチナ価格が急騰することは起こりません。銀価格は純金より値が動きますが、突発的な変動は他の貴金属より少ないです。
銀積立会社11社の年間手数料を比較
銀積立で月3000円を積み立てたときの年間総コストの比較です。同じ銀積立でも、純金積立と同様に各社で月額手数料や年会費に差があります。
ちなみにサービス開始は2012年5月に楽天証券、2013年5月にマネックス証券、2013年7月に田中貴金属工業と三菱マテリアル、2018年10月にSBI証券の順であり、それ以外の企業では積み立てをすることができません。
社名 | 年間総コスト | 月額手数料 | 年会費 |
---|---|---|---|
SBI証券 | 594円 | 購入額×1.65% | 無料 |
楽天証券 | 594円 | 購入額×1.65% | 無料 |
マネックス証券 | 594円 | 購入額×1.65% | 無料 |
田中貴金属工業 | 900円 | 3000~3万円未満は2.5% | 無料 |
三菱マテリアル | 1116円 | 1000円ごとに31円 | 無料 |
住信SBIネット銀行 | - | - | - |
KOYO証券 | - | - | - |
徳力本店 | - | - | - |
日産証券 | - | - | - |
石福金属興業 | - | - | - |
岡安商事 | - | - | - |
情報取得日 2024年10月時点
おすすめはポートフォリオで株やFXなどと一括管理できるSBI証券、楽天証券、マネックス証券といった総合ネット証券です。
銀積立のメリット9選
- 月1000円から分散投資ができます。
- 自動的に積み立てられます。
- ドルコスト平均法で価格変動リスクが下がります。
- 保管コストがかからず、盗難リスクもありません。
- 好景気で工業需要が高まると価格が上がります。
- 円建てで購入しているため、円安で価値が上がります。
- 株や債券のように紙くずになる心配がありません。
- 運営会社が倒産しても、資産が保護されます。
- 積み立てが満期を迎えた場合、銀地金に交換できます。
銀は需要と供給の関係から「長期的には値上がりする」と予測されています。金価格との連動性が高く、金投資をしている人でもより大きなリターンを期待して、銀投資を併用する人もいます。
銀投資は「銀地金(シルバーバー)、銀貨、純銀積立、銀ETF(上場投資信託)、銀CFD、銀先物取引」から選べます。
その中でも銀積立は長期的に銀を積み立てることができて、企業が一括管理するために保管料は無料。当初は地金商のみで取り扱っていましたが、現在は手数料が安い大手ネット証券でできるためにおすすめです。
一方、銀地金は1口30kgで重いです。金塊のような流通量もないため、銀塊はスムーズに売れません。純金と違って空気に含まれる硫黄化合物と反応しやすく、変色して黒ずむために保存コストもかかります。
銀貨は価格が安いですが、精巧なデザインのため、加工費が価格に上乗せされていて割高です。銀ETFと銀CFDは現物保管が不要で売買しやすいですが、市場規模が小さいために値動きが荒く、初心者には抵抗があります。
特に銀先物取引は価格の予想が難しく、レバレッジで数十倍の売買ができるなど、プロ向けの市場のためにリスクが高すぎます。
銀積立のデメリット6選
- 購入手数料や年会費など、売買額の1~5%のコストが発生します。
- 世界経済危機や有事が発生すると、価格が下がりやすいです。
- 円建てで購入しているため、円高による為替リスクがあります。
- 配当や優待、利息は一切発生しません。
- 売却時の銀価格が平均積立額よりも低く、損をすることもあります。
- 銀売却時に得た利益は所得となり、課税されます。
毎月貯まる銀は純金積立会社が管理しています。ただし、各社で手数料には差があり、長期運用だからこそ低コストな純金積立会社を選びたいです。